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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第一部 魔女と聖女
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処刑の日。

「っ……!!」


処刑台を目にしたヒマリが、小さく息を呑む音が聞こえる。

両手で口を塞いで何とか悲鳴をあげるのを堪えてるみたいだ。


大丈夫かなと心配にはなるけど、これはもう仕方ないよね。

日本では普通の高校生として過ごし、こっちに来てからは聖女として丁重に扱われて来たヒマリは処刑台なんて目にしたことはなかっただろうし。

しかも、そこで処刑されるのが自分がお世話になった恩人なんだもん。


「大丈夫?」


「はい、なんとか……」


小さく震えながらでも、そうやって答えられるだけ大したもんだと思うよ、本当に。

私はイシュレア王国で何回も処刑は見てるし、処刑台に何人も送り込んだ側だから全然平気ではあるんだけど。


『隊長』


ヒマリを支えながら広場に辿り着いたところで、単独行動をさせていた隊員のマークから通信魔法で連絡が入る。


そうそう、マークってばこれまで全く存在感がなかったけど、実はイシュレア王国からこっちに来るまでの間も、来てからもずっと単独で動いて索敵やらをしてくれてたんだよね。

今日も私達からは離れて、どこかの建物に登ってこの広場を俯瞰して見てくれている。


ちなみに、私自身は魔法は全く使えないからこちらから通信魔法で話し掛けることは出来ないけど、聞くだけなら出来るから便利だよね。

あまり使い過ぎると魔法に長けた相手には感知されるけど、ちょっとしたやり取りには普段の任務から活用している。


『処刑台周辺にはそれなりの数の騎士や兵士が配置されていますが、広場周辺には最低限の人数しかいません。

これでしたら、作戦に支障はないかと。

また、魔術士の姿も確認出来ません』


なるほど、それは助かる。

どうやら教皇一派はこの場で何かをするような連中はいないと鷹を括っているみたい。

流石に油断し過ぎじゃないの?

悪どいことをしている割には色々と詰めが甘い部分も多いし、あんまり頭は良くないみたいね。


「ヒギンス」


「はっ!」



私は通信魔法が使えないから、代わりにヒギンスからマークへの指示を伝えてもらう。

魔術士が見当たらないことから、通信魔法が感知される可能性も低そうだし、人の波を掻き分けて広場の中を移動しながら小声でやり取りを続ける。


『ではご武運を』


「マークも油断しないで気を付けてねって伝えておいて」


「かしこまりました」


諸々の指示と確認を済ませ、改めて周りを見渡す。

うん、ここなら広場全体が私の視界に入るし、良い感じに目立てそうだ。

そう判断し、みんなに合図をして足を止めた瞬間。


騎士に両手を抱えられるようにして、クラリスが処刑台へと姿を見せた。

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