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39.誰も悪くない

「あれ? なんか薄っすいな〜! 晶君のリアクション薄っすいな〜っ! それだけ? また会った時の報告だけでいいの? 幼馴染だよ? 本当に?」


「なにが本当に? だよ! 訳わかんねーぞ! 俺はただ今はそんな時間作れねーって言ってるだけだぞ! そりゃまたみんなで会ったら楽しい思い出話に花は咲くだろうが、なにも今無理して時間作って会わなくてもいいだろって言ってんの。お前がまた会いたいなら、勝手に2人と都合付けて会いに行けばいいだろうが」


「それは…そうするよ? 会いたかったら勝手に自分で会いに行くよ! ただ晃弘君も兄貴に会いたいって言ってたから…だから、今兄貴に話してんだろ!」


「何でそんなに熱くなってんだ? 晃弘がそう言ったとは言え、お前が『兄貴忙しくてまた今度』って言えばいい話しじゃねえか? 違うか? あ……はは〜ん。わかった、お前、夢に会いたいんだろ? それで2人で会えないから俺と晃弘を使って会おうとしてんだろ。まあ夢ちゃんはなかなかに可愛かったし、大人になって再会して惚れちゃったりでもしたか? お前もまわりくどい事してないで男ならストレートに誘ってみろよ?」


「いや、違ぇよ! 全然そんな話しをしてるんじゃなくて! あの……色々言いたい事はあんだけど、そうじゃなくてさ、ただ、俺は…あれだ、せっかくだから久々に晃弘君と会いたいかなって思っただけだ」


「……まあ、お前がそんな言うならこっちもどうしてもって訳じゃないが、何度も言ってるけどまた改めてくれって。そういう話し」



 ……だめだ。何なんだよ。これ以上兄貴を説得しようとしたら、絶対、おれは晃弘君にとって不利な事を言い出しかねない。



 一旦、冷静になって、



「わかったよ。まあ忙しいなら? 無理言っても仕方ねえし、兄貴も都合ってもんがあるだろうから、ごめんな。しつこく誘って。また何かあったら連絡するわ。あと、チケットありがとな」


「おう。楽しんでこいよ。お土産は ー」


「いいんだろ? わかってる」


「じゃあな」



 事務的に挨拶を交わし電話を切る。



 兄貴とただ会う約束を取り付けるだけだったのに、何なんだ? 何でこんなにも難しいんだ? 何でこんな必死になって、しかも上手くいかねえんだ?


まいった…。あの感じじゃ、また日を改めて連絡しても状況はそうそう変わりそうにない。しかもこっちから連絡をしない限り、向こうから会うって言ってきそうな気配はない。


 いっそこうなったら、晃弘君とは昔「何か」があったと仮定して、その上で兄貴に揺さぶりをかけてみるか、そうすれば兄貴だって少しは会う気に ー 。


 いやいや、あの感じだったら仮にもしその「何か」が実際、過去にあったとしても、俺の口からその事を話して匂わせたら、それこそ兄貴は怒って晃弘君と兄貴が会う事は余計に難しくなる。それにそんな事、晃弘君自身、望んでないはすだ。……一体どうすれば。



「マジかよ。いきなり頓挫とんざかよ。どうすっかな……とりあえず晃弘君にはさっきの件、伝えないとな。……あー、やだやだ。こんな報告したくねーなーっ! 俺も任せてくださいバリのノリだったからな…ちくしょ〜っ。……実際口に出してちくしょ〜なんて言うとは思わなかったぜ…」



 気が進まないまま、再びスマホを手に取り晃弘君にメッセージを送る。



「何か、悔しいな。……なんでこんなに悔しいんだ? まあとにかく早目に晃弘君に連絡するか。送るんだけど、送るんだけどしかし、読んでほしくないな。ちくしょう…胸が痛いな。…あ、また」



晃弘君へなるべく感情を入れず、事務的に報告メッセージを送信する。



「こんばんは 先程、晶と連絡しました それで晃弘君と再会した件、そして何気なく、さりげな〜く会いたがってる旨を伝えてみたんですが、晶は今忙しい為、なかなか時間を作れないそうです でも俺たち夢を含めた3人が再会した事を喜んでました またすぐに会う約束を取り付けられるか正直、今のところわりません というか、兄貴次第なとこもあり、また改めて連絡してみようと思いますが、もう少し待っていただけますか?」



 やっぱりこういう連絡はキツいな。本人も今は俺という他人に任せるしかないとはいえ、こうも自分の恋路の状況を共有されるのは仕方ないとはいえ、やっぱり嫌だろうな。


 やはり、改めて連絡…というのは撤回し、一度全部晃弘君に返してしまおうか。そして晶の連絡先を教えて、そこから晃弘君から直接兄貴に連絡をしてもらって……俺と再会した事を知ってしまった以上、連絡先を教えたところで兄貴はそこまで嫌がる事もないだろう。


 と、思った矢先 ー



「色々とありがとう 本当に申し訳ない 2人の間がギクシャクしていなければいいんだが、本当に悟君に任せてしまって申し訳ないと思ってる これ以上迷惑を掛けたくないし、今の晶の状況、少しでもわかったから後は自分で動いてみようと思う 今はどうしたらいいかわからないけど、とにかく悟くんにお願いするのはこれ以上控えて、後は自分で何とかするよ 本当にごめんね ありがとう」



 向こうからお戻しメッセージがきた。


 俺としては、もうちょっと……何か出来るような気もするのだが、最終的に2人の事を一番よく知ってるのはあの2人だ。ここは俺もこれ以上こだわらずに晃弘君の言うように、一旦身を引いたほうがいいのか。

 俺は晃弘君に謝罪とフォローのメッセージを送り、晶と晃弘の再会作戦から身を引いた。



 ……何か、色々上手く行かないもんだな。

時間の流れってか。片方が想い続けていただけで、相手はそうじゃなかったら、そりゃこうなる可能性も、いや、こうなる可能性の方が充分あるわけで。


ー 俺は自分の直近の失恋イベントのせいか、何かしら燃えたかったんだろうか。人の恋愛に乗っかる事で。



 ごめんなさい。晃弘君。



 僕はしばらく、貝になります。

 お二人の事は、見つからない程度に、陰ながら応援させていただきます。



 スマホをテーブルに置き、少し横になろうとベッドに寝転んだ途端、またスマホが鳴った。





「あ、ディスティニーランド」



 兄貴から、4人分のチケットのコードが届いていた。




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