エフィーリア様の突撃訪問
「そうなの。そんで先生が予想以上に使い手っぽくてさー」
初の魔法実技の授業が行われた日の夜。
私は自室でソフィア、レイシアと駄弁っていた。
二人もやはり学園は懐かしいのか。
その日の出来事などを聞かせると楽しそうに聞いてくれるので、最近は毎晩学園での出来事を話している。
「私達が通っていた頃はおられなかった先生ですね。
恐らく今年度からの新任の方だとは思うのですが」
「そうなの?
エフィーリア様は元から知ってたみたいだけど」
「もしかしたら、エフィーリア殿下の入学に合わせて陛下が手配なさったのでは?
それでしたら、新任の先生が殿下のクラス担任というのも納得出来ますし」
「なるほどねぇ」
あの陛下なら有り得るなぁ。
今回の護衛任務の話を聞いた時の感じからして、陛下はエフィーリア様のこと溺愛してそうな感じだったし。
だけど、エフィーリア様からは特に陛下の話を聞かされたことはないから、陛下からの一方的な愛情っぽいけど。
翌日は休日ということもあり、そのまましばらく駄弁っていると、誰かが扉をノックする音。
一番扉の近くに座っていたレイシアが応対に出てくれるのを、ぼけーっと見守る。
「はい、どなたでしょう……え、リア!?
あ、いえ、失礼致しました」
リア?誰だ?
そう思っていると、レイシアに案内されて室内に入って来たのはエフィーリア様だった。
リアって、もしかしてエフィーリア様の愛称かな?
そう言えば、レイシアは元公爵令嬢だし王族とも血縁関係だもんね。
歳も近いしそのくらい親しくても不思議はない。
「まぁ、シア!お久しぶりね!
サキもごきげんよう」
「こんばんは、エフィーリア様。
珍しいですね、こんな時間に。
どうかなさったんですか?」
よく考えたら、珍しいどころか私の部屋にエフィーリア様が来るのは初めてだな。
よく放課後にお茶はご一緒させてもらってるけど、いつも私がお呼ばれして行くし。
「特に何かあった訳ではないのです。
明日は学園もお休みですし、サキやシアとゆっくりお話がしたいと思いまして……あら?
皆さんでお茶をされていたのかしら?」
テーブルの上に置かれた三人分のティーカップを急いで片付けているソフィアにエフィーリア様が目を止める。
「あぁ、そのままで大丈夫ですよ。
貴女はソフィア様ね?お元気そうで良かったわ。
さぁ、ソフィア様もご一緒しましょう?」
「え、いえ、そんな私ごときが……」
「ほらほら、良いから良いから」
いつも通りの極上スマイルを浮かべているエフィーリア様に、ソフィアが恐縮しまくっている。
普段はすごく落ち着いているソフィアのそんな様子が微笑ましかったけど、伯爵令嬢の身分だと王族と会うこともほとんどなかっただろうし仕方ないよね。




