43歳 孤独死
私の中から神様が消えたのはいつからだろうか?
私はかび臭い布団にくるまりながら、そんなことを考えた。見える家の黄ばんだ天井は薄暗く、所々にシミができている。カーテンの隙間から飛び出した太陽光以外は、部屋を明るくするものはない。その唯一部屋を照らす一筋の光ですら、部屋に舞う埃の存在を知らしているだけだ。
私はくるまった布団から手を出して、枕元に置いてある煙草の箱と100円ライターを両手に持った。そして、慣れた手つきで煙草に火を点け、煙を大きく吸い込んだ。しかし、その吸い込んだ煙を咳きこむことで、吐き出してしまった。
私は肺を吐き出してしまいそうなほど、嗚咽し、咳きこんだ。こうなるたびに、煙草を吸う意味を問いただしたくなってしまう。きっと、意味はなく、依存しているだけなんだろうから、私は咳が収まると、大きく吸い込まないようにして、静かに煙草の煙を吸い込んだ。
そして、薄暗い天井へと煙を吐く。灰色の煙はもくもくと天井へと登っていく。まるで、魂を少しずつ天国へと送っているようだ。
もういっそ、この魂全てを天国へ送ってしまいたいものだ。
……いや、私が行けるのは、せいぜい地獄か。
もう、××××××があってから2年経った。
それからずっと、何もない天井に魂を飛ばす日々だ。もう疲れた。何もせず、誰とも関わることもない。きっと、××××××を忘れられずにいるからだ。引きずっているんだ。
きっと、あの時だ。私の中から神様が消えたのは。
今では、あの日消えた神様の存在は薄れつつある。そもそも神様などいないのではないか?そういう考えが私の頭の中で巡っている。何も信じるものがない。寄りかかるものがないからこうやって布団にくるまって、生きる屍とかしているのだろう。
それならいっそ、死んでしまいたい。
「死にたいって言ったわね!!」
私は急に聞こえた若い女性の声に、部屋を見渡す。しかし、周りには女性らしき人もいないし、人も見渡らない。
どうやら、幻聴が聞こえているらしい。
「幻聴じゃないわよ。私はあなたに話しかけているの。」
私はもう一度周りを見渡すが、誰もいない。声はくっきりと聞こえる。
一体どういうことだ?
「それよりもあなた死にたいって言ったわよね? いや、聞くまでもなく、その願い叶えてあげる。
私が殺してあげるわ。」
そんな状況も飲み込めない内に、知らない相手から殺害予告をされた。しばらく、声は聞こえなくなり、私は寝ぼけているのだろうかと思い、顔を洗うために部屋を出ようとした。手に持っていた煙草を枕元の灰皿にねじり消すと、寝床から立ち上がった。
すると、突然、心臓に激痛が走った。
私はあまりの激痛に足から崩れ落ち、地面に倒れこんだ。まるで、心臓を握りつぶされているような痛みだ。そして、喉の奥が燃えるように熱くなり、何か大きな塊が込み上げてきた。その塊を口から吐くと、それは血だった。
その血の量は、人間が一度に出してはいけない量だと本能的に思った。私はそのまま段々と意識が薄くなり、まぶたが重くなった。私はフローリングに広がっていく自分の血を見ながら、ゆっくりとまぶたを閉じた。
投稿が途切れないよう頑張ります。




