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呪いの仕組み

「……肥料?」

 ミナミは少し、距離を取りながら、私に問いかけた。


「その村長はこの肥料を使って、農作物が育たないように、そして、海を赤く、魚が住むことができないようにしたんだ。」

「?」

「じゃあ、一つずつ説明しよう。肥料ってのは、こんな感じの畑に撒くことで、農作物の実りが良くなるものだ。魔法の粉なんて言ってはいるが、鉱石を砕いて粉にしたものだろう。


 まあ、それはいいとして、問題は農作物を育てるはずの肥料が、農作物を育た無くさせるのかだ。


 例えばだ。この鹿のスープの味が濃かったとしよう。ミナミはどうする?」

 私は食器を持って、そう言った。


「えっと、水を足す?」

「そうだな。味が濃ければ、水を足して薄めるよな。そしたら、味は薄くなる。ここで重要なのが、鍋全体が薄くなるってことだ。別に、鍋の半分の味は濃いままで、もう半分は薄いままなんてことは起こらないよな。鍋全体の味が薄くなる。


 これと同じことが、畑と肥料でも言えるんだ。肥料がいっぱいあるってことは、鍋で言うところの味が濃い状況と同じだ。畑は味が濃い状況ならば、水で薄めたくなるよな。じゃあ、どうするかと言うと、植物、今回で言うと、農作物達が、体の水を使って、何とか薄くしようとするんだ。


 そしたら、どうなるか、植物の水は無くなっていき、しおれ、枯れていくんだ。」

「その理屈は筋が通っていると思うけれども、海が赤くなる現象の説明はどうするの?


 今のところ、まだ、呪いと言われた方が海が赤くなることは理解できるけれども。」

「海が赤くなる現象は、赤潮のせいだろうな。」

「赤潮?」

「赤潮ってのは、畑の肥料が雨によって海に流れでることによって起こる現象だ。


 肥料が海に流れ出ると、プランクトンって言う目に見えない生き物がその肥料を食っちまうんだ。たくさん食べたプランクトンは、食べた分、たくさん増える。そうなると、目に見えないほど小さかったプランクトンでも、たくさん集まることで、目に見えるようになる。


 そのプランクトンの色が赤色だ。


 そして、その赤潮がなぜ、生き物を殺すのか? 色々と原因はあるが、その赤潮って現象は、海の上に蓋をするようなものだ。じゃあ、その鍋に蓋をしてみよう。」

 そう言って、私は湯気が立ち上る鍋に蓋をした。


「蓋をする前と、何が変わった?」

「えっ、湯気がでなくなったとか?」

「そう、蓋をされると、湯気が出なくなる。それはつまり、中のものが外へ出ず、中に閉じ込められるってことだ。閉じ込められれば、魚たちは息がしづらくなって、死ぬ。


 今、私達が火を焚いている時に、部屋の戸を閉め切らないのは、窒息して死にたくないからだろう。それと同じことが、海の中で起きているってことだ。


 だから、血に染まった海に魚の死骸が浮くなんて言う呪いの海が出来上がる訳だ。」

「じゃあ、肥料を止めれば、農作物は育つようになるの?」

「止めた所で、土が駄目なままだ。」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「いろいろ方法はあるが、今できそうなのは土に水を大量に撒いて、一旦、肥料を流すしかないな。


 大雨を起こすしかない。」

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