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第40話 世界の再起動_最終話

世界は、

 止まっていた。


 音もない。

 風もない。

 時間さえ、

 迷っている。


 俺は、

 そこに立っている。


 立っている――

 というより、

 残っている。


『確認する』


 世界の声が、

 直接響いた。


『管理者個体は、

 世界適合率

 0%』


『排除を――』


「待て」


 俺は、

 短く言った。


「再起動処理を

 完了させてからだ」


 沈黙。


 やがて、

 世界は応じた。


『……処理を

 続行する』


 地脈が、

 静かに整う。


 魔法は、

 過不足なく

 流れ始める。


 奇跡は、

 奇跡のまま。


 努力は、

 努力のまま。


 過剰な補正は、

 すべて解除された。


 世界安定度が、

 表示される。


 《世界安定度:

 100%》


 完了。


 再起動成功。


「……終わったのか」


 背後で、

 声がした。


 勇者だ。


「終わった」


 俺は、

 頷く。


「世界は、

 動き出す」


「じゃあ……

 お前は?」


 勇者は、

 真っ直ぐに

 聞いてきた。


 俺は、

 少し考え――

 正直に答える。


「分からない」


「管理者では

 もうない」


「世界の一部でも

 ない」


 だから。


「ただの

 外部保守要員だ」


 リーネが、

 近づいてくる。


 目が、

 少し赤い。


「……行くんですね」


「ああ」


「戻れますか?」


 俺は、

 首を振る。


「分からない」


「でも」


 微笑む。


「壊れたら、

 また直しに来る」


 世界が、

 最後の通知を

 表示する。


 《管理者権限:

 完全解除》


 《世界基盤保守局:

 存続》


 《新規管理体系:

 人による分散管理》


 世界は、

 学び始めた。


 悪魔の声が、

 遠くから聞こえる。


『結局、

 君は

 こちらに来なかったな』


「ああ」


「現場が

 好きなんで」


『……厄介な

 管理者だ』


 それきり、

 声は消えた。


 光が、

 差す。


 出口だ。


 世界の外。


 俺は、

 一歩踏み出す。


 振り返らない。


 だが――


 世界は、

 ちゃんと動いている。


 それで、

 十分だ。


 保守は、

 完成させる仕事じゃない。


 次に壊れても

 直せるように

 する仕事だ。


 俺は、

 その役目を

 果たした。


 -完-


ここまで読んでくれて、ありがとうございました。

世界は、

今日も動いています。


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