表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンフィクション短編集  作者: BIRD


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/25

スズメにも気付かれない忍び足

 高校生の頃の出来事。

 学校からの帰り道、桜の枝にとまってチュンチュン鳴いている1羽のスズメがいました。


「あのスズメに気付かれずに近付いて捕まえられたら、アイスおごってあげる」


 スズメを見た友人が、僕にそんなことを言うんです。

 当時、僕と友人たちの間で、流行っていたこと。

 背後から近付いて、ポンッと肩を叩いて振り向かせて、人差し指で頬をプニッと押すという、比較的無害で平和なイタズラでした。

 みんなの中で成功率が最も高く、気配を消すのが上手いと言われた僕に、人間以外にも通用するか試してみて、というのが友人の要望でした。


 要望に応えて、スズメの背後から忍び寄ってみる僕。

 半径1m以内まで接近しても、気付いてないのかチュンチュン鳴いているスズメ。

 更に距離を詰めて、スズメの後ろから片手を伸ばしました。


 野鳥だし、スズメだし、普通は逃げますよね?


 しかしそのスズメは余程鈍い奴だったのか、鷲掴みされる直前までチュンチュン鳴いていました。


「ヂュッ?!」

「うそ、マジで捕まえた?!」


 掴まれて驚くスズメ。

 見ていた友人が、笑いながら驚いてます。


「はい、アイス確定だね」


 片手に鷲掴みしたスズメを持ちながら、勝利宣言をした僕に、友人はアイスをおごってくれました。


 スズメは友人に見せた後、勿論リリースです。

 両翼を広げられないように押さえていた指を離したら、スズメはすぐに飛び立ちました。

 凄い速さで飛び去ったから、鈍い奴ではないのかもしれません。


 それは、鳥インフルエンザが、世間に知られる以前のことでした。

 僕は小学生の頃からインコ、文鳥、十姉妹などの小鳥を飼育していて、小鳥の扱いに慣れていたから出来たのかもしれません。

 木々に囲まれた中、スズメがいた桜の木の幹に隠れるように接近したから、気付かれなかったというのもあるかもしれません。

 でも、再び同じことをしろと言われても、出来ないと思います。


 あの日、何故素手でスズメを捕まえられたのか?

 多分、テーブルトークRPGに当てはめたら、ダイスで6ゾロが出て絶対成功判定になったようなものかもしれませんね。


 以来、友人から「忍者」とか「野生児」とか呼ばれるようになった、高校時代の珍事でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ