表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
温故知新~ウラバン!前史~  作者: 万卜人
ある学生の場合
8/15

情報端末

 部屋の中で唯一つ、違和感を発散しているのは小さな情報端末である。つるりとした外観の情報端末は、部屋の中でそこだけ最新のテクノロジーを主張していた。


 自分の情報端末装置を見るたび、学生はやっぱり部屋に調和した、昭和時代のテレビに似せた端末に買い換えようかと迷う。

 あれなら部屋の雰囲気にぴったりで、画面をモノクロに調整すれば、益々昭和時代に戻ったようで気分が良いだろう。友達の何人かはすでに、そういったデザインの端末に変更していた。遊びに行くたび自慢されるので、学生は少々腹を立てていた。


「情報、ニュース」


 学生が命令すると、端末は学生の音声を認識して起動した。画面がニュース番組になって、最近の情報が次々と展開される。見るともなく画面に目をやり、学生は部屋の隅に立てかけてある白い塗装のギターを手にとる。


 ぼろん、ぼろんと気のない調子でコードを何度か試す。諦め、ギターを元に戻す。昭和時代の若者は、皆ギターを爪弾いたとあったが、学生には音楽の才能がなく、いくら練習しても上手くならない。きっと昭和時代の若者たちは、一人残らず音楽の才能が、生まれながらにあったんだ。


 考えは、やはり研究ファイルに戻る。


 どうしようかなあ……。折角の研究、無駄にするには惜しい。しかし、どこに持って生きようもない。やっぱり思い切って消去してしまおうか。


 ふと学生の視線が、画面の表示に釘付けになった。


【恒星間宇宙船に、あなたのアイディアを!


 人類初の恒星間宇宙船は、人類の進歩の証しとして、宇宙殖民を使命としています。しかし、最初の一歩については、未だ結論が出ていません。

 どのような社会を進むかは、あなたのアイディアによるのです!

 どうです? あなたのアイディアで、理想の植民星を開拓させたくはありませんか?】


 文面を繰り返し読み、つまりは宇宙殖民の第一歩をこちらに決めさせてくれる、という趣旨らしいと見当をつけた。


 学生は閃いた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ