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魔法の木エニシダの香り  作者: 文乃木 れい
保育園がつぶされる⁉
9/50

ぼうーっと生きてきた

 審議会の名簿順に電話するが留守ばかり。

次の人にいこうかという時に電話がなった。


「ほらきたきた!」高田さんがどーする?という顔で私を見た。

「私、でるね。まずはね。」緊張する。


「いやあ、お電話おそくなって。すんませんでした。統廃合のこと?あー、つぶしたほうがよかっぺ。古いもんなあ。」

あっけらかんとしている。

 お気楽な発言で力がぬけそうだったが、午後は時間がとれるということだったので、面会のアポをとって、電話を切った。


 「松木って議員て、こないだの村会選挙のときにずいぶんお金ばらまいたってけっこう噂あったじゃない。ようあんなやつ当選するっておとうさんとあきれてたんだから。」と高田さん。


「私、覚えがないのよねえ。選挙っていつあったっけ?」

「去年、村会議員選挙あったじゃない! そんなこと言ってるからしっぺがえしくらうのよ。私たちは。」

 

 高田さんの言葉はストレートだった。確かに。選挙でしかわたしたちの意見は反映されないのに 真剣に考えてこなかった自分が情けなかった。


高田さんは私の様子に驚いたようだった。


「ごめん、気い悪くした?」と

「ううん、私、あまりにも社会のことにうとくて、それに関心ももってこなくて、軽薄な人間だったなあって。今、はっきりわかった。

私ってちゃらちゃら生きてきたって。」

 

一気にわたしがそう言うと

 

「そうじゃなくて、やっぱりさあ、村会議員の選挙なんてピンとこないとこあるよねえ。地元の人間じゃないし。」


「ううん。違うの。それ以前の意識の問題だと思う。

ほんとになんにも考えずにこれまでぼーっときてしまった。」

地にしっかり足をつけて生きてこなかった。。。

 

 私の様子に 

「遅まきながら、これから存分に社会勉強していただきます。

まずは松木とどのように話すかよね。」

前向きにいこう、前向きに。ね!と高田さんが笑った。


 高田さんが、たちあがって外を見て、

「あら、あの紅白の花、梅?見事ねえ」

と声をあげた。

「あれねえ、桃。きれいでしょう。源平しだれ桃っていうんだって。」

と私は去年ここに引っ越してきた時にお隣に教えてもらった名前を披露した。

「ちょうどうちの垣根の上に見えて、いいでしょう?」


 「垣根のひばの緑がベースになってホントここからの眺めがいいねえ。  

それにしても紅白で咲くって不思議よねえ。遺伝子がそうなってるんだろうけど」

「子どももさあ、どうがんばっても遺伝子が遺伝子じゃあねえ。

じゃりン子チエにさ、遺伝が一番怖いってフレーズがでてくるんだけど、ものすごく腑に落ちたのよ。」


「それを言っちゃあおしめえよ。」と高田さんはがははと笑って、

「ほれほれ、お嬢様どうぞ」 と 

庭でブランコをしていたあさが 家に入ってこようとしたので、

ガラス戸をあけてくれた。


 昼食後、あさとりょうを 新田さんがひきうけてくれたので、

預けに連れて行き、 高田さんと松木建設に向かった。


「ねええ、保育所ってさあ、簡単に時間制でも預けられたらいいのにねえ。今日みたいに突然でも。」

新田さんがいなかったら こんなことできないんだから。


「そうよね、新田さんに、私設保育園を開いてもらおうか!」

高田さんと笑った。




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