プロローグ編051/【花畑 殊深サイト0】/美の怪物
「さぁ、【殊深ちゃん】の可愛い【ぬいちゃん】達、今日も【殊深ちゃん】に可愛いを運んで来てね・・・」
【花畑 殊深】は今日も自分のコレクションの【縫いぐるみ達】に話しかける。
一見、【ぬい活】の一部にも思える。
だが、【ぬい活】との違いは、この【縫いぐるみ達】は実際に動くのだ。
可愛い・・・と言うより、【美】に関する事を運び、【殊深】の元に届ける。
まだ12歳の少女だから、それほど違いは明確には確認出来ていないが、彼女は、特殊な【ヴィンテージ・ボディー】と言うものを常に手にしている。
【ヴィンテージ・ボディー】とは、肉体を【何歳何ヶ月何日】の単位で、取り替える力を持つ者の【身体】の事を指す。
それに【特殊】と付いているのは、彼女は、例えば、【赤ちゃんの様な肌】と【17歳の肉体】、【グラマラスなスタイル】、【さらさらの髪】、【左右非対称の金と銀のオッドアイ】、など要素を混ぜる事が出来る。
それこそ、【人種】や【肌の色】、【髪の毛の質】から【瞳の色】に至るまで何でもカスタマイズが可能なのである。
これは、【ヴィンテージ・ボディー】を持つ者達の中でも異例中の異例と言えるものだった。
自由自在に身体を造り替える事が出来る・・・
そんな者が居たらほぼ、無敵である。
その途轍もない力を彼女は突然変異により取得していた。
きっかけは、壮絶な虐めや虐待だった。
大きくなれば、可愛いと言う事は、ちやほやされる事も多いが、彼女の場合、あり得ないくらい可愛らしく生まれた。
そのため、両親がどちらにも似てないと思って不仲になったのだ。
それからすぐに両親からの虐待が始まった。
そして、幼稚園に入園してからも園児達による虐めもあった。
不気味なまでに可愛すぎる彼女は傷ついていても異様に可愛らしかった。
本能的に恐怖を感じた人間達は、彼女を壊して、普通の人間にしたいと思った事もあったかも知れない。
【殊深】は幼い頃からとにかく虐待や虐めによる被害が毎日の様に繰り返され、自己肯定感が育たなかった。
とにかく、可愛くないと言われ続けた。
そんな【殊深】が可愛くなろうと努力を続けた。
続けても続けてもゴミや泥などをかけられる毎日。
いつしか、彼女は【泥被り姫】と呼ばれる様になった。
そんな彼女が、
「ぶつぶつぶつ・・・汚れちゃった・・・
身体を着替えなくちゃ・・・
身体を着替えなくちゃ・・・」
と繰り返す様になった。
それでも、両親や他の子供達からの虐待や虐めはおさまらなかった。
エスカレートして行った。
どうしようも無くなった時、助けに入ったのが、【卯月】だった。
【卯月】は、
「何でこんな酷い事が出来るの?
可哀想だよ。
【殊深ちゃん】行こう。
【卯月】が遊んであげる」
と言って、その場から連れ出した。
そこから【殊深】は自分の事を【殊深ちゃん】と呼ぶようになり、【卯月】にべったりとなった。
【卯月】の両親は、【殊深】の両親の事を問題とし、代わりに育てる事にした。
【殊深】はその時、自らを助けるため、【突然変異】の【異能】を持つ様になっていたが、【卯月】の両親達に育てられた事もあり、それはなりを潜めたのである。
そんな訳で、【殊深】にとって、【卯月】とその両親は【神】の様な存在であり、絶対である。
【殊深】がどんなに偉く、どんなに美しくなり持て囃されたとしてもそれは変わらないだろう。
【卯月】は、【殊深】に【特殊能力】がある事を知っている。
【縫いぐるみの力】と呼んでいる。
そして、それは、【最強のクアンシリーズ】の【(中)公式コスプレイヤー】として認定されるまでになっている。
【最強のクアンシリーズ】の【コスプレ】は大きく分けると7つに分類される。
1番上が、【銘公式】、
2番目が【最公式】、
3番目が【特公式】、
4番目が【上公式】、
5番目が【(中)公式】、
6番目が【下公式】、
7番目が【非公式】、
となっている。
【最強のクアンシリーズ】からの直接の加護が付くのは、
【銘公式】、
【最公式】、
の2つのみ、
間接的に付くのが
【特公式】、
【上公式】、
のみ、
【最強のクアンシリーズ】とは直接関係ない応援している何かからの加護が付いているのが
【(中)公式】、
【下公式】、
のみ、
【非公式】、
は文字通り公式では無いため、ただのコスプレである。
【非公式】の中でも細かくランク分けなどがされている様だが所詮、【非公式】は【非公式】である。
それ以外の何者でもない。
【公式】の免状を得られるだけで、力が大きく飛躍しているのは間違いない。
だからこそ、多くの存在が、【幼女と人形】と言う形を真似て【公式の免状】を得ようとする。
真似るだけで大きく力が増すのだからみんな真似をすると言う訳だが、【殊深】の場合、それを誰に教わった訳でも無くしている。
【公式認定】された事で、虐めていた存在や虐待していた両親の存在は消し飛んだ。
もう、何処にも存在していない。
【認定】されると言う事はそう言う事である。
【殊深】は突然、どこからか存在した存在という曖昧な存在と化したのだ。
彼女の事を少し知っている者は口々に言う。
「あの子は【美の怪物】だよ」
と。
今は、【卯月】に嫌われたくないと言う思いから、【美の怪物】ぶりは封印している状態で、
【鷺宮 涼子】、
【中村 椿】、
【竜崎 志保】、
の3人に襲われた時も何もなかったが、【パフォリス】として活動する事には再び、【美の怪物】として彼女は動き出すだろう。




