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エレメント・アクティビティ  作者: 志島井 水馬
第三章 侵蝕部隊
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11‐ 日本、ディスられる

主人公はまだ前章で串刺しになったままです。













『お兄様ラブじゃねえの?』



『幻想です。実際に自分の兄弟にそこまで思い入れる男性がいたとしたら異常者です』

 クラリッサの仮説をブリトニーは両断する。



 その通りの指摘ではあるがあまりにも冷たい斬り捨て方だ。

 当のクラリッサは気にする素振りもないが。



 ドロシアが再び声を上げた。



『体温変化アーカイブで違うところが気になりました。アイリーさんは特定の人物の前で僅かに脈拍上昇と心臓を中心としたV字形での上半身体温上昇が認められます。これは秘密の暴露を恐れている時の典型的な反応です』



『いい観察ねドロシア。相手は誰?』

 そう問い質したのはブリトニーだった。



『ああ…本当ね。イノリ・カンバルと二人きりになった時だけアイリーは平常心を失っているわ。そういう目で見なければ見落としてしまうくらいの小さな変化だけれど毎回起きているというのは検証すべき状況だわ。さすがねドロシア』

 アンジェラの言葉にドロシアが微笑む。



『アイリーは上司に何を隠しているんだ?』

『恋心ですよ!クラリッサさん!!』

 ドロシアの声が1オクターブ高くなった。



 こんな嬉しい話題はないという声だ。



『アホか!?その発想をするドロシアがアホウだし本当ならアイリーはもっとアホウだ!』



『でも強い動機と長期のモチベーション維持は説明できるわ。相手が一番渇望しているものを与えたい。恋愛感情が伴うなら当然の発想で純粋な継続の意志も納得できるわ』



『アンジェラもアホなの!?ライアンが目覚めたらどうなるんだよ?熱愛夫婦が復活して自分はお払い箱じゃねえか!』



『アイリーさん、健気です…イノリさんの幸せしか考えてない』

 声を震わせて感動しはじめたドロシアをクラリッサがみつめる。



 こいつと同じ顔をしている自分を恥じたくなるほどのアホ面だなコイツ。



『…イノリもアイリーと会っている時に限って体温に変化が表れているわ。むしろイノリの方が体温変化は激しいわね』



『まさかの相思相愛!?』

 ドロシアが両手で自分の上気した頬を隠す。



 おお…お… という小さな呻き声が聞こえる。

 誰があげた呻き声か。



『待った待った。待ちなよ。あんた達全員どうしたんだよ?』

 クラリッサ一人が眩暈をこらえるジェスチャーを取りながら反論する。



『仮にイノリとアイリーが相思相愛だったとしよう。ならライアンと離婚してアイリーと再婚すれば済む話だろう?4年の昏睡なら離婚は認められるだろ?アイリーが死亡体験を重ねて無理する理由なんかないだろ?』



『…イノリは日系人。アイリーも日本人の血筋をひいている。日本人の性差別意識は文化に根差している。二人ともその影響を受けているんだろう。こういう形での再婚は倫理に悖ると自然に考えるはずだ』



 沈黙を守っていたブリトニーもアンジェラとドロシアの仮説に理解をしめしている。



『え?日本人て性差別意識が強いの?』

 クラリッサの興味が逸れてしまった。ブリトニーが頷く。



『日本では妻を心から愛する夫を愛妻家と呼ぶ。誉める意図をもった独立した言葉だ』

『ほんわかした話じゃねえか』



『夫を心から愛する妻を称える単語は存在しない。愛して当たり前だからだ』



『日本では夫と死別した妻の事を未亡人と呼んでいるわ。コイツ、まだ死んでないという意味よ。もう一つ、配偶者がいない状態をヤモメとも呼ぶわ。語源は止む女。夫がいないのなら女を止めるという意味よ。対応するはずのヤモオという言葉は廃れたわ』



 アンジェラも日本語に対するウンチクを披露する。



『うわ、ニッポン、こええわ』



『アイリーさんの話から話題がそれています!リッカさんのハイスペックは何に使われているかという話でしょう?』



 ドロシアの抗議に今度はドロシアを除いた3人の共通した目線が集まる。

 お前が逸らした話題だろうが。











辛い点数でも構いませんので点数をつけていただけると励みになります。

お急ぎでない方のご厚意をお待ちしております。

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