プロローグ編041/【遠歳 友加里サイト0】/コスプレイヤーとして・・・
【遠歳 友加里】は、【才能ガチャ】で正に水を得た魚状態にある。
彼女が手にした力は、【瞬間なりきり衣装部屋の召喚】である。
これを手にした事で、一瞬にして、色んな【コスプレ】が出来る様になっているのだ。
そして、彼女は【憑依型】の【コスプレイヤー】であり、アニメやドラマ、ゲームなどの【キャラクター】を完コピする事が出来る様になっている。
だが、【上原 咲穂】が最終的に目指せと言っていた、【自分自身】を表現した【完全オリジナルキャラクター】への【コスプレ】がまだ出来ていない。
誰の真似でもない。
自分だけのオリジナル。
それをどう表現したら良いのかまだ見えていないのだ。
だから、その点はまだ修行中という事になる。
【友加里】は、普段、分厚い眼鏡やマスクなどで顔を隠している。
その眼鏡とマスクを外した時に【美麗コスプレイヤー】としてのスイッチが入るタイプである。
ただのオタク、推し活をしていた時には味わえなかった快感が【コスプレ】をしていると感じられる。
年齢的にはまだ12歳と言う事もあり、年齢としては発育は良い方だが、グラマラスと言えるほど、成長はしていない。
なので、どうしてもまだ、色気むんむんという感じの【キャラクター】にはなれず、どちらかと言うと、【可愛らしい】イメージの【キャラクター】になる事が多いのもちょっとした悩みの1つである。
色気のあるキャラクターになりきるのは、17、8歳くらいまでお預けという所だろう。
それは仕方ないと言える。
日本で言えば、中学生になったばかりである。
今年の8月の末に彼女は13歳になると言う事になる。
中一の女の子にそこまでの色気を要求するのは無理だろう。
それに彼女は元々、自分の美貌に自信を持っていなかった。
女の子にはありがちの自分の容姿に一定のコンプレックスを持っていた。
いや、コンプレックスというより劣等感の方が表現として適切だろうか?
それは化け物じみた可愛らしさを持っている【花畑 殊深】と友達になったからである。
【殊深】の可愛さは異常とも言えるくらいだ。
日に日に同姓でもむしゃぶりつきたくなるくらいの可愛らしさが増していく彼女を近くで見ていると自分は何て平凡な顔に生まれたんだと自信を無くしていた。
この子には絶対に敵わない。
そう、思った事は一度や二度じゃない。
【殊深】が嫌な女だったらなにくそと思えたかも知れない。
だが、【殊深】は心まで可愛らしい女の子だった。
心の底から可愛いを追求しているのを知ってしまった。
どこまでも貪欲に可愛いを追求する姿勢は見事と言うしかなかった。
心身共に負けている。
そう、実感せざるを得なかった。
その度に意気消沈し、敗北感を味わい、地味な格好をする様になって行った。
それは【殊深】が悪いわけじゃない。
勝手に自分で落ち込んでいるだけである。
そんな自分を保つために、【拙者】と言う一人称を使う様になり、【イロモノ】としての【キャラクター】を成立させて行ったのが【友加里】である。
そして、【咲穂】に喝を入れられ、【コスプレイヤー】として目覚めたのである。
もう、【殊深】と比べるのは止める。
彼女は彼女。
自分は自分だと割り切る事にした。
そう考えたらはじける事が出来た。
コスプレ、演技の天才、爆誕である。
そして、【殊深】に負けないために引いた【才能ガチャ】で鬼に金棒とも言える彼女の武器を手に入れた。
今なら、【殊深】にだって負けない。
その気持ちを持つことが出来たのだった。
彼女は、コスプレをする事で、たくさんの役を演じ分ける事が出来る。
【瞬間なりきり衣装部屋の召喚】を使って、瞬時にコスプレを繰り返し、たくさんの役を同時に使って1人芝居をやって、大反響を受けた事が更なる自信につながった。
彼女は、劣等感から解放された。
今は自信に満ちあふれている。
だが、あえて、一人称の【拙者】は残している。
彼女にとってはそれが【キャラクター性】の1つ。
魅力の1つとして考えているからである。
【友加里】は、
「あ・え・い・う・え・お・あ・お
か・け・き・く・け・こ・か・こ
さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ
た・て・ち・つ・て・と・た・と
な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の
は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ
ま・め・み・む・め・も・ま・も
や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ
ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ
わ・え・い・う・え・を・わ・を
ん~」
と言う発声練習を欠かさない。
出来る事はなんでもやる。
自分磨きに余念がない。
彼女は今日も明るく、【コスプレ】のために出来ることをするのだった。




