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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第三章 新たなる出会い
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第60話 氷炎

ようやく60話ですね。

本当は、投稿開始から一ヵ月までは一日に2話投稿を目指していたのですが、最近のドタバタでそれも達成することが出来ませんでした。読んでくださってる方には申し訳ないです……。

『ガルルルアアアアッッ!!!』


 山羊の脚に獅子の爪を持つ異形の怪物……合成獣キマイラの凶悪な腕が俺に振り下ろされる。


「……くっ、重いッ!」


 少量とは言え、マークの【毒の牙(ポイズンファング)】による猛毒を受けた筈の合成獣の動きは、先程よりも激化していた。

 これまでとは違い赤く血走ったその四つの瞳は、激しい怒りだけを感じさせる。


『ガルルッ!ガオオオオオンッ!!』


 一時的な膠着状態に陥っていた俺と合成獣の戦いは、その雄叫びにより再開された。


 両腕から次々と繰り出される連撃、隙をついて襲いかかる毒蛇の牙、強靭な山羊の後脚による蹴りつけ……。

 一つでも行動を間違えば、命を奪われる。激化する攻撃だけが、俺にそれを実感させた。


『ガルルルアッッ!』


「おおっ……らっ……!」


 一段と重い合成獣の一撃を、硬化した右腕で振り払う。


 そして、俺と合成獣は後ろへ距離を取った。

 互いに、ジリジリと一定の距離を保ちながら睨み合いを続ける。

 俺も合成獣も、相手の隙や攻撃のタイミングを伺っているのだ。


 俺は何時でも攻撃を受け止められるよう、両腕を硬化させたまま身構える。

 合成獣も、双頭だけでなく毒蛇の瞳までこちらに向けて隙を伺っているようだ。


『……ガオオオオオンッッッッ!!!』


 先に静寂を破ったのは、痺れを切らした合成獣の方だった。

 大広間に轟音とも言える程の雄叫びが響き渡る。


「来るか……!」


 爪の振り下ろし、脚力に任せた強引な蹴り上げ、尻尾の毒蛇による噛みつき、そして獅子の頭から放たれる強力な火炎ブレス……。

 今の距離感と体勢ならば、そのどれが来ても対応が可能だ。


 俺が身構えると同時に、合成獣は大きく息を吸い込んでブレスの準備を開始する。


 だが、これまでとは違う点が一つだけあった。

 今まで積極的に攻撃をして来たのも、火炎の息を吐き出したのも、合成獣の右側の獅子の頭の方だった。

 しかし、今回ブレスを放とうとしているのは、今まで沈黙を保っていた左側の頭なのだ。


(まさか、何か他の攻撃があるのか……?)


 そう考えた俺は、未だブレスの予備動作を続ける合成獣から更に距離を取る。

 もちろん、火炎ブレスである可能性も捨てられないので、全身を硬化させられるようそのことも忘れない。


『……ガオオオオオオオオオンッッッ!』


 そんな叫びと同時に左の獅子から放たれたのは、燃え盛る火炎ではなく凍えるような氷の息だった。

これまで以上に範囲の広いその攻撃を間一髪で避けるが、ブレスの範囲に残った右足が凍り付く。


「くっ、まずい……っ!」


『グルルルルルッ……』


 身動きの取れなくなった俺に向かって、ジリジリと合成獣が迫る。

 辛うじて【硬化】は出来るが、大きく動くことの出来ない今の俺では合成獣の攻撃を凌ぎ切れない……!


『ガルルルルルアアアッ!!』


 合成獣が叫びと同時にこちらへ走り出し、その距離をあっという間に詰める。

 そして、大きく右腕を持ち上げるような体勢で、こちらへと跳びかかってきた。


(まずいな、流石に直撃は……!)


 いくら耐久のステータス値が高い俺であっても、この合成獣の攻撃を素の状態で喰らってしまえば致命傷になりかねない。

 だが、回避する手段のない俺は、ぎゅっと目を瞑ってその衝撃に耐える。


 そして、合成獣の気配が間近にまで感じられたその瞬間だった。


「……【聖縛鎖ホーリーバインド】ッ!!!」


そんな声が辺りに響き、マークの【聖縛鎖】が合成獣の巨体を縛り上げる。


「……マーク!?」


「毎度ギリギリですまない!そのまま動くなよ!」


 マークの言葉と同時に遠くで青い光が放たれ、クロエの【水弾アクアバレット】が、右足の氷だけを的確に破壊した。


「クロエも!ありがとう!」


 俺が魔法の放たれた方向へそう叫ぶと、気を付けなさいよという声が聞こえた気がした。

 何にしても、遠くから俺の足元だけを確実に撃ち抜くその腕前には脱帽だ。


『グ……グギャッ……ギャオオオオオオンッッ!!!』


 数分の拘束の後、マークの【聖縛鎖】が破られる。

 長時間拘束ができれば、そのまま倒すチャンスになったかもしれないが、流石に相手もそう上手くはさせてくれない。


「……よし、試合再開だ!」


 俺が動けるようになったのを確認したマークが撤退を図る。

 それをサポートする意味でも、俺は【挑発】を発動して合成獣の視線をこちらに縫い付けた。

 これで、無事に結界の無い階段方面へと抜けることが出来ただろう。


『ガオオオオオオオンッ!』


 俺の【挑発】を受けた合成獣は更に怒りを増幅させ、攻撃を激化させる。

 容赦ない爪の一撃が俺の腕を切り裂こうとしては弾かれ、ギリギリと嫌な音が響く。

 相手の挙動を見て、それを一つ一つ防いでいく。


 防御だけなら、全身を硬化させれば済む話なのだが、氷のブレスが判明した今では、もし隙を見せればすぐにでも氷漬けにされてしまうだろう。

 そうなってしまえば、流石の【硬化】であっても無事でいられる保証はない。


(ダメだ、何か打開策を見つけないと……!)


 ……このままではジリ貧だ。

 時間の経過により俺の集中が乱れれば、その隙をついた合成獣の攻撃の餌食となるだろう。そうなる前に、自分自身で何か策を考えなければならない。

 予定ではマークが隙を見てもう一度、【毒の牙】を放つ予定だったが、その前に俺の集中力が途切れる可能性の方が高いのだ。


 マークの【聖縛鎖】かクロエの【水牢獄アクアプリズン】で拘束……いや、炎龍フレイムドラゴンと同じように両方を使って隙を作るか?

 いや、ダメだ。炎龍と違って敏捷も高い合成獣には魔法を躱されてしまう可能性の方が高い。


 いっそのこと、俺が【挑発】を発動しながら全員で総攻撃を仕掛ける……?

 これもダメだ。相手の体力の底が分からない。

 もし総攻撃の後に反撃を喰らえば、そこから一気に全体の連携が崩壊してしまう。


(思い出せ、思い出せ……!)


 この場にいる三人の中で、唯一俺だけが持つもの。

 それこそが、現実世界生きてきた中で手に入れた知識の数々。


 思い出せ、ゲームでの出来事を、その中で手に入れた知識を……。

 未だに抜けきらない中二病のせいで無駄に詳しい雑学を……。


(今まで手に入れた知識を総動員しろ……!)


 相手は合成獣キマイラだ。

 その種族から導き出せ……!その特徴を、そして弱点を……!

 応用できる知識を思い出せ……化学を、物理を、数学を、歴史を、そして神話を!


(いや、待てよ……?)


 そして長い思考の末、俺はようやく思い出した。

 合成獣に関する、この状況を打破する為のとっておき秘策を……!

次回は早く帰れれば本日中、無理だった場合は昼前頃に投稿になりそうです。

投稿頻度が遅くても長めなのと、早くて短いのはどっちがいいんでしょうね?

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