やっぱり兄妹だった
「なるほど。サキの言いたいことは良くわかりましたわ」
そこまでじっと黙って私達の話を聞いていたエフィーリア様が口を開く。
エフィーリア様から働きかけてもらえば学園側としても何らかの動きはしてくれる可能性が高いだろうから、同意してもらえるとありがたいんだけど、さてどうだろう?
「つまり、わたくしが先頭に立って動けばよろしいのですね?」
お?これはありがたい展開かも?
「そうですね。エフィーリア様から学園側から働きかけて頂ければ……」
「明日からでも、わたくしが先頭に立って見回りを致しましょう」
……ん?
何やら決意に満ちた瞳で胸を張ってらっしゃるけど、今なんて言った?
「ふふっ。
せっかく学園に入ったのですから、わたくしも何か学園生活の思い出となることをしたいと思っておりましたの。
これは学園生の皆様のためにもなりますし、将来に向けても良い経験になりそうですわ」
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよエフィーリア様。
何もエフィーリア様が先頭に立たなくても良いじゃないですか」
そんなことされたら、私まで付き合うことになるのが確定じゃないか。
「あら?ですがサキが仰ったのではありませんか。
誰もが逆らえないような地位や権力のある者が先頭に立つべきだと。
学園でわたくし以上にその条件に当て嵌る者がいますか?」
「いや、まあ、確かにそれはそうですけど。
ほら、うちのクラスにだって侯爵家の子とかいるじゃないですか!
確か他の学年には公爵家の方だっていましたよね!?」
やだやだやだ。
言ってることはわかるし、間違ってないと思うけど、めんどくさいから絶対やだ。
私としては、その辺りの生徒に話を持ち掛けられたらなと思ってたんだけど。
「ふふっ。今も困ってらっしゃる方がいるのにこんなことを言ってはいけませんが、楽しみですわ。
やっとわたくしも学園生活を楽しめそうですわね」
私の話聞いてないなこの人。
いや、聞いててもスルーして自分の話を強引に進めてるのかな?
この辺はやっぱり陛下の妹だなぁと思ってしまう。
似なくていいところが似た兄妹だよ、本当に。
「サキ様。
もう諦めてリアの好きにさせるしかないですわよ、これ。
こうなったリアは人の言うことなんて絶対聞きませんから」
幼なじみでエフィーリア様の性格を知り尽くしているレイシアからの全くありがたくない宣言。
「サキも、もちろん協力してくれますね?
だって、わたくしと仲良くしてくださると約束しましたもの」
とっても良い笑顔で、まるで死刑宣告のようなことを言うエフィーリア様。
あぁ、そう言えば顔合わせの時にそんな約束したっけねぇ……。
あんなこと言うんじゃなかったよ……。




