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なげやりクリティカル  作者: さと丸


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17.選択肢なんてない

 えっ ー?


 あきら、俺の兄貴 ー?


 いや、それなら。うん。……会えば? 俺に直接言わずとも、夢経由で俺にLaneを聞けばすぐ会えただろうに、何でわざわざ弟の俺に直接会ってまで?


ー ……ん? 何だ、この展開 ー?



ー バンッ!!



 あまりの急な物音に、俺と晃弘は思わず音の出所を見る ー。


 夢が、顔を真っ赤にして、兄、晃弘をにらむ。


「何で!? 何でそうなるの? あんなに話し合ったのに、何でそういう事言うの!? よりによって悟に……!」


 おいおい……よりによって悟にって……いやいや? そもそも兄貴は俺に話があって会いにきたんだろ? 何を言ってるんだ? 夢は?


「言い方っていうのがあるでしょ!? 晶君の近況を聞ければ、ただまた連絡取れればよかったんでしょ? 何でそんな言い方……しかも悟に!」


「いや、ちょっと待て……色々待て。何がどうなってるのかわからん! とにかく落ち着け! 今、そんな怒るとこじゃ ー」



 俺のセリフが言い終わらない内に、夢は ー



ー 今思えば、夢もこの一言を言わなければ、鈍感な俺は何も知らずにこの3人の再会を円満に終わらせられた……はず。 なのにー。



「何で忘れられない、なんて言うのよ!!」



ー 一瞬、頭の思考がストップする。


 しかし、2人の悲惨とも言えるこのやり取りの中、俺は不甲斐にも自分の中の好奇心が勝り、すぐに頭の中の思考が再起動を始めた。


 (……忘れられない……ん? ……いや?

 ……えっ?いやいやいやいや……。)


 (…………あ。

 ……そうなの!!? そういう事なの……!?)



 恐らくそうであろう、俺の的を得ていると思われる推測なら、今のこの2人の状況に納得がいく。



 「…ああ……うん。」



 俺はこの空気を何とかしたい一心で、とりつくろうように、情けない声で、相槌を打つ。


 合点を得た俺に気付いたのか、晃弘は俺に


「まあ、そう…なんだ。うん。……で、話すと長いんだけど、夢も()()()を知ってて……。


 で、まあいつか……いつかね? その…また晶に会えればと思っていたんだけど、この前夢から悟君に偶然会ったって聞いて、しかも夢はその時に悟君に僕に会ってほしいとお願いをしてくれてたみたいで。


 で、まあ僕にとってもあまりに急な事だったから最初は戸惑ったけど、でもまず悟君に会うだけなら……それにずっと願ってた事だったから、何ていうか、そのままの流れで……。


 あ、夢は悪くないんだ。だから、あれ……何か上手く言えないんだけど、とにかく今日悟君に会って、ゆっくりと、色々聞ければいいと思っていたんだけど、いざ悟君に会ったら色んな事がフラッシュバックして、色々と考え過ぎてしまって今までの想いがつい、出ちゃったというか……それでなんか、さっきみたいな、あんな言い方になっちゃって……とにかく、ごめん」


 晃弘は終始、言葉を選びながらも、しかし見た目とは裏腹に少し焦った様子で話す。



 夢はずっと、晃弘の話を聞いている間、怒っている様子でもなく下を向いている。



 ストローは噛んでいない。



……きっと次は、俺が話さなくちゃいけない ー。

 


 ヘタれな俺は誰に頼まれずとも、必要以上にそんな事を考え、しかし今こんな状態の幼馴染2人を前にして俺がやらずに誰がこの2人をフォロー出来ようか? 



 自分の兄弟ゲンカなら、他人に入ってもらわずとも、自分達で納得のいくまでやるし、時には和解しないままに終わる事もある、そんなの子供の頃からよくあった事だし、特に誰にとって害がある訳でもない。


 しかし、俺の目の前にいるこの2人の幼馴染の兄妹は、俺が夢に恋愛感情を抱く前から存在し、俺達兄弟と付き合っていた。



 長年会っていなかったとはいえ、こんな大事な2人の事を、放っておける訳がない。



「俺はさ…まあ、今日は晃弘君に会えてよかったと思うよ? 正直、また2人揃ったところに会えるのは素直に嬉しいしね。ただ、俺にとっても、夢にとってもさっきの事はびっくりしたけど。まあ、夢は知っていたとしてもね…。俺は、だからといってそれで晃弘君に対して含む所はない。


 それに俺は……何だっけ、LGBT・Q? とか他にもあっただろうけど、そういう事は正直自分にとってはよくわからない世界だし、わからない世界だからこそ、批判したり差別する気もない。


 まぁ……でも、自分の兄貴…っていうのが、ちょっとどう捉えたらいいか今はわからないのが正直なところだよ。 


 だからって晃弘君の気持ちを否定したりましてや蔑んたりするつもりは毛頭ないよ。だからそこは、というか……さっき話してしまった事に関しては、変な言い方になるけど、気にしないでよ、全然。当然、俺から晶にこの事を言うつもりもないし」



 俺は2人に話しているつもりだったが、ずっと晃弘の顔を見て話していた。



「ただ、晃弘君が俺に会いたい目的、そして言いたかった事っていうのは大体わかった。そこはちゃんと受け止めるよ。だから、その……2人には今、ケンカしてほしくないな。子供みたいな事言ってるかも知れないけど、俺はせっかく久し振りに会えたのにこんな感じのままは嫌だし、それこそ、2人が揉めても、この件については何の解決にもならないだろうし……。


 とにかく、俺がどう思うかは、今は何も気にしないでいいし、さっきも言ったけど俺も晶にはこの事は話さないから、まずは2人仲直りしてくれれば……。 


 それが俺の今、言いたい事……かな」



 めちゃくちゃ頭フル回転の、俺なりの言葉。



ー くそ……こんな時に、選択肢があれば ー。


もうコーヒーはとっくに冷め切っていた。

 

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