留学生の姉妹
「貴女様は?」
そう問い掛けて来たのは、菫色の髪に瑠璃色の瞳をした少女。
他の二人を庇うようにして立ち上がると、真っ直ぐにこちらを見てくる。
年齢はエフィーリア様やうちの侍女コンビより少し上くらいかな?
少しつり上がった意思の強そうな瞳をしている。
「私は単なる通りすがりだよ。
話し声が聞こえたから、何かなと思ってね」
「……そうでしたか。失礼致しました」
しばらくこちらを伺うようにじっと見ていたけど、やがて信じてくれたのかすっと目線を逸らす。
「ご挨拶が遅れ申し訳ありません。
わたくしはミリア・ラシールと申します。
隣国のフォーリア王国からの留学生です。
こちらは妹のカリナ。
同じく留学生です」
ミリア嬢の言葉に、もう一人の女の子。
カリナ嬢が泣いている子に寄り添ったまま、視線だけをこちらに向けて目礼する。
髪色は焦げ茶だけど、チラッと見えた瞳はミリア嬢と同じ綺麗な瑠璃色をしている。
「これはご丁寧にどうも。
私はサキ・ヤマムラ。
何者かはこの髪色でわかるかな?」
淑女の礼で挨拶してくれるミリア嬢に、私も簡易的な騎士の礼で返す。
ちなみに、フォーリア王国って言うのは、ヒマリのいるライオネア神聖王国とは反対側の隣国だ。
神聖王国は東隣で、フォーリア王国は西隣ね。
「それで、何があったの?」
私達が言葉を交わしている間も、クラスメイトの子はずっと泣いている。
見つけた時の様子や話した感じからしてもミリア嬢達が何かした訳ではないのはわかるけど、首を突っ込んでしまった以上はこんなにも泣いている理由をきちんと把握しておきたい。
「あ、あのっ」
未だに涙が止まらない様子のクラスメイトちゃんが声を上げる。
「お、お二人は何も悪くないのですっ!
わ、私が……私が平民だから……」
「あぁ……そういうこと」
クラスメイトちゃんの言葉に、ミリア嬢は不快そうに眉を顰め、カリナ嬢は困ったような表情になる。
どうやら、姉妹でも性格は結構違うみたいだ。
この学園には、元々平民は少数ながらいたし、今は貴族の減少もあって平民の数が増えている。
それでも、やっぱりいるんだろうね。
選民意識の抜けない貴族ってのが。
それで、平民のこのクラスメイトちゃんに何かするか言うかして泣かしたわけだ。
平民の学園入学とその後の登用は、陛下達が推し進めようとしている政策でもあるってのにね。
「そいつの名前わかる?
潰してきてあげるよ」
陛下の政策を邪魔するなら、まぁ殺っちゃうなりそれなりにしても大丈夫でしょ、たぶん。
そう思って提案したのに、留学生姉妹はギョッとしたような顔をしてるし、クラスメイトちゃんはぽかんとしている。
お、この姉妹。
あんまり顔立ちは似てないと思ったけど、こういう表情はそっくりだね。




