第6話 先輩方の試合
よろしくお願いします。
第6話から、本文の最後に選手の能力を1人分掲示します。
2018年1月28日 13時にゆう先輩の試合が始まろうとしていた。試合会場は東京の八王子大学の武道館。
トモ先輩は就活の面接、もえちゃんは発熱のため自宅療養中であったのでカズはタロー先輩とともに応援席にいた。
試合:Dランク60 3R3分/R
赤コーナー
牧田 優選手 19歳174cm/71kg
新島学園所属
通算12戦7勝
直近5試合3勝
…
青コーナー
佐藤 雄三選手 18歳173cm/74kg
八王子大学所属
通算8戦6勝
直近5試合3勝
…
「タロー先輩、この試合どうみますか?」
「ん?そうだな、対戦相手の佐藤選手はキックボクシングスタイル。打撃で押しまくり勝利は全てKO勝。
ゆう先輩は相撲スタイルで組と投でいくかな。グランドに持ち込み、寝技、極技で行くか。打撃の応酬は分が悪いのは間違いないと思う。」
「でも、ゆう先輩は打撃が得意な選手との模擬試合では打撃で応戦してましたよ?」
「あの時は偵察も来てたからな。山門トレーナーは意表を突くつもりで打撃戦にしようと目論んでると思わせたいってのがあったのだろう。」
「へぇ~なるほど~」
時間が来たので、試合が始まった。
第1R、ゆう先輩のタックルがいきなり決まり、マウントポジションをとったが佐藤選手の粘りでパウンドができない。ゆう先輩は関節技に持っていこうとしたが極まらず終了。
「タロー先輩、ゆう先輩はいつも通りの戦法でしたね。」
「う~む、先手必勝で行ったがペース取り損ねたか。とりあえず五分ってとこか。相手は関節技対策をしてたみたいで、予想より粘ってる。」
第2R、今度は佐藤選手が飛び膝蹴りをする。流石に当たらなかったがゆう先輩は体勢を崩す。すかさず佐藤選手が打撃技を繰り出す。ゆう先輩は防戦一方でコーナーまで追い込まれる。なんとかクリンチ状態に持ち込んだが、ここでも硬直状態で試合終了。
「ゆう先輩、結構キてますね。」
「スタミナはないわけじゃないが、結構ダメージ受けたせいかな。滞在率も悪いから最終ラウンドで決めるにいくしかない。得意の展開にもっていけるかどうか…」
第3R、開始とともにゆう先輩はタックルを試みたがカウンター気味に佐藤選手の膝がクリーンヒット。バランスを崩しながら組状態になったものの押し倒すに至らず。数秒間、膠着状態になってから佐藤選手が突き放しにかかろうとした瞬間、相手の力を利用した下手投げを繰り出し、佐藤選手はあっという間に場外へ。ゆう先輩の逆転勝利であった。
「膝をもらった瞬間終わったと思ったが、さすが先輩。」
「でも、ゆう先輩は試合後、担架に運ばれていったよ?」
「とりあえず、ゆう先輩の所に行こうか。」
ゆう先輩は命に別状はなかったが、東京の病院に検査入院することになった。
瀧田トレーナーを残し、俺たちは帰路についた。
瀧田トレーナーは翌日の朝には新島学園に、週末にゆう先輩が帰ってきた。
この週はトモ先輩に試合前のため別メニューとし、タロー先輩ともえちゃんとカズの3人を合同チームとしてトレーニングしていた。
2018年2月4日 11時にトモ先輩の試合が始まろうとしていた。試合会場は神戸にある県営武道館。
ゆう先輩は病院に行ったので、タロー先輩ともえちゃんとカズで観戦した。
試合:Dランク60 3R3分/R
赤コーナー
金本 健選手 48歳171cm/83kg
奥村組所属
通算127戦63勝
直近5試合1勝
…
青コーナー
秋田 智則選手 18歳178cm/79kg
新島学園所属
通算8戦5勝
直近5試合3勝
…
「相手、おじさまですね」
「Dランクだと、Cランク崩れの選手も多い。あの人も元Cランカー、現在は年1~2回程の選手、もはや趣味みたいな感じかな。最近は勝ててないみたいだがキャリアが長い分、試合数、勝利数も多いから油断はできない。」
「相手も同じオールラウンダーですね。」
「ああ、しかも力量的に大差ないからどっちが勝つか分からない。」
時間が来たので、試合が始まった。
第1R、第2Rは組技、寝技展開で一見すると面白味に欠ける展開となっていたが際どい見せ場もいくつかあった。展開としては全くの五分であった。
第3R、最初は五分の展開であったが金本選手の三角締めが極まり、試合終了。トモ先輩は敗れた。
「金本選手のローキック、組からの寝技、第1Rからトモ先輩の足とスタミナを削りに行ってたのはさすがだったな。」
「と、とりあえず控室に行きましょう。」
トモ先輩は所々に出血や内出血はあったものの、大事には至らず、2日間の練習禁止、1週間、軽いランニングのみの練習となった。ゆう先輩もまだ本格的に練習できず、タロー先輩は山門トレーナーと最終調整、俺ともえちゃんは瀧田トレーナとともに筋トレ、ランニングなどをし、練習試合は田中ゼミの他の選手としていた。
2018年2月11日 13時半にタロー先輩の試合が始まろうとしていた。試合会場は本拠地である新島学園の武道館。
ゆう先輩、トモ先輩、もえちゃんとカズで観戦した。
試合:Eランク2勝クラス30 2R3分/R
赤コーナー
蜂元 太郎選手 17歳175cm/65kg
新島学園所属
通算4戦2勝
…
青コーナー
杉谷 隆史選手 17歳161cm/53kg
新島学園所属
通算4戦2勝
…
「タローの相手は今井派の杉谷か。今井ゼミのやつらとはよく練習試合をやっててほぼ互角の戦績、あいつらは同じ一撃必殺スタイルで力量もほぼ同等レベルだからあとは気迫、執念の差で勝敗が決まるかな?」
「タロー君は私との特訓?の成果を生かせるかが鍵ね。」
「でもタロー先輩、少し気負いすぎな気がする。」
「カズもそう思う?怖い顔してる割にあまりいい顔ではないと思う。」
「そら、負けられないからな。同期で同じスタイルで同じ力量、ライバルみたいな感じだから負けられないんだ。」
そうこうしている間に試合は始まった。
第1R、試合開始と同時に両選手がタックルし、リング中央でグランド。お互い極技にかかるがうまく決まらず。大きな展開もなく終了。
第2R、第1Rと同様の展開になったが杉谷選手がマウントポジションをとることができ、一瞬の間で杉谷選手の腕挫十字固めが極まり、試合終了。タロー先輩は敗れた。
「…と、とりあえず控室に行くか。」
「…は、はい。」
カズたちは呆然としながらタロー先輩の控室へ。
「すまんが、ゆうとトモは今日は解散だ。ゆうとトモは明日から瀧田と別メニューだから瀧田と連絡取合うように。カズともえは15時に試合1週間前のドクターチェックがある。それまでは武道館周りでも走っておけ。瀧田、こいつらの指導を頼む。対戦相手が決まってから対策するから明日以降は俺のもとで試合対策を行う。では、行ってこい。」
タロー先輩に挨拶できないまま武道館周りを走るカズ達。
15時にドクターチェックを行い、異常なしと出たので試合出場可となった。
対戦相手は武沢という奴。講義でも練習試合でもふぜけた態度を見せる嫌な奴っていう印象がある。
対戦相手がカズに決まった時、カズに挑発しまくってるイかれた野郎であった。
※山門トレーナーの選手分析
牧田 優 「ゆう先輩」
2018年1月 精華町の国立新島学園格闘学部格闘科4回生 174cm/71kg
19歳Dランカー。
通算12戦7勝
直近5試合3勝
相撲スタイル
総D
体D−、速D、耐D−、心D、対D+
打D−、組D+、寝E+、極E+、投D−
次週も投稿予定。