表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の木エニシダの香り  作者: 文乃木 れい
保育園がつぶされる⁉
11/50

綾さん!頼りにしてます


 「あさちゃん、もうすぐ終わるからね。そしたら砂場に行こうね。」


 朝のかたづけ、洗濯、お布団干し、あっという間にもう10時を回っている。 

あさは近くの公園に行きたくて 待ちきれずに庭に出て待っている。

りょうはおんぶ。これがいちばんいい。慧も朝子も しょっちゅうおんぶした。 そうしないとなんにも仕事ができなかったし、こどもたちもおんぶされたがった。


おもしろいことに、良子はわたしが椅子に座っている時でも後ろに回って私の背中にぺたっとくっついてくる。まるで親子コアラだと笑われてる。


「かあしゃーん、みほちゃん 来た!」庭からあさが大声をあげた。


 綾さんが公園に美穂ちゃんを連れて行く途中に寄ってくれたのだ。

「綾さん先にいってて、このシーツだけほせば終わり。すぐに行くわ。」

「いいよ。急がなくて。あさちゃん先に連れて行ってるから。」

あさは、おおあわてで砂場セットのはいっている黄色いバケツを持ってあやさんについていった。


「あらら、りょうちゃん、おねえちゃん行っちゃったよ。りょうちゃんも早く行こうねえ。大急ぎ、おお急ぎ。」

シーツと枕カバーなど干したらベランダは満艦飾。 満足、満足。


さて、りょうちゃん、おりよ。背中からおろしたら汗ばんだ背中がすうっとした。りょうもさぞ暑かったね。ほっぺが真っ赤になってる。 

さあクック履いておんも行こうね。


綾さんのご主人は夫の同僚。結婚してこの住宅に越してきた時に、夫を通じてともだちになり、同時期に出産した。

りょうの手をひいて木戸の外に出る。住宅の真中は広い砂地の広場になっている。

どうして砂地なのかは謎だがこどもたちにとっては魅力の巨大砂場だ。我が家から砂場を隔てて向こう側に遊具の小公園。

その隣には生協の店舗。このあたりが住宅の社交場だ。


砂場をまっすぐに突っ切っていくと、あさが公園の石山に はいつくばっているのが見えた。石の小山にゴジラのこぶのような突起があり、それにつかまりながら上にのぼると反対側は滑り台になっている。

子どもを支えるために登ったことがあるが、案外高くて足ががくがくした。あさは平気。

手と足をしっかりと使いよじのぼり、あっという間にすべりおりる。

何回もあきずに。

頭をぶつけでもしたら大事と心配してしまうが、まだ誰かがここでおおけがをした話は聞いたことがない。

 てっぺんにたどりつき、あさはわたしたちをみとめて、「かあしゃーん」と手をふった。

「りょうちゃん、おねえちゃんあそこにいるよ。」わたしもあさに手をふった。


 石山のすべりだいをすべりおりたのだろう。あさの姿が見えなくなった。と

すぐに向こう側から、綾さんとみほちゃんと一緒に現われた。

「綾さん、ありがとう。あさはおてんばだからみてるの大変でしょ。」


「そんなことないよ。最初はね 鉄棒してたのね。あさちゃんじょうず。すごいんだから。」

綾さんはあさの顔を見て「ねっ」て笑った。


「鉄棒ね、好きなのよ。慧が少しもらったらいいくらい。あの子、さかあがりできなくてね。運動会までになんとかしなくちゃ。」


すると綾さんが、

「うちのしょうもおんなじ。できないのよ。こんどおにいちゃんたち特訓しなきゃね。」と。

しょうくんもさかあがりに苦戦か。


綾さんにも慧と一か月違いの男の子がいる。

おなかにいる時からの仲良しだった。 が、しょうくんは 慧とは違う私立の保育園に入っている。

私立なので、専業主婦でも 比較的容易に入園させてもらえることから、この住宅からも行かせている人が多かった。 

自然の中で体をフルに使って遊ばすのは、慧の行っている園と基本同じなのだが、

あまりにも保育がワイルドな感じで、それは、保育士さんとか、園の様子とかでなんとなく感じてしまうものなのだが、

神経質な慧には刺激が強い気がして、もう少し柔らかい気がする公立のひなぎくを選んだ。


ほぼ家にいて専業主婦と変わらないのだが、一応、フリーペーパーの「にじ」で働いているとなっているので、入所できた。

 3年保育の適当な幼稚園がないこともあり、3歳になると、散歩や外遊びなど思いっきりさせてくれる保育園に入れたいと願ったからだ。 


「慧くんはよかったよね。このまま卒園までいれるね。ひなぎく保育園に。」

綾さんがみほちゃんを鉄棒に乗せながら言った。


ひなぎくがつぶされちゃうかもしれないという話は広まっていた。


「そうね、でもまだちいちゃい子はかわいそうよ。折角園に馴染んで生活してるのに、突然変われなんて。」

「署名運動はどう?しょうの保育園でも署名用紙まわってたよ。」


「ずいぶん集まってるみたい。明後日中間の集計するために、ひなぎくにいったん用紙を回収することになってる。今日も何人かTプラザの前で活動してるはずなの。」

「あさちゃんたちみてるから、ゆきさんも行ってきたら?。私も一緒にいってあげたいけど子ども達連れていけないもんね。」


そう綾さんが言ってくれたので、

こどもたちのお昼寝がすんでからあずかってもらうことにする。


「お昼寝うちでさせてもいいけど?もっと早くにいけるよ」

「いいのよ。署名も二時間もあればいいし、


帰りに慧を迎えにいったらちょうど。しょうくんは?お迎え何時?」

「ゆきさんが帰ってきてから行くことにするわ。慧くん連れて帰ってきたら 私のうちでそのまま みほを見ててくれない?」

そうさせてもらうことにする。


私たちがしゃべっている間、娘たち三人は、

しゃがんで飽きずに砂遊びに夢中になっている。


「みほちゃん、何やってるの?」と私もしゃがんで聞くと

「アイスクリームやさん」だって。

「あさちゃんもだよ。」とあさこが「へへっ」と笑った。


砂場公園でおもいっきり遊ばせてから、生協でお昼と夜の買い物をすませ、綾さんとはいったんさよならして帰ってきた。


綾さんとは、私が慧、綾さんがしょうくんを身ごもった時からずうっと、子育ての不安や喜びを共有してきた。

二番目の朝子とみほちゃんも同じ年の良い友達で、我が家に三番目の良子が生まれてからは、あやさんに頼ることも多かっった。

 新田さんや、あやさんに助けられて 私は 幸せな育児をさせてもらっている。などと思いながら

 ふたりの砂まみれの洋服を着替えさせ、おもちゃでおとなしく遊んでいるうちに大急ぎでおうどん作って、食べさせて、それから絵本タイム。

二冊読んだところで、さあ、じゃ、寝よか。


朝早かったせいであさはことっと寝てしまった。

りょうは寝そうで寝ない。しかたがないから、またおんぶだ。

夕食の支度にとりかかる。鶏もものホワイトシチュー。 たまねぎ、じゃがいも、白菜、にんじん、それにごぼうもいれる。ブロッコリーはゆがいておいてと。


気がつくと背中がずっしりと重い。しぶといりょうちゃんも陥落。あさの隣に寝かせに行く。

ふたりの寝顔を見ていると自分の顔がゆるんでくる。


さあ、シチューの続き。 ホワイトソース作って、べつにいためてワインで蒸したお肉と野菜をいれて、さあ、ふたをしてもうちょっとぐつぐつと。 

 サラダも盛りつけておいて冷蔵庫に入れておこう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ