2話 裂け目を抜けた先は暗い森
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私が目覚めるとそこはまっくらな空間だった。
横に青葉はいない、
この先ずっと歩いても暗いままで
光なんて存在しないような空間だった。
右も左も分からない私の目の前に2人の人物が現れた。
?「起きたね!おはよう!」
?「お目覚めのようだね」
寝起きに近い私に2人の人物は話しかけてくる。
そんな私から出た一言。
涼音「…ここはどこ…?あなた達は誰ですか…?」
2人の人物はしばらく目を合わせて
意思疎通してるみたいだった。
数秒の沈黙の後、身長の高い黒ずくめの男性が話し始めた。
?「…今大切なのはここがどこなのか、
僕たちが誰かじゃない、君がどうしてここにいるかだね。」
男性は単刀直入に言い放った。
?「君は死んだんだ、高いところからおりてね。」
?「ちょっと血は出てたけど比較的死体は綺麗だったよ〜」
そうだ、私は廃墟ビルから飛び降りて死んだんだ。
弟の青葉と一緒に。
…そういや青葉はどこなんだろう。
まさか、ここが地獄で私だけ死んで青葉は死ねなかった…?
そう考えると私の体から血の気が引いていく。
その考えを察した男性は軽く微笑みながら誤解を解いた。
?「ああ、隣にいた男の子のことだね、
安心してくれ、彼も君と同じように死んでいた。」
涼音「良かった…で、でもなら青葉はどこなんですか…?」
?「弟くんには先に行ってもらったよ。」
涼音「え…どこに…」
?「’’エスケープ’’にね」
涼音「えすけーぷ?なんですかそこは?もしかして地獄…?」
自殺したんだから地獄に行っても不思議では無いと思った。
親より死んだんだから…いや母親はもう死んだんだった。
父親も生きているかわかんないんだし。
男性は微笑みを崩さずに私に説明してくれた。
?「エスケープは、僕たちが作った世界なんだ、
君がいた世界で言い換えると異世界、かな。
地獄じゃなんかじゃない、むしろ天国のような場所だよ。
君をエスケープに招待したいって思っている。
そうしたらまた弟くんにも会えるさ。」
なるほど…つまり漫画でよく見る異世界転生ってやつかな?
よくわかんないし怖いけどそこに行けば青葉とまた会える…
死んだんだから他にやることも
無いし私はエスケープに行くことにした。
?「よかった、君なら
そうやって言ってくれると信じていたよ。
その前に準備があるんだ、ちょっと失礼するよ。」
そう言うと男性は指を鳴らした。…なんで鳴らした?
なんか…足がスースーするのは気のせいかな。
?「よし、これで準備は完了さ。
この先を行くとエスケープにたどり着くよ。」
?「エスケープへ、ご招待〜!」
まっくらで先が見えなかった空間に裂け目ができて、
その先は暗い森のようだった。
私は彼らに見送られ、裂け目の先へと出ると、
そこは完全に先程裂け目から見た暗い森だった。
匂いだって音だって森そのものだった。
さっきの何も無いまっくらなばしょはなんだったろう。
…とりあえず青葉を探さなきゃ!
この森は暗いみたいだが今は深夜みたいで余計暗かった。
まだ視界がまだこの暗さに慣れていない中、
私は歩き始めた。
しばらく歩いていると男性二人の話し声が聞こえた。
何か知ってるかも!と私は声の方へと近づいていく。
声はどんどん近くなっていき、声を頼りに
男性たちの側へとたどり着くことが出来た。
男性たちはなんだかやつれていて危険な…武器を持っていた。
私は男性たちに話しかけた。
涼音「あの、聞きたいことがあって…」
鈍い私でもすぐに気づいた。
男性が私を見る鋭い殺意のある視線に。
男性たちは私を獲物を見るかのように見ながら会話する。
男性1「これ…’’住民’’じゃないか?」
男性2「きっとそうだよ…間違いない、
奴は今武器を持っていない、殺るなら今だよ」
男性たちは私に武器を構えながら近づいてくる。
私は危機を感じてその場から走って逃げた。
もちろん獲物を逃がすまいと男性たちは後を追ってくる。
自分と男性たちが走る音が鮮明に聞こえる。
でもすぐに走る音は私のだけになった。
あれ…いつの間にか撒いた…?
てか足早くなってない?走る時、
いつもとなんだか違う感じがした。
なんだろう、前へ、前へとどんどん進んでいく感じ。
こんなに足は早くなかった。
中学時代の時、50メートル走のタイムが11秒台。
お世辞でも足が早くはなかった。
そういやたまに倒れた木とかを
ジャンプして乗り越えていたが
ジャンプも空中に浮いたみたいに高かった気がする。
なんだか…身体能力あがってない?
今もジャンプしてみる。
…うん、今までよりちょっと高く出来るようになっている。
でもなんで?あの裂け目を通ってから
力が漠然とみるみる上昇したのかな?
すごーい…と感心していると人の気配を感じた。
もしかして追いついてきた?
でもあんだけ殺意があるならもっと荒く近づいてくるはず。
私は近づいてくる気配に警戒しながら立っていた。
姿を表したのは背が高い男性。
男性は私を見つめてくる。でも殺意などは感じなかった。
数秒の沈黙の後、男性が沈黙を破ってきた。
?「…あんた、大丈夫か?」
…予想外だった。まさかの口から出たのは心配の一言。
不器用ながらも心配しているのがわかる。
こういう堅物な男性なら何者だ?
とか言ってくるものじゃないの?
漫画でそういう展開よくあるじゃないか。
…とにかく、この人は恐らく敵じゃない。
まだ敵と味方の区別の仕方が分からないけど。
涼音「だ、大丈夫ですよ。ありがとう。
えっと…あなたは一体何者?」
あー!そんなこと考えてたら私がそっち側に回っちゃった!!
まぁいいや、相手のことを知るのは大事だと思うし。
男性は態度を変えずに答えてくれた。
?「俺は…」
そんな時だった。
遠くからどんどん近くなってくる荒い足音がした。
奴らだ!私は男性を引っ張って逃げようとしたが
いつの間にか男性たちが私たちの目の前にいた。
男性2「逃げ足だけは早くて困っちゃうよ。
…でももう追い詰めた。今度こそは逃がさない。」
男性1「さっさとやっちまおうぜ!
しかももう1匹いるな、しかも高額なやつ!
こいつら殺ったら一生遊んで暮らせるかも」
とにかく逃げよ…おっと、運が悪い。
この先草木がぐちゃぐちゃで走って逃げれる状態じゃない。
どうしよう…このままじゃ…殺される…?!
いやでも私は1回死んだ身。ならば死なないのでは?
1体どうすれば…!
涼音「どうしましょう…死んじゃうのかな…」
私は殺される恐怖に囚われて
何も出来ず言葉を放つことしか出来なかった。
そんな私を落ち着かせてくれたのは男性だった。
?「大丈夫だ…安心してくれ」
一言だったがなんだか頼もしいと思わせてくれた。
そんなことを思っていたら出来事は一瞬だった。
いつの間にか男性たちは血を流して死んでいた。
そしていつの間にか武器のナイフを持って
返り血を浴びる男性。
この人が奴らを刺し殺したんだ。
きっと私には心配してくれるし、
敵対してきた奴らを殺したのだから彼はきっと味方だろう。
この人について行くべきだと私は思った。
そして私は男性に案内され彼の住処へと向かったのだった。
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