表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の木エニシダの香り  作者: 文乃木 れい
慧の目にうつる世界
39/50

もみの木

「けいちゃんだよ、リヤカーの当番。」物置の裏でかっちゃんと霜とりをしてたら、しま先生が大きな声で呼んでいる。 

土がついてないきれいな霜をとりあげようとしていた。手で取るとぐしゃっとつぶれるし、あー。あとちょっとでとれそうなんだけどね。

「たき木とりいくんだっぺ」かっちゃんが立ち上がった。そうだな、よーし、たき木とりに行くぞ。

今日も焚き火をするんだ、ぼくは物置のかぎを取りに走った。戻ってリヤカーを出す。かっちゃんとこうじもそれから小さいらいおんのかんたも手伝って押してくれた。

 たき木を拾いに行く林は土手を越えなくちゃならない。リヤカーを引いてまっすぐに登るのはとても難しい。登るときより、降りる時が恐い。先生がそばにいてくれるけどね。リヤカーはなかなか思うように動いてくれない。「うーん、もうっ!」と声をだしたら まりこが「怒らない怒らない」と、にっと笑った。

  

 おにごっこの林に着いたときは 暑くてセーターをぬいだ。ここは広い原っぱになっている。よくおにごっこをするところだ。ここにリヤカーをとめておく。

たき木は向こうの小山になった林で探すんだ。

まりちゃんやようちゃんは小山に向かって駆け出し、せいこは小さいらいおん組の女のこたちと手をつないで歌をうたっている。

 小山を駆けのぼったら、林の向こうに空が見えた。いつもはもっと暗いのに、今日はなんだか明るい林だ。 がさがさと落ち葉を踏んで、たき木を探す。わあ、先生はもうあんなに拾ってる。

「けい、そこに大きいの落ちてるよ。」先生は長い枝で「ほらっ、そこ。」って教えてくれる。

 たき木をとってはリヤカーに入れに行く。

「先生、帰りもぼくが引いていくん?」

「そうだよ、けいが引くんだよ。」「今頃は きりん組さんがこないだ掘ったおいもをホイルで包んでるとこだね。」

 「がんばっていっぱいとって たき火をしよう。焼き芋がおやつだよ、今日の。」


 たっくんが両手にいっぱい持ってきた。ほっぺたがまっかっかだ。

「いーっぱいあるとこみっけたぞ!」リヤカーに放り込んだら、また駆け出した。ぼくも追いかける。 おおきいらいおんとちいさいらいおん、みんなで15人。

 少し駆け下りたところに、ほんとだ、細いけど小枝がたくさん落ちていた。

「収穫、収穫」ぼくらは モモタロウが宝物をつんだようにほくほくリヤカーに小枝を積んだ。


帰りに畑によって、こまつなをひいた。引き抜くのがおもしろい。すいとんに入れるんだって。

今日のおやつは、焼きいもとすいとん!どんどん抜こう。

 

「けいは最後まで引っ張ってすごかったなー。力持ちになったなー」と庭にいた園長先生が、軍手の手を挙げて迎えてくれた。

 さあ、寒いからたき火をしよう。

 ぱちぱちと燃えだして、煙が高くあがった。

 ゆうこの妹のたえちゃんは、煙になって、お空にいっちゃったんだって。

 おかあさんがいつも抱っこして、ゆうこをお迎えに来てたのに。

 こないだは、おとうさんがゆうこを迎えに来て、先生と話ながら泣いていた。


 朝、らいおん組の部屋に入ったら、せいことえみちゃんが じゅずだまでネックレスを作っていた。こないだ散歩の時に、おおかみののトンネルをくぐって出たところにじゅずだまができてて、たくさんとってきた。糸を通した針でじゅずだまをいっこいっこさしてつなげていく。

 まりちゃんがおはようって入ってきて、あたしも入れてとさいほうばこから針を出した。

 せいこが「けいちゃんもやれば。やっていいよ。」と顔をあげて言った。

  ぼくはちょっと迷ったんだけど、黙って教室を出てきて、かんたといっしょにこままわしをした。

どっちが遠くまで投げてまわせるか競争した。


 午後、庭の隅に植えてあるもみの木を堀りあげることになった。

おおきいらいおんさん、スコップをとっといで。2本ね。

こうじとたっくんが走っていって、とってきた。

せんせいが「この辺を掘るんだよ」ってやってみせてくれた。

スコップをとってきたこうじとたっくんが、最初にスコップで土を掘り始めた。

でもすぐに疲れて、交替。順番でみんなで掘って、どうかな?ってこうじが もみの木をおしたら ぐらっと動いた。

ぼくも 両手でぐらぐらさせた。とそのとき、かっちゃんが、ぼくのことを突き飛ばした。

「そんなにぐらぐらさせたらだめだっぺ!」

せいこが「いいんだよ引き抜くんだから」てかっちゃんを怒った。ぼくは かっちゃんに突進した。 かっちゃんはぼくをはたいた。ぼくは今日は絶対に逃げないと思った。

 たっくんが、やめれ!と言ったけど、かっちゃんがてめえ!ってなぐってきて ぼくも手を振り回した。かっちゃんの足をけった。顔が熱かった。

 先生がようやく、「もうやめな」 と引き離して、

かっちゃんに「すぐに乱暴するのは、良くない。」と注意した。

ぼくは涙が出そうだったけど、がまんできた。

 先生が スコップをもみの木の下に深くさした。

「けいちゃん、かっちゃん、このスコップをぐーっと押してもみの木を持ち上げて。引き抜くんだよ。」

スコップは重たかった。でもふたりでううーんと押した。木が持ち上がって、こうじや、たっくんや、えみちゃんが、手で引っ張って土の中から根っこが出てきた。

「足洗い場に運んでいって」としま先生が木をもちあげるのを手伝いながら言った。

どい先生が四角いきれいな模様のついた箱に洗ったもみの木を立てた。

立てたら、ずいぶん高いように見えてみんなから思わず声が出た。

 ホールに持っていって、あひる組、きりん組もいっしょにモールでつくった飾りをぶらさげてクリスマスツリーをかざった。

 「てっぺんの星は?」ってまりちゃんが言うと、「あるよあるよ。」さの先生が箱を抱いてきて 

「ほれっ!」って出したのは金色の大きな星で、きらきらだった。

先生がてっぺんに、くくりつけた。星がちょっとかたむいたけど、クリスマスツリーが完成。


 クリスマス会の日の日はドーナツつくりをした。卵を割るのが難しくて、3つ目でようやく成功だった。泡だて器でかきまぜて、粉をふるって、それからまんまるに型抜きをする。ぼくはベーキングパウダーの缶のふたでドーナツの穴をくりぬいた。

 調理室で岡田先生が揚げてくれた。いい匂いがひなぎくじゅうに広がった。

  クリスマス会は歌をたくさん歌った。かんたのかあさんがピアノをひいてくれた。ヴァイオリンの人もいっしょだった。ピアノをひいている時はかんたのかあさんじゃないみたいだったけど、あとでいっしょにドーナツ食べた時は やっぱりかんたのおばちゃんにもどっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ