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王国を守る騎士団はボヤ騒ぎとこの謎のオークションを同時に発見するやいなや、リーダーらしき者の指示により速やかに消火班と避難役に別れて中の者たちを誘導する。
しかしこの会場の者たち全員、自分たちがかなりのグレーゾーンに足を突っ込んでいるを理解している。火からは逃れたいが騎士団のところにも行きたくはないジレンマに陥っていた。
「死んだら金儲けもできないぞ!」
騎士の一人がまごつく商人たちを叱咤した。ようやく気がついた商人たちは両腕いっぱいに金貨袋を掴んで騎士のもとへと走る。コレクターたちも命あっての物種だと切り替えて我先にと出口へ走り出した。
ほうほうの体で逃げ出すと出口に待っていたのはダイン騎士たちと騒ぎを聞きつけた衛兵たち。完全に包囲されていてこっそり脱することも難しそうであった。
「くそッ!くそォッ!」
この城に仕えているセーラだけは別だ。この見張り塔にあるもう一つの外への出口を知っていた。このままそこから脱して逃げおおせてしまおうという魂胆である。なんだかまだ頬が痛む。自分の収入源がことごとく燃えてしまった。消火したかったのにあの男が騎士団を内に招き入れた。
ひたひたと暗い地下へと続く階段を急いで降りていく。カンテラなどの明かりは場所がバレてしまうのでごくごく小さな明かりしか持っていない。
「あいつめ、騎士団とつながりがあったとは…だが場所は限られたものしか知らないはず…」
まあ、このまま逃げられれば自分は助かる。魔女が捕まったときだってそうだった。事前に情報を察知して、親交の深かった自分も狙われかねないことは容易に想像できた。だからさっさとこの国の宰相に泣きついて身の安全を確保してもらった。優雅に過ごしているうちに魔女が処刑されたとの知らせが入ってきてホッと一安心したところである。
それが今、このようなことをしていたと発覚してしまうと今度は宰相ですら助けられない。魔女の道具を売りつけていた者として祭り上げられる。
「王室公認ってついてるのに難儀なもんだ…」
公認しているのは宰相である。品物の認定印を捺したのもあの男だ。
大抵の奴らはその印で黙らせられるが、王を守る騎士団は別。所属が違うためこの販売会など知らされていない。過去の販売記録など調べられて、魔女のもの以外にも売り飛ばしてはいけない至宝が混ざっていた証拠を掴まれれば、一気に刑事裁判コースに入ってしまう。
「だけど捕まんなきゃいいのよ」
ニヤニヤと自分のこれまでの売上を確認して笑顔になる。そう、金があれば何でもできる。上の奴らが捕まえられて自分は逃げ切れる。
「ふふふ、天は私の味方――」
勝ち誇った矢先、ガラガラ大きな音を立てて背後から何かがセーラを突き飛ばした。




