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奴隷スタートの古代ローマ転生で成り上がりRTA(実質強制)  作者: 九束
2章 ちみつな事業計画で最速奴隷解放RTA

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67話 お嬢様の婿候補[1/2]

「いやぁー今回の選挙は本当に、拍子抜けするほど楽だったよほんと」


からからと俺の前で今年のポンペイ二人官選挙の結果を共有してくる若様。


例年3月に行われるポンペイ二人官選挙。


若様の言う通り、先週投開票が完了した今回の選挙は、ポンペイ史上断トツに穏便で圧倒的な選挙だったと評されるほど、圧倒的な差をもってマルクス様とガイウス・ユリウス・ポリビウスという人が当選した。


何で得票数が公開されない二人官選挙において圧倒的だったと言えるかというと、選挙活動自体が圧倒的だったのだ。


選挙期間中は町中がマルクス様を推薦するポスターにあふれ、対立候補はほぼほぼ来季に向けた足固めに徹する状態。


なんならポリビウス氏をメインで推薦するポスターすらほとんど掲載されなかったというありさまとのことだった。


「綺麗なもんだったよほんと。いつもは当たり前のように発生する場外暗躍やポスターへの落書きだってほとんどなかったし。まあ、皆奥さんや姉妹、娘は怖いからねえ」


「はははは……」


そんな選挙結果を話す若様は、去年会った時と変わらず飄々(ひょうひょう)としている。


「あ、おかわり貰える?」


「かしこまりました」


空になった若様のコップにカモミールティのお替りを入れて差し出すと、若様はお気に入りの大麦の麦の蜜(水あめ)の小壺から蜜をたらし、満足げにまた一啜り。


「そういえば……さっき廊下でルクレティアとすれ違ったんだが……なんだか随分とおしとやかな雰囲気を纏ってないか?高慢な雰囲気が減ったというか、まあいい傾向ではあると思うんだが……」


「……………やはり皇族のご学友になれたことが大きいのでは?」


「なるほどね」


半ばだまし討ちに近い形でドミティアヌス殿下のご子息、コルブロ殿下のご学友になったルクレティアお嬢様であったが、これが結構いい方向に回った。


年下の男の子(しかも皇族)に無様な姿は見せられないと、天井知らずのプライドがいい方向に作用し、血眼になってホメロスを始めとした詩集の暗唱や解釈、修辞学の勉強に励んだ結果、言葉の端々にギリシア学問的な知性を滲ませる、洗練されたローマの淑女へと変貌しつつあったのだ。


「……ま、他にもいろいろ要素はありそうだけど。まあいい方向だし気にしないことにしておくよ。で、た」


マルクス様とは異なり、そのあたり緩い若様はお嬢様の変貌を適当に流し、本題へと切り出してきた。


「今日ここへ来たのは他でもない。ルクレティアの婚姻相手の候補について、いくつか水面下で選定が進んでいてね。ルシウスにも意見を聞いておきたい」


「俺の意見、ですか?」


「そ。今や我がルクレティウス家の最大の被保護者(クリエンテス)はムニウス・ザギッタ家だ。その実質的な次期家長の不興を買うなんて私はごめんだからね。口には出さないが、父も同じ考えだと思うよ?」


「お嬢様の意見とかは?」


「お前がどうしてもそれを指標にしたいというなら、私はそれを是とするが。貴族社会一般では婚姻は家の政略だからなあ」


暗に基本的には必要ないものだぞ?と言ってくる若様。


まあ古代中世に限らず、偉いさんの婚姻は家の生き残りや発展を賭けた重要なカードなのは言うまでもない。


俺が意見を考慮してくれと要望を出したらある程度その要望にフィルタリングされるだけでも十分優遇されているだろう。


とは言え、今はそもそもお嬢様に要望をヒアリングするだけの材料がそもそもない。


「で、現状の候補はどなたなんですか?」


なので俺は一旦、現状の候補からお嬢様に要望をヒアリングするための材料を得ようと思い、若様に質問をした。


「一覧を持ってきた」


それに対し、若様はトガの袖からパピルスを取り出し、俺の前に広げる。


「まずこの辺りはピソ家傍流系やピソ推薦のピソ家寄りの家々」


「おぉう、軍の高級幕僚トリブヌス・ミリトゥム法務官(プラエトル)財務官(クァエストル)がずらーり。結構若い年齢の人もいますね。25歳とか」


この年齢で軍や政府の要職についているということはそれだけで確かな家柄なことがうかがえる。


「だができればこのあたりの面々は私も父上も避けたい」


「……?なんでです?」


「ピソ家は確かに我が家の庇護者(パトロヌス)で名門だが、そことのこれ以上の婚姻関係強化は実質的にピソ閥に組み込まれることを意味するんだ。去年の春ならそれでも望外の栄達だったんだが……ドミティアヌス殿下がこの家に入り浸っている今それをやると、政治的に別の意味を持ってしまう。殿下にいらぬ野心を抱かせかねない」


「今の殿下にそれほど野心があるようには見えないですけど」


最初のうちはなんかこう、薄暗い鬱屈するものを抱えてそうだったドミティアヌス殿下だが、ここ最近は法人制度(有限責任組合制度)と法人税法についての皇帝勅令と元老院承認も無事完了し、法人制度全体を統括する役割を与えられて今の所生き生きとしている。


かつての神経質さはどこへやらで、ガンギマリ梁山泊のガンギマリ4人衆の中では、なんなら常識人寄りな立ち位置でさえある。


「……まあ実際に相対しているお前が言うなら今はそうなんだろう。だが政治的な状況が変わったらわからんだろう?政治では必ずしも個人の意見だけで趨勢が決まるわけではないからな」


「俺は政治に詳しくないんで、若様やマルクス様がそう言うならそうなんですかね?」


「本人にその気がなくても忖度した周りに押されていつの間にか、なんて良くある話だ」


「あー……」


「そんなわけで出来ればこのあたりは避けたい」


ピソ家推薦のリストにバッサリとペンで線を引いていく若様。


年齢や職も色々でお嬢様に合いそうな人も良そうな気がするだけにもったいないが、仕方がない。


「で、次の二人が有力候補になるんだけど……」


そう言って、今までのひとまとめの資料とは別の2枚のパピルスを取り出そうとする若様。


「……その前に、ルシウス。お前の方で候補とかいる?」


んー……俺の方で出せそうな候補、かぁ。

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― 新着の感想 ―
お嬢様、やればできる子だった。 このまま見栄張って、もとい淑女街道を歩んでローマのお貴族様の良縁ゲットできればいいんだけど……そうスンナリ行く気がしない
いるさっ! ここに一人なっ! って感じでルシウスくん立候補・・・はルシアとの話が世間に流布しまくってるから無理かなぁ。
うろ覚えだが、共和制の頃のローマだと執政官の一個下が法務官で確か一個軍団の指揮権があったんじゃなかったっけ?帝政の頃どうかは覚えてないけど。 後この時代からポスターなんて貼ってるの?
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