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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
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学園時代の二人の過去とこれからと

「ところで話は変わりますが……」


陛下の過保護話が恥ずかしかったらしい。

エフィーリア様が唐突に話題を変えようとする。

まぁ、いいでしょう。付き合いますよ。


「サキは勉学も優秀だったのですね。

やはり、軍部の方々に敬われているのはそのあたりのことも関係するのでしょうか?」


「まぁ、こっちに来る前にそれなりに勉強はしてましたから……」


一応元大学生だぞ。

それも、それなりに名の知れた大学に通ってたんだ。

受験勉強だってかなり頑張ったし、大学の講義もきちんと受けてたんだから。


ただ、勉強についてはともかくとして、軍部から敬われているってのはよくわかんないや。

部隊の隊員達とは仲良くやれてると思うし、団長や他の部隊長との仲も悪くはないけど。

まぁ、私としても軍部、特に騎士団全般に対しては身内意識みたいのも多少はあるから、本当にそうならちょっと嬉しいかもしれない。


「へぇ、サキ様ってもしかして頭がよろしいのですか?」


おい、失礼だなレイシア。

私をなんだと思ってるんだこの子は。


「えぇ。授業で指名されてもスラスラ答えておられますし、とても優秀なのですよ」


ありがとうエフィーリア様。

なんやかんやで褒められるのは悪い気がしない。


正直一般的な数学とかの学問のレベルとしては日本の方がかなり進んでいる。

学園は年齢的には高校生だけど、授業のレベルとしては中学生くらいだからね。

その分、日本にはなかった分野の学問もあるけど。

魔法学とか薬草学とかね。

あとは、経済学や経営学なんかもかなり実践的かな。

その辺は卒業後に実際に政に関わる生徒が多いのも関係してると思う。


「レイシアは学園時代どうだったの?ソフィアは優秀だったんだろうなと思うけど」


ちょっとした意趣返しも込めてレイシアの学園時代の成績を聞いてみる。

きっとあまり良くなかったんだろうなと思っていたら、予想に反してレイシアは誇らしげに胸を張っている。


「確かにソフィアは優秀でしたわ。

ずっと学年一番でしたし。

ですが、わたくしとて負けてはおりません。

ずっと二番でしたから」


ふふんとしてるレイシアだけど、それ負けてるからね?

でも、二番とは意外だ。

もしかして、案外真面目に通ってたのかな?

うちの屋敷に来てからの様子を見るに、根は真面目な良い子なのはわかってたけど。


「いえ、私はそんな……。

ただ、学ぶことが好きだっただけですから」


「エンメル伯爵家はかつて優れた官吏を数多く排出してきた家柄ですものね。

ご立派ですわ」


恐縮しているソフィアに、エフィーリア様が微笑みかける。

そして、それにさらに恐縮していくソフィア。


なかなかに微笑ましい光景だけど、そうか。

もしかして、ソフィアは官吏を目指していたのかな。

この国は女性の官吏もそれなりにいるし。

実家が取り潰しになったから今は私の侍女をしてはいるけど。


それに、ソフィアだけじゃない。

うちには、他にも同じような境遇の子がたくさんいる。

ずっと使用人として働くつもりの子もいるだろうけど、何かしらの夢や目標を持ってた子達も当然いるよね。


みんな本人は直接の罪を犯してはいないし、今は真面目に頑張っている。

この子達の将来についても、一度身柄を引き受けた以上は私が考えてあげないとな。

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