第4話 お手伝い係・お菊さん
【第一部】心の扉―始―
お手伝い係の日常は、城内の掃除や備品管理、身の回りのお世話に加え、食事の準備や調理と、多岐に渡る。
多忙ながらも、お城の暮らしを支える縁の下の力持ちだ。
ちなみにこの世界では、朝と晩に食事をとって、お昼は甘味を楽しむのが習わしらしい。
私は長年、このお城でお手伝い係として仕えているお菊さんに、色々と教えていただいている。
お菊さんは、このお城のお母さん的な存在だ。
「トワちゃんが来てくれて本当に助かるわぁ〜。うん!このお味噌も美味しいわね〜」
「お菊さんの教え方がお上手だからですよ。料理が全くできなかった私に、こんなに丁寧に教えてくださって」
「ふふふ、誰だって最初はできないものよ。私もそうだったもの。だけどトワちゃん、苦手だった野菜の皮むきも上達してるじゃない?お料理は見た目じゃなくて真心だから安心していいのよ。これから忙しくなるけど、一緒に頑張りましょうね、トワちゃん」
「ふふっ、はいっ!」
私は料理がとても苦手だった。
ただ食材を切って、炒めたり、煮たり。
基本的には、それくらいのことしかやったことがなかった。
ましてや野菜の皮なんて──
全部ピーラーで剥いていたくらいだ。
この世界に来て「ピーラーなんて便利なものはない」と知ったときには思わず冷や汗をかいてしまった。
じゃがいもなんて、特に難しい。
もともと歪な形をしているものだから、私が剥くとさらにぐにゃぐにゃになってしまって……
お城の人たちには、よくネタにされている。
そんな私に、お菊さんはとても優しく、いつも丁寧に料理を教えてくれている。お菊さんのおかげで少しずつだけど、料理の腕前も上達してきた。
私の作った料理を、みんなが「美味しい」と言って笑顔で食べてくれるのも嬉しくて。
……じゃがいもの皮むきだけは、相変わらず苦手だけど。
これだけは、どうしても上達できる気がしない。
それでもここまでこれたのは、お菊さんの存在があったから。
本当に、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「よっ!お菊さんにトワ〜。ん〜ご飯のいい匂いがする。僕お腹すいちゃった」
「おいらはもうお腹がぺこぺこだ!今日の朝めしは何だろうな〜!」
「昨日の夜はあまり食べる時間がなかったからな。俺も腹ぺこだぜ」
朝の厨に日差しが差し込み、活気ある元気な声が響き渡った。




