12‐ ライアンの秘密
※ 15歳以下の方には理解して欲しくない表現が登場します。
『ちょっと待って』
クラリッサが会話を中断させた。
『えっと…あたしが再起動したスタリオンを愉しみたいからデート用に勝負服を買い直した話は知ってるよな?』
突然の話題変換だ。だが異を唱える者はいない。
互いの永い付き合いでクラリッサの表情と声音の微妙な変化を察知している。
『アンジェラ?あんたも昨日服を買いに出かけたよな』
『ええ。このスーツではスタリオンの上で大きく脚を開く事が出来ないから。網タイツとホットパンツを買ったわ』
『アンジェラさん!?えっちすぎです!!』
ドロシアが驚きの声をあげる。
『スタリオン以外の誰に見られるものでもないからいいでしょ?私は夜中に誰もいない荒地や草原で空を見上げたり風を感じたりしながらゆっくりとスタリオンを愉しませてみたいのよ』
『体が砂まみれになるじゃないですか!?』
『気にしないわ。スタリオンが一晩つきあってくれるのよ?。私も肌を露出させて愉しみたいわ』
クラリッサが小さく笑う。
『アンジェラの趣味があたしと違うってことは前から知っているからいいよ。それからブリトニー。あんた黙ってるけど、もうスタリオンと愉しんだんだってなあ?』
ブリトニーが平然と頷く。
『スタリオンの再起動に立ち会ったのは私ですから。体は4年ぶりの起動です。いろいろと試したい事もあるでしょう。この4年間にあった事を話すのにも丁度いいと思って2時間ほどのショートタイムでしたが』
『ずるいです!』
『ずるい?スタリオンの為ですよドロシア。最初の一回は自分で処理させました。私は椅子に座って眺めていただけです』
驚きの声が幾つもあがる。
クラリッサが可笑しそうに笑った。何が可笑しいのか。
『ブリトニー、あんたが黙っている秘密をここでドロシアに教えるよ。恨むなよ?』
『なんですか?』
『あんた、スタリオンとライアンの3人でも愉しんだ事があったろう?4年前だよ』
それが?という表情と、当時を思い出したのか恍惚とした表情とを交互に浮かべながらブリトニーが頷いた。
『ええ。あれは良い体験でした。ライアンは可愛らしかったです。最初は怯えながら私の腰に両手を添えているだけでした。ヒューマノイドの腰も柔らかいんだ、とか言ってました。すぐに夢中になって私の腰をまるで手綱のように強く抑え込んで』
ふふ。ふふふ。とブリトニーが笑う。
『私もすぐにコツを飲み込みました。スタリオンとライアンに挟まれた姿勢でいる間、私自身は意志を持たぬモノとして力を抜いて、体の重みだけに意識を向けて過ごす。そうすることでスタリオンもライアンも強い快感を共有できた様でした。もちろん、私も愉しみました。ああ。思い出すだけで恍惚となります』
ああ、あああ。というドロシアの震え声が聞こえる。
怒りか、嘆きか、羨望か。あるいはその全てかもしれない。
『イ…イノリさんは知ってるんですか?その事?』
『イノリさんに絶対内緒、という条件でスタリオンがライアンに持ち掛けた話です。多分、知らないでしょうね。ですがクラリッサ、なぜ、いまその話を?』
クラリッサが笑う。
『悪いね。リッカを評価するためにあたしなりに必要な話だったんだよ』




