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スカーレット・アイズ(旧:異世界辺境生活)  作者: 長靴を履いた犬
異空間と、二つの月と、大切な友達。
10/13

初代様の威を借る幼児

 現在、この作品は加筆(改訂)作業中です。

 まだ、第二話以降は加筆(改訂)作業は終了しておりません。

 ご注意ください。

(ハッ)

 頭が、ガクッと落ちて、目の前にノートが迫った。

 瞬時に姿勢を正し、ノートとのキスを直前で回避する。

(一瞬、意識が飛んでいた?)

 手元にあるコーラの500ml缶を口に運び、一口飲む。

 炭酸は心地よい刺激を感じさせながら、喉を流れて行く。

(なんか、久しぶりに飲んだ気がすんな)

 今度は味わって、ゆっくり飲む。

(えっと、あぁ午後の実習で疲れたからなぁ)

 眠い目を擦りながら思う。

「おい、竹島。聞いてんのか?」

 目の前の学ラン姿の先輩が、彼(竹島大和)に声をかける

「あ、はい。聞いてますよ。真田先輩」

 目の前には、学ラン姿の先輩が、黒板に色々書いている。

(確か、今回のお題も、異世界に召喚された際の農業知識と技術の利点だったか?)

 黒板に書かれていた単語から読み取る。

「あ~、何処まで話したっけ?」

 頭を掻きながら、聞き返してくる。

(先輩、勢い中心で考えて話してないからな~)

 ちょっと、苦笑しながら

「農具と畜産の関連じゃないですか?」

 最後に書かれたと思しき単語から、予測して答える

「あ、あぁ、ん?そうそう」

 真田は、調子よく答える。と、また黒板に向かい幾つかの単語を書き始める。

「ふぁぁ~」

 竹島が欠伸を噛み殺していると

「寝るな」

「寝て無いッス」

 キレの良い動きで、確認してくる。

 瞬時に姿勢を正す。が、また真田が黒板に向かうとダレる。

「たく、畠山は来ないし、こんな機会、滅多に無いってのに」

 ブツブツ言いながら、黒板に書いている

(畠山、お前の読みは正しかったよ)

 息を殺しながら深々と嘆息する

(三年の先輩たちは、生徒会と農業クラブで居ないから行かない。確かに、止める人が居なくなったら暴走するもんな真田先輩)

 書き終わった単語を、喜々として説明を始める

(しかも、小さい頃から空手道場に通ってたらしく、滅茶強い。確か馬鹿にした奴をボコボコにして、停学くらったとか……、マジで逆らいたくない)

 プラウ(犂)の歴史から、スクラッチ・プラウ、クルックド・プラウ、モールドボード・プラウ、ヘビー・プラウへの変化について、また、それに伴う家畜の畜力の必要性について、図まで書いての解説。

(説明だけは上手いんだよな)

 下手な授業より、解りやすかったりする真田の解説に、嘆息する。

(ただ、内容が……)

 一頻、説明が終わった後

「そうですね」

 にこやかに答えながら、

(先輩、ラノベの読みすぎです。異世界に召喚とか、記憶持ったままの転生とか。まず、あり得ないから)

 顔に出さないで、心の中で思う。

 ブルッ

 コーラの飲みすぎか、なんか悪寒を感じ

 ブレザータイプの学生服を羽織る。

(なんか、尿意が……)

「先輩、便所行ってきます」

「仕方ねぇな。早く戻ってこいよ」

 真田一人残して部室の物理室を出る。

「トイレ、トイレっと」

 男子トイレに入り、用を足そうとし……




 目覚めると見慣れた天井

 ここは、自分用の低いベッド。

(昨日、気を失ってから、ずっと寝ていたのか?)

 すぐ横に居るのは、丸まって寝ている忠犬ロラ

(あぁ、薄らと夜泣きした事、最初は母親の名を呼び、次に忠犬ロラの名を呼んだような)

 で、股間を濡らす温かい感触。

「ひさいふりに、やてしまた」

(久しぶりに、やってしまった)

 前世、新田駿。

 現世、ラトゥ・ラグナローグは愕然とする。

「ほんのにまかせすきた」

(本能に任せ過ぎた)

 シーツの下に敷かれた藁に雑じり虫除けだろうか乾燥したハーブが尿に濡れた作用で、さわやかな匂いを出し尿の臭いを包み込んでいる。

(流石、ファンタジー世界、何でも有りだな。だけど、漏らす前提なんだよな。まあ、仕方ないよなトイレトレーニングも未だだし、基本、あんまり我慢できないし)

 深くため息をついて母親に報告するために、幼児ラトゥはベッドから降りようと動きだす。 

 その動きと、匂いを感じ忠犬ロラが起きだし、忠犬ロラに銜えられて降り、その足で台所に居る筈の母親の元へと向かう。

「ま、いつもとおりくしうされておわりたとおもうけとね」

(まぁ、何時も通り苦笑されて終わりだと思うけどね)

 幼児ラトゥの中身、成人男性の誇りが、ボロボロになりながらも、忠犬ロラ運ばれて行く


 朝食後、白いシーツがパタパタと春の風に靡く。

「きうはてんきかよくてよかた」

(今日は天気が良くて助かった)

 ちょっとだけ胸を撫で下ろし

(天気が悪かったら、普通に干されて終了だったが、軽く水洗いして貰えた)

 洗濯に使用した水は、庭の草木に撒かれた。

 所々では、水溜りが出来ている。

「て、これからとうしよう」

(で、此れから如何しよう)

 昨日、見た事を全て思い出し、今後の事を考える。

(外に出れて多少の情報は入っても、出来る事に変化は無いんだよな)

 水溜りに映った自分ラトゥ忠犬ロラの姿を見ながら、ボーと思う。

 黒髪緋眼の健康そうな幼児と真っ白な大型犬、これが自分ラトゥ忠犬ロラの姿。 

「したいたんしくさまとかみとめのいろは、おなしなんたよな」

(初代男爵様と髪と眼の色は、同じ何だよな)

 肖像画とも風景画とも言える絵画の中に画かれている初代男爵を思い出し、考えを纏める。

「……やてみるか」

(……やってみるか)

「ろら、いこ」

(ロラ、行こう)

 幼児ラトゥロラは、屋敷に戻り応接間に向かう。

「したいさま、おなまえおかりします」

(初代様、御名前お借りします)

 初代男爵の絵画の前で、一礼をする。

(これも、全ては男爵家と領民の為)


 その足で、祖父の元へ向かう。

 いろいろ探し回り、結局は母親に訊いた結果、いろんな耕具、道具が散乱している部屋に居た。

「しつれいします」

(失礼します)

 礼儀正しく入室する。

「ん?ラトゥどうした?」

 いつもと同じ優しい目で、ラトゥを見る。

「ね、じーじ。きのう、はたけてつかてたすきてすか」

(ねぇ、お爺様、昨日、畑で使ってた犂ですが)

 一生懸命に、発音に気を付けて訴える

「昨日の犂がどうした?」

 ラトゥの頭を撫でながら、祖父は続きを促す。

「しりんつけるといいていてたの」

(車輪付けると良いと言ってたの)

 ラトゥから、突拍子も無い事を告げられる。

「あっははは、車輪か。それは良いな。そんなに馬車は楽しかったか?」

(あぁ、連れて行って良かった。疲れて、そのまま眠ってしまったぐらいだったしな)

 真面目な顔のラトゥを、祖父は楽しそうに笑顔で思う。

 勿論、気絶したまま眠ってしった事を、祖父は知らない。

「ぅんん。そしないの。しりんつけたほうかいいていてたの」

(うんん。そうじゃ無いの。車輪付けた方が良いって言ってたの)

 あまりの真面目そうなラトゥの顔に、祖父は不思議な顔をし

「誰が、言ってたんだ?」

 少し興味を持った。

「うんとね。こち」

(うんとね。こっち)

 幼児ラトゥは、祖父を連れて応接間に向かい。

「あのおかたてす」

(あの御方です)

 と、初代男爵様ラザード・ラグナローグ・ハイデを紹介し、その絵画をポカーンと見ている祖父を下から眺めていた。

「ラトゥ。本当に、あの方が、お前に言ったのか?」

 何処か半信半疑で、ラトゥを見る。

「ぅん、ゆめのなかていたの」

(うん、夢の中で言ってたの)

 幼児ラトゥは、緋色の瞳で、祖父を見上げる。

 少しの沈黙。

「しかし、だが、これなら……」

 と、祖父は一人で考え始め、ブツブツつぶやき足早に部屋に戻る。

 その姿を、見送りながら

(昨夜の夢に出てきた真田先輩曰く、ヘビー・プラウと呼ばれる有輪犂ゆうりんすき、要するに車輪のついた犂のことで,車輪の無い犂よりも深くて効率よく耕せる)

 幼児ラトゥは、思い出す。

「……さなたせんはい、ありかとうこさいました。そして、きおくもたままてんせいなて、そんなことないておもて、ほんとこめんなさい」

(……真田先輩、有り難うございました。そして、記憶持ったまま転生なんて、そんな事無いって思って、本当に御免なさい)

 幼児ラトゥは、口の中で感謝と謝罪の言葉をゴニョゴニョとつぶやき、再び応接間に戻ると、初代男爵様ラザード・ラグナローグ・ハイデに、協力の感謝の礼をする。

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