1話 飛び降り自殺
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もうすぐ日が沈みそうな夕暮れ、
私、涼音は会社から退勤し帰路へと着いていた。
中学を卒業し高校へと進学せず
私は弟の青葉を養うため、
スーツを着て仕事をするような職に就職した。
意外と仕事内容はブラックではなくほとんど毎日残業があるが
日が沈む前までには退勤できる。
でも仕事する上でひとつ大切なのは人間関係。
多様性が認められる時代にはなったが、
やはりこの歳で就職、ってなると他の社員から
生暖かい目で見るだけ見られて
仕事関係以外の会話は交わさない。
1人こんな私にも気にかけてくれる先輩はいるけど…。
そんなことを考えていたら気分が落ち込んできた。
そんな私は帰り道の途中にあるケーキ屋へと足を運んだ。
こんな時は甘いものを食べよう。
後青葉はチョコケーキが好きだったはず。
たまにはケーキを買ってくるサプライズ!もいいだろう。
いつも私のために頑張ってくれてるお礼がしたい。
私はチョコケーキとショートケーキを1つずつ買い、
再び帰路へと着き、少し早足で自宅へと向かった。
自宅にたどり着いた。鍵を開け扉を開けようとしたその時。
とある違和感に気がついた。
玄関あたりが荒らされている。綺麗に育てていた
青い花がぐちゃぐちゃに土から引っこ抜かれている。
紙がはられていてそこには罵詈雑言…
私、なんかしちゃったかな?
ネットも見る専だから炎上とかで住所がバレた!
とかではきっとないんだけど…
まぁ、片付けは後ですればいいか、と家の扉を開けた。
扉をあけると家中真っ暗だった。
涼音「青葉ー!ただいま、いるなら返事してー!」
私はそう言い、一緒にふたりで寝ている寝室の扉を開けた。
そこには角で体育座りし頭を埋めてる青葉の姿が。
泣いているわけではない、いや今まで泣いていたのか。
今は落ち着いているけど元気がない。
涼音「どうしたの…?大丈夫…?」
私はそう言いながら寝室の電気をつけた。
私がそう呼びかけても怯えた瞳でこちらをみるだけで
なにか話してくれることはなかった。
涼音「ご飯、作ってくるね、よかったら後でリビングきてね」
そう私は言うとダイビングの電気をつけ、
キッチンで料理を始めた。
私は料理が苦手なので
何かを炒めて味付けするぐらいしか出来ない。
今日はもやし炒めにすることにした。
青葉がご飯を炊いててくれたらしい。
いつも家事を頑張ってくれて本当にありがたい限りだ。
もやし炒めはあっという間に出来上がり、
インスタントの味噌汁を作り、白米を器によそいで、
テーブルにそれらを並べ、今日買ったケーキも並べた。
そろそろ青葉を呼ぼうとしたところで
青葉が自らこちらへときた。
青葉「…ご飯作ってくれてありがとう。」
青葉はそう言いテーブルの前に座った。
私もテーブルの前に座り食事を始めた。
しばらくの沈黙が続きながら食事をしていると、
青葉がその沈黙を破った。
青葉「…今日あったこと、話してもいい?」
涼音「もちろん、なんでも話してごらん」
私がそういうと青葉は今日あったことを話し始めた。
青葉「今日…あいつらがきたの」
青葉はあいつらと呼んでいるが
私にはその人物が誰かすぐ分かった。
いじめっ子たちだ。青葉が不登校になった原因。
青葉は話を続けた。
青葉「あいつらが…家の前で暴言言ってきたり
玄関を荒らしたの、お気に入りのお花まで引っこ抜かれて…
紙まで大量に貼られて…
ぼくあいつらから逃げるために学校行かなくなったのに
これじゃもう…あぁ…」
なるほど、たくさん罵詈雑言が書かれた紙が貼ってあったのは
いじめっ子たちのせいなのか。
それにしても飽きずによくもやってくれるもんだ。
そして青葉は頭を抱え小刻みに
震えながら小さな声で一言言った。
青葉「…死にたい…姉さんと一緒に死にたい…」
私はびっくりしてしまった。死にたいと思ってる上に、
私と一緒に死にたいだなんて…
悪魔的な言葉だ、私も正直生きていたくないし逃げたい。
そんな私にめちゃくちゃ効く言葉だった。
でもだめだ、私がしっかりして青葉も守らなきゃ。
涼音「いきなりどうしちゃったの?
なんか私嫌なことしちゃった?
してたなら謝るからそんなこと言わないでよ…」
私は青葉にそうやって言った。
私も死にたいのは同じ気持ちなのに
こんなことを言うのはなんか違う気がするけど…。
とりあえず私まで倒れたら青葉がだめになっちゃう!
と、思ってそんなことしか言ってあげられなかった。
そしたら青葉は涙を流し始め話し始めた。
青葉「もうぼく嫌なんだ、生きてるのが。
姉さんはなんも悪くない、むしろいつも
働いてくれて助かってるしありがとうって思ってる。
でも…でも…もう生きていたくなくて…」
青葉は話を続ける。
青葉「毎日夕飯の材料買いにスーパーにいくけど
近所の人に毎日コソコソ言われるんだ、
学校の時間じゃないの?不登校かな?親が可哀想ね、
そういやあそこの子両親いないみたいよって…
そしてまたあいつらが来て玄関をあんなふうにされて
姉さんに迷惑かけたくない、
…とにかく生きてるのが恥ずかしくて仕方ないんだ。」
青葉は涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだった。
青葉「死にたい…でもひとりじゃ死ねない…
だから、姉さんにもついてきてほしくて、
姉さんはぼくがいなくなったらきっと苦しむことになる、
なら一緒に死んで楽になった方がいいと思って…」
青葉は食べかけのチョコケーキを机に残して
私に抱きついて一言言った。
青葉「お願い、ぼくのこと好きなら一緒に死んで…?」
私は硬直することしかできなかった。
私に青葉の思いを壊す資格はあるのだろうか?
私は青葉を守れなかった。
…私だって昔はいじめられてた。
でも守ってくれる人がいた。親友のえま…。
最近は仕事であっちも学校であまり会えてないけど。
そのおかげで私は就職できるほど親がいなくても自立できた。
だから次、青葉を守ってあげるのは私。
だから私は色んな手を尽くした。
いじめの証拠を出して学校の先生に相談とか…。
でも学校側はいじめなんて存在しないと一点張り。
私が卒業した中学校に青葉は通ってるけど
確かに私がいじめられてる時も先生は助けてくれなかった。
だから青葉にもう学校なんて行かなくていいよって言った。
それが青葉を1番守れる方法だと思ったから。
でもそれは違ったみたいだ。また嫌な思いをさせてしまった。
だから、ここは青葉の願いを叶えてあげて
青葉を幸せにしてあげるべきじゃないか?と思った。
私は青葉の頭を撫でながら言った。
涼音「わかった、一緒に死のうね。」
次の日、夕暮れ時に二人で
廃墟ビルから飛び降りることにした。
今日も仕事があったが行かなかった。
たくさん連絡は来たけど
スマホの電源を切って知らないフリをした。
どうせ死ぬんだから今日ぐらいサボったっていいでしょ。
それから青葉と久しぶりに街に出て
手を繋いで色んな場所を巡った。
おいしいものを食べたり、色んなものを見て…。
そうしていたらあっという間に夕暮れ。
目的の廃墟ビルへと向かった。
廃墟ビルの屋上のフェンスは壊れかけで低かったから
簡単に飛び降りることができそうだ。
涼音「…少し、お話をしようか」
私たちは飛び降りる前に少し話をすることにした。
青葉「姉さんは、来世なりたいものはある?」
涼音「来世、かぁ、何になりたいかより、
次はのんびり生きたいなぁ、青葉は何かあるの?」
青葉「ぼくは姉さんの…
いや来世も姉さんと一緒になれたら嬉しいな…」
私と青葉は見つめ合う。
夕暮れ時、2つの影は重なり合った…。
いつものことだよ、姉弟でもキスぐらいするでしょ?
ハグだって手を繋ぐことだって。
私達からからしたらただの馴れ合いなんだ。
よし!そろそろ飛び降りよう。
青葉「ずぅーと、大好きだよ。」
私「私も、大好きだよ。」
最後に言葉を交わし、
私と青葉は手を繋ぎ一緒に飛び降りた。
自然と怖くはなかった。やっと開放される気がして。
後青葉の願いをやっと叶えてあげれたこと。
幸せにできたこと。
それが何よりも嬉しくて恐怖なんてなかった。
幸い廃墟ビルの下は人通りが少ないから通行人はおらず、
誰も巻き込むことなく飛び降り自殺は成功した。
地上に叩きつけられても、血が流れていても、
その死体たちは手を繋いでいた。
そんな死体たちの傍にひとつの影が。
………
正直あいつらにいじめられて辛い、
死にたいだなんて思ったことない。
むしろぼくはあいつらのことを見下していた。
そうでもしないと生きている感じを得られないなんて、
哀れで惨めで醜かった。
ある日姉さんと一緒にお風呂に入った時に
体のアザを見られていじめられてることがバレた。
ぼくは平気だしあいつらを
内心で見下すのがむしろ楽しかったのに
姉さんは大袈裟でいじめの証拠を集め、
絶対知らんぷりする先生に訴えかけてた。
もちろんいじめの事実は無かったことにされ、
腹たった姉さんには学校に行かなくていいよって言われた。
正直、学校に行かなくていいって言われたのが
何故か嬉しかった。なんでだろう。
勉強しなくていいからかな?
いや勉強は家でもしないとだめか。
なんでかは分からなかったけどとにかく嬉しかった。
そうだ、姉さんは仕事してくれてるから
頑張って家事をしよう、そうしたら姉さんの役に立てるかも。
そう思って毎日お掃除に料理、買い物などをこなした。
近所のババァどもに色々言われてたが、
そんなことは気にしない。むしろあいつらの時みたいに
見下していた。
でもなんだろう、ある日から死にたいって思うようになった。
あいつらなんかどうでもいいし、
学校に行かなくていいから毎日が楽しいはずなのに。
いや一人で死にたいんじゃない、姉さんと死にたい。
どうにかして一緒になりたい。
ぼくは姉さんのことがたまらなく好きだ。
姉さんもぼくのこと好きなはず。
だからぼくのお願い聞いてくれないかな…?
そう思う日が続いたある日、
あいつらは家に来て物を荒らして花を荒らして
罵詈雑言を貼られた紙をたくさん貼って行った。
…これだ。姉さんと心中する方法は。
いじめっ子達からいじめられて辛い、死にたいって
演技して姉さんを誘い込めばいいんだ。
だからぼくは泣いたふりをして辛い、死にたいって言った。
でも途中から演技ではなく本当に涙が溢れてきてしまった。
なんでだろう、なんでこんなに辛いんだろう。
まぁそんなことは置いておいて
姉さんはあっさりぼくに騙されてぼくの願いを叶えてくれた。
そして死ぬことに成功したみたいだ。
姉さんとこれでひとつになれる!って思っていたのに…
目を覚ますと姉さんは横におらず、
ぼくはまっくらな空間にいた。
閲覧ありがとうございました!
次回もよろしくお願いいたします
涼音ちゃんと青葉くんの資料
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