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第五話と第六話
【第五話】
私は完全に平静さを失っていた。まさか魔獣が生き返るとは。
咆哮が響く洞窟を必死に逃げる。暗闇の中、微かな記憶を頼りに進む。
魔獣が生き返った例はこれまで無いはず。
ということは聖剣の力が通じなくなってしまったのだ。
そのとき私は初めて新たな時代が到来したことを悟ったのだった。
【第六話】
「俺は雨の日が嫌いなんだ」
「どうして嫌いなの?」
「俺が死んだ日を思い出すからだ」
「どういうこと?あなたは生きてるじゃない?」
「俺が自分の魂を売った日は土砂降りの雨だったんだ」
「もしかしたら私たちの結婚式の日のこと?」
「殺し屋を卒業した日でもあるからな」
第5話では、「平成」と「令和」を入れてSSを創ってみました。
新しい時代が良きものでありますように!