0052.温暖化 × 織田信長 × ラタトゥイユ(実験的)
天正十年、六月。
京の夜は蒸していた。
本能寺の廊下を、若い小姓たちが団扇を片手に歩いている。
「今年は妙に暑うございますな」
「うむ。風もぬるい」
その夜、
織田信長 は珍しく食が進んでいた。
昼に南蛮人から献上された料理、
“ラタトゥイユ”が気に入ったのである。
色鮮やかな野菜を煮込んだ料理。
信長は酒を飲みながら言った。
「悪くない。
暑い日に食うことを前提に作られておる」
森蘭丸が困った顔をする。
「しかし殿、あまり召し上がると身体が火照るのでは」
「たわけ。野菜だぞ」
そう言いながら、信長はしっかり三杯食べた。
深夜。
寝所。
信長はむくりと起き上がる。
「……暑い」
額に汗。
首筋にも汗。
布団を蹴る。
「なんだこれは。
身体の内から熱い」
しばらく黙っていたが、
ふと呟く。
「ラタトゥイユのせいか……?」
その時。
外から慌ただしい声。
「敵襲ーッ!!」
「明智勢、本能寺を包囲!!」
直後。
障子の向こうが真っ赤に染まった。
信長、立ち上がって障子を開ける。
業火。
熱風。
燃え上がる本能寺。
信長、思わず叫ぶ。
「なんだ、燃えておるではないか!!」
近臣たちが駆け寄る。
「殿! 火の手が!」
信長は汗だくのまま叫ぶ。
「温暖化のレベルではないわ!!」
一瞬、場が静まり返る。
蘭丸が小声で言う。
「温暖化?」
その直後、
天井が崩れ落ちた。
織田信長は未来人によく会うので「温暖化」 というワードを知ってます




