表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/21

第2話 栄善との出会い

【第一部】心の扉―始―

私は今、お城の中のお手伝い係として働かせていただいている。


なぜこのようなことになったのかというと──


話は数日前に遡る。



「お主……そこのおなご!!ここで何をしておる!!」


お主……?おなご……?


……はて?

時代劇でも始まったのだろうか?


不思議に思いながら、そっと目を開ける。


……ここはどこだろう。


見知らぬ景色に、思わず息を呑んだ。


目の前には、高価な着物を纏い、長い黒髪を結った青年が立っていた。切れ長の目をした、背の高い青年だった。


「そこのおなご。ここで何をしているんだ。この場所は、限られた者しか入れぬ場所であるぞ……見慣れない装いをしているな。其方は海を越えてきたのか?」


「あっ……あなたは……」


「私を知らぬか。私はこの国を治めている羽田(はねだ)栄善(えいぜん)と申す。其方、名は何と申す」


「私は……笠原(かさはら)トワと申します」


「……さようか。トワ、其方はここで何をしているんだ?」


「申し訳ありません……私も目が覚めたらここに居て、何がなんだか……」


頭は混乱しきっていて、何も考えられなかった。


夢なのか現実なのか、区別すらつかない。


「……トワよ。身寄りはあるのか?」


「……ありま……せん……」


私が力なく伏せ目がちに答えると、大きな手が私の頬に触れた。


驚いて顔を上げると、彼は柔らかく微笑み、優しい眼差しで私を見つめていた。


「そんな悲しい顔をするでない。トワよ、私についてくるがいい。ちょうど今、城のお手伝い係を増やさなくてはと考えていたところだったんだ。私の城で仕えよ」


「お手伝い……がか……り?はねださん……でも……」


何が起きているのか、すぐには理解できなくて──


戸惑う私を察したのか、彼はふっと微笑み、またあの柔らかい優しい眼差しで私を見つめていた。


「私のことは栄善と呼ぶといい」


そう呟いたかと思うと、私の手を引き歩き出した。


「トワの手は小さいのだな」


はにかむように微笑む彼の眼差し。


私を包む、温かく大きな手……


疲れて冷え切っていた私の心に、少しずつ灯火が宿るのが分かる。


栄善との出会いをきっかけに、私はお城でお手伝い係として新たな生活を始めることになった。


──この時、私の運命が大きく動き出すとは、まだ夢にも思わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ