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第61話 燃え尽きちまったよ、真っ白に……

 本当に遅くてすいません!!

「い、嫌です!」

「何故だい? 別にそれくらいいいじゃないか。それとも観られてたら何か不味いのかい?」


 アレン先生の目が鋭くなった。

 そこにイリス先生が加わる。


「それに、何故ユキさん、貴女が魔剣を持っているのですか? 魔剣は簡単に手に入る物では無いはずですが。 ご家族は知っているのですか?」


 そんなの知っている訳ないじゃない!!

 ど、どうしよう、このままじゃ家族に言われて更に面倒な事に!!


「それではこうしようか、これは此処だけの話、今此処で聞いたことは誰にも公開しない。その代わりユキくん君は全て俺たちに話すどうだろう」


 うぎゃー!!

 この、楽な道に誘いこむような手口、あなた達は詐欺師か何かですか!?


 そもそも、先生達が聞かなでくれたらその方いいんだけど、それたと先生達が納得しなさそうだし……うーぎゃー!!

 もういいもん!! どうにでもなれ!!


「はー。これでいいですか?」


 私は深い溜息を吐いて、「異空間箱」からカラドボルグを取り出した。

 後でカラドボルグに愚直を聞いてもらおうそうしよう。


「!?」

「この存在感……ユキさん、まさか……」


 出せって言ったのは先生達だからね! 私は知らないから!!

 でもどうしよう、どう説明すれば……。


 私はカラドボルグを締まった。


「ユキくん、あの魔剣はカラドボルグでいいのか?」


 もう観してしまったし隠す意味は無い、か。


「はい」


 私は簡素に簡潔に答えた。


「「………………」」


 しばらくの間、先生達は言葉を発さず、思考の海に漂っているようだった。


 最初に言葉を発したのはイリス先生だった。


「教えていただけませんか。何故ユキさんが伝説の大陸魔剣、カラドボルグを持っているのか」


 イリス先生は一見真面目に質問し冷静でいるようだが、その目は好奇心で満ちているような感じがした。


 私はどう説明していいか悩んでいた、てかさっきからそれしか考えていないよ。

 ハルちゃんに達のことを説明するか、でもハルちゃんの部下と戦ったことを言ってややこしくもしたくない。

 

 本当にどう答えよう。


「先生はハルち……魔王ハルツ……何だっけ?」


 いや、友達の名前を忘れるってどうかとは私も思うよ? でもね、言わせてほしい、名前ナゲーーンだよ!!!


「ん? 魔王ハルツィナ・ロア・アンファングのことか?」

「そうそれ!!」


 おっと、つい声を上げて仕舞った。


 つまりは、この場を丸く納めれば私の勝ちだ! まぁ勝負なんてしてないんだけど。

 そのためにはハルちゃんの部下達と戦ったことをやノイルちゃん騒動を伏せつつ先生達を納得させるしかない。


 そして、私はこの場を丸く納める名案を思いついた! それは!!


「私はその、魔王ハルツィナ・ロア・アンファングと友達なんです!」


 うん、我ながらいい案だよね! だってカラドボルグと出会えたのだってハルちゃんと友達じゃなかったら無理だったはずだし。


 〖真実の天秤〗も左に傾いているし。


 だがユキは気付いてはいなかった、魔王と友達とはどういう事なのかを、そもそも魔王とは強さの象徴なのだ。

 その友達と言うことはユキ自信も魔王と同格ということになる。 

 普通ならそんな事を信じないだろう、だが〖真実の天秤〗今の言葉は嘘ではないと言っている、だとすれば、魔王と友達という妄言を本当に思っている哀れな子だ。

 もし、本当に魔王と会ったのならば友達と、そう思わせ操り人形のようにされていると疑うのが普通・・である。


 そう、ユキは普通ではなかったのだ。


 そもそも、カラドボルグに認められている時点で普通ではない。

 アレン先生、イリス先生、共にユキが大陸魔剣カラドボルグを出したときにその禍々しいさに息を吞んだ、本能で分かってしまったのだ、これは本物だと。

 そのカラドボルグは確実にユキが所有者である、それは盗賊団との戦闘で裏付けられる。


 そんなユキが、カラドボルグに認められたユキが、魔王に認められたことは、当然のことなのかもしれない。

 これは、運命なのか必然なのかは誰にもわからない。


「なるほど、魔王ハルツィナと友達なのか。それは分かった、カラドボルグは魔大陸の何処かに在ると言い伝えられていたのだから、それが魔王ハルツィナが管理していたのだろう。しかし解せない、魔王ハルツィナとどういう経路で知り合ったんだ? 魔王ハルツィナはあまり人間側に関心がない人大陸には来るとは考えにくい」

「まさかとは思いますがユキさん、ハイト国の主都に行ったのではないですよね? この夏の長期休暇に」


 え、ええ、と。


「はい、行きました」


 この時、私はかつて感じたことのない雷が落ちた。

 もうそれは怒涛の勢いで説教を食らわされましたよ、ああ、アリアちゃん心配していないかな?


 私はもう、燃え尽きちまったよ、真っ白に……。



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