ラシール姉妹とエミリーちゃん
「いえっ!そんな私なんかのためにっ!」
何故か慌てるクラスメイトちゃん。
貴族のガキンチョ数人くらいなんとでも出来るから大丈夫よー?
「何言ってるの。
貴女、私のクラスメイトでしょ?
えーっと、ごめん、名前はわかんないけどさ」
何より、単純に私がムカつくんだよね、そういう奴。
大丈夫、殺しはしないから。たぶん。
ちょっとだけ、ほーんのちょっとだけ遊ぶだけだから。
「あ、私はエミリーです。
サキさんが私なんかをご存知だったなんて……。
恐縮です」
そう言って、律儀にぺこりと頭を下げてくるエミリーちゃん。
いつの間にか泣き止んで顔を上げている。
平民に多い茶色の髪に茶色の瞳だけど、少しだけあるそばかすがチャームポイントになっていて、中々に可愛らしい顔立ちをしている。
「いや、確かに私だけみんなより随分年上だけどさ。
今は一応クラスメイトなんだし、敬語とか要らないから」
まぁ、単純に怖いだけなのかもしれないし、そもそもの話し方が丁寧なだけかもしれないけど。
貴族の子とかそういう子多いもんね。
そもそも、平民で学園に入学出来てるってことは、エミリーちゃんは魔法なり学問なりのいずれかですごく優秀だってことだ。
いくら平民の受け入れ人数を増やしているって言っても、誰でも入れるわけじゃないし、まだまだ狭き門なのは変わらないからね。
だから、もっと堂々としてて良いんだよ、うん。
そんな感じのことを恐縮し続けているエミリーちゃんに説明していると、ラシール姉妹がじーっと私のことを見ている。
そういや、この子達のこと半分忘れてたな。
なんか随分と熱心にこっちを見てるけど『流れ人』が珍しいのかな?
確かに『招き人』と合わせてもそんなに人数はいないだろうけど。
「お二人もありがとうね」
私がお礼を言うようなことではないのかもしれないけど、クラスメイトがお世話になったので一応ね。
「いえ、わたくし達も偶然通りすがっただけだすので。
お礼を言っていただく程のことではございません」
そう言って微笑むミリア嬢。
「イシュレア王国では、平民の雇用が進んでいると聞いて留学に来ましたのに、あんな輩がいるなんて……。残念なことです」
ムスッとしているのはカリナ嬢。
二人が言うには、自国の学校は卒業しているものの、陛下が進めている平民の雇用促進政策に興味があり、自国でも取り入れられないか学びたくて留学して来たとのこと。
どおりで他の学園生よりも歳上に見えたわけだ。
ミリア嬢は20歳でカリナ嬢も19歳らしい。




