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第30話 また次の国へ

第30話を公開です!

アークウィザードの紗良との戦い、その行方は?

  パラケスの都市にて始まった綿貫紗良とリントたち三人との戦闘は始まったばかりではあったが終わりへと近づいて来ていた。


「何なのよあんた達!! さっさと消えてよ!!」


 そう言って上級魔法である《エクスプロージョン》を連発する紗良であるが。


「ハァ!」

「甘いよ!」


 リントとティアは上下左右に自在に動き避け続ける。

 それでも避けきれない余波などはユニが張ったバリアによって防いでいた。


「あの子随分狙いが荒いね。まともな戦闘は初めてなのかな?」

「だろうな。こっちにとっては都合がいいが」


 紗良の狙いの甘さを指摘するティアにリントは肯定の言葉を言う。

 実際『グリムガル』では対人の訓練などはしておらずただ力の使い方を簡単に教わっただけである。

 二人が一度ユニの所まで引くとユニも先ほどの会話を聞いていたのか忠告を伝える。


「ですが彼女のバリアも強力です。二人とも決めるなら一撃じゃないとしっぺ返しを食らいますよ」

「だね。じゃあ私がバリアに対処するからお仕置きは任せたよ、リントくん」

「任せろ。死なない程度に一撃入れてやる」

「来ます!」


 三人はそれぞれ散る事で爆発を避ける。


「ハァ……ハァ……」


 連続して上級魔法を使い続けた紗良には疲れが出ていた。

 そして先ほどから攻撃が当たらない事に対して紗良の苛立ちは頂点に達しようとしていた。


「邪魔だって! 言ってるでしょ!!」


 苛立ちがなせる業なのか紗良は今までより強力な《エクスプロージョン》を放った。

 爆炎と爆風が周囲一帯を吹き飛ばす。

 そして紗良の視界が晴れた時に目の前にいたのはリントとユニの二人であった。


「ハ……ハハハ!! そうよこれが正しいのよ!! だからあんたらも早く消えてよ!!」

「残念だけど、主くんの事もあるからね。そう簡単にやられないよ」


 突如上から聞こえて来た声に紗良が反応し見上げるとそこには二刀を構え自分に向かって降下してくるティアがいた。


「こ、来ないで!!」


 混乱する頭の中で紗良は何とかバリアを張るがそれを見てティアは微笑む。


「残念だけど本命は私じゃ無いから。けど仕事をキッチリ決めるよ。……《廻天》」


 ティアは体を捻りながら降下し数えきれない連撃で張られたバリアを破壊する。


「……え?」


 目の前の起こった事実に紗良の思考は停止してしまった。

 故にすぐ目の前に拳を握り接近していたリントにすら視界に入らないでいた。


「仕舞いだ」


 そう言ってリントは拳を紗良の腹部にめり込ませる。


「……!!」


 声にならない悲鳴を上げつつ紗良はその勢いのまま吹き飛ばされてしまう。

 空中に浮かび上がった彼女はやがて重力に導かれるまま地面に叩きつけられる。


「だ、大丈夫でしょうか? かなり吹き飛ばされていましたけど彼女」

「問題ない。無意識にバリアで衝撃を和らげていた。……まあ骨の何本かは逝ったと思うがな」

「容赦ないねリントくん」

「それはそうとマンティス。さっきのあの技名みたいなのは一体なんだ」

「ああ。折角だから主くんと一緒に必殺技を考えてみたんだ。リントくんもどうだい?」

「興味ない」


 その様な会話をしつつ三人は吹き飛ばした紗良の近くに寄る。

 血は流れてはいるものの息はしているため生きてはいるようである。

 ただし三人が近づいても反応はせず気絶した様子である。


「で、どうしようかこの子」

「どうしたも何も、ここの兵士に突き出す他に無いだろう」

「そうですね。流石にこの惨状を生み出しておいてこのまま返すという訳にも……」


 そう言ってユニが魔法にて紗良を拘束しようとした時、何かが飛来するのをリントとティアは見逃さなかった。


「危ない!!」

「チィ!」

「キャァ!?」


 咄嗟にリントがユニを地に伏せさせティアが飛来物を撃ち落とす。

 カランと音を立てて地面に落ちた物はナイフであった。

 飛んできた方向を三人が見るとそこには黒いロープに身を包んだ集団が三人を囲んでいた。


「この子のお守りかな?」

「だろうな。全然制御は出来なかったようだが」

「戦うつもりなんでしょうか?」


 集団を気を付けつつリントとユニは立ち上がり対峙する。

 しばらくの間、沈黙が貫かれたがやがて集団から一人出て来る。


「戦うつもりは無い。その少女をこちらに渡してもらえれば大人しく引き下がる」


 声からして女と思われる者はそう言うが、それをリントは鼻で笑う。


「随分と上からだな。早くここから引かなければいけないのはそっちの方だろ?」

「……」


 痛い所を突かれたのか押し黙るロープの女。

 それもそうだろう、『グリムガル』にとって一番最悪なのはこのまま『ソーサラス』の人間に姿を見られる事なのだから。

 だが恐らく提案を考えている女をよそにリントは背を向ける。


「行くぞ二人とも」

「まあ、そうなるかな」

「そうですね」

「……見逃してくれるのか?」


 女が恐る恐るといった様子で聞くのに対しリントはため息を吐きながら答える。


「その女と主の関係を『ソーサラス』の人間に探られたくないだけだ。何でも話しそうだしなその女」

「……恩に着る」

「だがお前らの飼い主に言っておけ。我々はそちらの邪魔をする気は無い、そしてこれは借り(貸し?)だ。とな」

「確かに。……立場上こんな事を言うのはアレですが、あなた方の旅路に祝福があらん事を」


 そう言いつつ紗良を抱えると女を含め黒い集団は風のように消えていったのであった。



「申し訳ないです。復興を手伝えないで」

「いえ! あなた方のお陰で被害を食い止められたのですから! 寧ろお礼をするべきなのですが。ご覧の有様ですのでその余裕が……」


 与人が申し訳なさそうにするのに対しリントたちが助けた隊長が頭を下げつつ謝罪する。

 あの後やって来たパラケスの兵士たちに、リントは『追い詰めたが逃げられた』と主張し兵士たちもそれを信じた。

 事実を伏せた事もあり与人たちは一気に英雄扱いされる事となった。


「いえ、そんな……。早急な復興を願っています」

「ありがとう。是非またパラケスに来てくれ、今以上の賑わいを約束するよ」


 そう言い合って隊長と別れた与人は少し離れた所にいた仲間と合流する。


「区切りはついたか?」

「ああ。時間をくれてありがとうリント」

「じゃあお兄ちゃんの心の負担も減った事だし。そろそろ行こうか!」

「既に準備は出来ています与人様」


 ランとストラがそう言うと他の皆も頷く。

 それを見て与人は一呼吸入れて皆に目的地を宣言するのであった。


「よし行こう! 次の国、『オーシェン』へ!!」

今回はここまでです。

次回は特別編となります、ご注意ください。


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