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第32話 幽霊船を調査せよ!

第32話、公開です!


与人たちは今後を話し合うのであった。

「では、全員が集めた情報を整理させてもらいます」


 与人たちはカピの宿屋にてそれぞれが集めた情報をストラがまとめていた。


「アイナ先輩大丈夫ですか? さっきから落ち着かない感じですけど」

「だ、大丈夫です。全く、一切、問題ない」

「剣の人、震えながら言っても……」

「コホン! よろしいですか三人共」


 ストラに軽く睨まれランとリルは会話を打ち切る。

 アイナは未だにソワソワしているがストラは取り敢えず進める事にする。


「では最初の確認ですが、ここ最近カピの近海に幽霊船が現れ漁の邪魔をする。これは集めた情報に共通している事例です」

「だな。それだけでも厄介な事この上ない」


 リントがそうため息交じりに言うのに皆が苦笑する。

 最初はカピの住民も噂話程度にしか思っていなかったが、それが一週間そして一ヵ月と続き困り果てていた。

 王都に対処して貰おうにも連絡も取れずこのままでは漁で生計を立てているカピの住民全員が飢え死にしてしまう所まで来ていた。


「疑問。ですが問題はそこだけではありません」

「セラ殿の言う通り、不可思議なのは幽霊船の話には二パターンあるところです」


 ストラはセラの言葉を肯定しつつ情報をまとめたメモ書きを皆の中心に置く。


「一つは威力的に妨害してくるというもの、中には砲撃されて船が大破したと言う情報もありました」

「もう一つはただ付いて来て進路を塞ぐ。……何か極端だな」

「そうですね。積極的に妨害してくるという話もあればただ不気味だという話もあって最初は混乱しました」


 与人の感想にユニがそう答える。

 皆もそれぞれ考えてはいるが大なり小なり同じ考えのようである。


「で、我らが頭脳はこれをどう見るのかな?」


 ティアがストラにそう聞くと彼女はモノクルの位置を調整しつつ答える。


「頭脳はあくまでも与人様ですよティア殿、私は補佐に過ぎません。そこはハッキリさせなければいけません」

「そうだねゴメン」

「いえ。……さて質問の答えですが現時点では情報が少なすぎて不明としか。条件があるのかそれともランダムなのか」

「それで私たちはどうするべきなんでしょうか」

「それを決めるのは与人様です」

「え! う~ん」


 カナデの言葉にそう答えるとストラは与人の方を向く。

 突然話を振られ戸惑う与人にリントが声を掛ける。


「そう悩むな。間違えても何とかしてやる」

「間違える前提なのはどうかと思いますがリント殿の言う通りです。与人様はするべきと思う事を口にすればいいのです。……まあ的外れであればダメだしさせて貰いますが」

「何気にストラ先輩も厳しいし」


 ランのその言葉に一同に笑いが起こる。

 与人は笑みを浮かべると答えを出す。


「何時その幽霊船が去るか分からない以上、ここで足止めをくう訳には行かない。対処出来るかどうかは分からないけど調査ぐらいはすべきだと思う」

「決まりですね。船はここで買うか借りるか出来ると思いますが、問題はメンバーですね」


 ストラはそう言うと全員を見渡す。

 皆その視線を受けているが一人だけその視線から逃げている人物がいた。


「……アイナ殿。何故目を合わせようとしないのですか?」

「そ、そんな事は無い」

「聖剣、そんな言葉は目を向けてから言え」


 やけに挙動不審なアイナに皆が疑問に思う中でランが答えにたどり着く。


「もしかしてアイナ先輩。幽霊とかその類い……苦手?」

「ななななななな何を言っているのですか! せ、聖剣である私がいくら切っても効果の無い幽霊を恐れるとでも!? な、何なら私一人で行ってもいいのですよ!」

「じゃあそうするか。ここはアイナ一人に任せるという事で」

「……え? あ、主様?」


 与人の言葉に絶望したかのような声を出すアイナに次々に追撃が入る。


「そうだな、何せ聖剣だからな。一人でも大丈夫だろう」

「肯定。幽霊に後れを取るとは思いません」

「剣の人、凄い」

「え、え~と。が、頑張って下さいね」

「あ、あの。その。うぅ~」


 涙目になりつつあるアイナを見て与人が笑い出しのをきっかけに他の皆も笑い出す。

 からかわれた事に気付きアイナの顔がみるみる赤くなる。


「な、何ですか皆して! あ、主様も意地悪しないでください!」

「ゴメンって。でも可愛かったよアイナ」

「っ~~!!」


 可愛いと言われたことに対する照れか、怒りかは分からないがアイナは更に顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。

 その様子を見つつストラは前に進める事にする。


「ではアイナ殿は今回不参加として。私からはリル殿とカナデ殿を推薦します」

「その理由は?」

「単純に調査に優れている二人ですので。リル殿は鼻で、カナデ殿は音での調査をお願いしたいと」

「二人はどう? 大丈夫?」


 そう与人が聞くと二人は頷く。


「……問題ない」

「私がお役に立てるのであれば」

「決まりですね。それと連絡、そして魔力での調査役として私も参加します。それと今回与人様にも参加して貰えると」

「ん? 主もか?」

「ええ。何か問題があった際に『瞬間跳躍』での安全確保役として」

「了解。後は戦闘出来る役がいれば完璧なんだけど」

「あ、それだったら私が行く! 幽霊船とか興味ある!」


 ランがそう手を挙げながら希望するのを確認するとストラは全員を見渡す。


「……ではこれで決まりですね。何か変更したい事、確認したい事があれば個別に私か与人様にお願いします。最後に与人様、何かあれば」

「ん? じゃあ調査に参加しないメンバーも何があるか分からないから気をつけて」

「一番戦闘力が無い主に言われても説得力が無いがな」


 リントの言葉に一同から笑いが漏れ出し作戦会議は温かな様子で終わりを告げるのであった。



「主、少しいいか?」


 話し合いが終わり皆がくつろぐ中でリントが与人がいる個室をノックし声を掛ける。


「ん? リント?」


 与人が一応姿を確認し扉を開けるとリントが腕組みをしつつ立っていた。


「中に入る?」

「いやこのままで問題ない。これを渡しに来ただけだ。一応手作りだ」


 そう言うとリントは小袋を与人に渡す。


「これは?」

「カピに伝わる海難を防ぐお守りらしい。中を見るなよ効力が無くなるらしいからな」

「……わざわざ?」

「ここまで大所帯になって主に居なくなられても困るからな」

「ありがとう」

「礼は皆に言え。言ったら全員で作る事になったからな」


 そう言って去ろうとするリントであったが立ち止まり振り返る。


「……簡単に死ぬなよ」

「分かってるって」

「ん、ならいい。……ついでに質問だが、聖剣が意地を張っていればそのまま連れて行くつもりだったか?」


 リントがそう聞くと与人はニヤリと笑い答える。


「さぁ? どうだろうね?」

「随分といい性格になったな」


 その言葉に呆れと共に温かい気持ちが乗っていた事を与人は気づいていた。

今回はここまでとなります。

アイナの弱点が曝された今回、如何でしたか?

次回は幽霊船調査に乗り出します。


感想もらえると嬉しいです。

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