死ぬ覚悟と生きる覚悟(修正完了)
緊急に開かれた会議に負傷していないEXクラスのメンバーと草部、そして倉沢含むこの駐屯地の幹部以上の軍人が会議室に集っていた。
「それじゃあ、最後の戦い。超大型海魔族の討伐作戦の会議を始める。皆さん。よろしいかな?」
緊張感が充満する密で最初に口を開いたのは倉沢だった。倉沢の確認に皆が沈黙したまま視線でサインする。それを確認した倉沢は改めて敵の詳細を説明し始めた。
「今回、我々が視認した超大型海魔族、通称『クラーケン』は間違いなく海魔族の王の一角でしょう。海魔族の王については発見例が少なく、調査も難航しているため、わかっていることは少ないです」
「そんなことは知ってるんだよ。あのイカ野郎の説明よりも現状を説明しろ倉沢」
苛立ちを隠せない草部は倉沢に文句を言った。倉沢の近くに座っている幹部たちの殺気の視線が草部に向けるが、草部は何ともないかのように涼しんでいた。倉沢は大きな溜息を吐き、改めて状況を説明した。
「草部の言う通りですね。コホン。こちらの戦力は学生を含めて残り百。銃器の不備や弾薬は足りない状況です。幸いは砲台は修復が完了し、砲弾も充分にあるというところでしょう」
倉沢の説明を聞き、和貴は自軍の勝算について考えていた。たった百で巨大な怪物を討伐する。昔存在した映画の作品で自衛隊という組織が怪獣に立ち向かうものはあったが、立ち向かう立場となれば希望よりも絶望感が上回ってしまう。無策で挑めば間違いなく全滅することは考えるまでもなかった。
「もう一つ、援軍は期待しないで下さい。政府に現状を伝えたのですが、援軍は認められないと言伝がありました」
「やっぱりか。…あの害悪どもめ。自分を守ることしか考えていないからな」
「しかし、物資は明日の早朝に届くそうです。最も、届いている頃にはこの町があるか怪しいと思いますが…」
倉沢と草部は溜息を吐き、何かいい考えがないか模索し始めた。その状況で和貴はやむをえないと判断し、会議室から退出しようとした。すると、それを見逃さなかったのか草部が和貴に声をかける。
「おい、どこに行く?」
「用を足しに行ってきます。作戦は倉沢さんが考えてくれると思いますし」
「…わかった。ただ、後でお前らに言うことがあるからすぐ戻ってこい。ついでに負傷してる奴らの様子も確認してくれ。俺は倉沢と一緒に話してるからさ」
草部は許可を出すとすぐに倉沢とこの場にいる幹部と話し合いを始めた。和貴は会議室を後にすると、クラスメイトのお見舞いに行くために歩みを医務室に向かうと同時に懐から電話を取り出し、とある人物の電話番号を打ち込んでいた。
場所は変わり、月宮殿で綾華は事務仕事を終わらせ、紅茶を飲んでいた。和貴が海魔族と戦う報告を聞き綾華は心配していたが、半年前の事件を乗り越えたのなら問題ないと判断し、明日の帰りを待っていた。
「はぁ~。和貴に会いたいな。今頃どうしているだろうか…」
プライベートルームには基本的に誰もいない為、王としてではなく、完全に素の状態の綾華だった。もし休憩している場所が玉座の間であればいつだれが来ても構わないように表情が険しく、この国の女王となっているだろう。
しかし、この場に綾華は和やかな表情で紅茶の香りと味を楽しみ、遠目であれば一枚の絵としても成り立つだろう。
香りを楽しんだ綾華はもう一杯紅茶を飲んでから次の仕事をしようと決断した時、電話が鳴り響いた。また仕事の連絡かと一瞬だけ顔をしかめるが、画面に表記された名前を見て歓喜に満ちた。
「和貴か!海魔族はどうなった?和貴なら簡単に倒せる相手だと思うが…」
『待ってくれ姉さん。気になることはあると思うがまず一言言わせてくれ。…連絡しないで心配させて悪かった。一応生きてる』
「そうか。よく無事でいてくれた。それで、一体何の用だ?」
『話が早くて助かよ。…助けてくれ。このままだと基地が崩壊する』
「…どういうことだ?詳しく話を聞かせてくれ」
和貴は綾華に現状を簡単に説明すると、電話越しで綾華は大きな溜息を吐いていた。
『まさか龍神族にJ・S。そして海魔族の王が出るとはな。私も予想していなかった』
「本当は姉さんの力に頼りたくなかった。これはこの基地の問題だし、何より実戦だと使えない手段だからな。それに姉さんに負担がかかっちまう」
『私の弟の頼みなど負担でも何でもないぞ。さて、援軍についてだが政府が出さないと判断してしまったのであれば軍隊を出撃させるのは厳しいだろう。何より、あの頑固爺どもは一度決断してしまえばそう簡単に意見を変更することはない』
予想通りの返答に和貴は少しだけ落胆する。やはり援軍は厳しいかと諦めかけた時、綾華は電話越しに質問した。
『だが抜け道はある。和貴。襲撃してきた龍神族の特徴を教えてくれるか?』
「俺が対峙した龍神族は黒い龍神族だったな。目に映らない槍裁きだったな。この基地にいる軍人じゃあ絶対に勝てないと思う」
和貴は特徴を伝えると電話越しに綾華が微笑していることに気が付いた。おかしな報告があったのかと和貴は思考するが、それを断ち切るかのように綾華から話し始めた。
「すまない。嬉しい誤算があったからつい笑ってしまった。もしかしたら強力な人物を呼ぶことができるかもしれない。ただ、黒い龍神族がいたという確証が欲しい。何かあるか?一番いいのは鱗とかがいいんだが…」
「なら、槍があります。何故か分かりませんが黒い龍神族から槍を受け取ったんです。…ところで、その黒い龍神族って何者なんですか?…姉さん?」
突然無言になり、和貴はどうしたのかと心配する。すると、綾華はこれまで以上に真剣な声色で和貴に話しかける。
「和貴、槍をもらったと言ったのか?」
「あ、ああ。よくわからないが、俺を倒すことができるとか、言ってたな。あの言葉の意味がよくわからなかったが…」
「…和貴。この戦いが終わって学校に戻ったらすぐに私のところに来い。話がある。援軍はすぐに呼ぶからそれまで何とか持ちこたえてくれ」
「わかった。手配してくれてありがとうな。姉さん」
その一言で和貴は電話を切った。和貴は電話をポケットに入れると目の前に有樹たちが休んでいるとされる病室に辿り着いた。和貴はノックすると同時にその中に入る。その病室には全身のあらゆる場所に包帯が巻かれ、未だに意識を取り戻していない有樹と既に完治し、筋トレを行っている理雄がいた。二人の様子を見て和貴は少し安堵した気持ちになったが、隣に寝転んでいる人物を見て和貴は心が痛くなった。
「霧和。体調はどうだ?」
「具合は大丈夫です。ただ、何も見えないことが残念です」
目元を包帯で固定されている盲目の少女、霧和は和貴に話しかけられたことに気づき、一瞬だけ慌てたがすぐに普段通りのおっとりとした態度に戻る。直後無言の空気になるかに思われたが、その空気をぶち壊すように同室の住人が和貴に話しかける。
「和貴!俺はどうやら一回死んだようだ!」
「いきなり何言ってるのかわからん。というか、その能力を見られたのか?」
理雄の真の能力『復活』は初の自己蘇生能力であり、できるだけ秘匿するべき能力であると和貴は判断している。幼いころに和貴は一度だけ理雄からその能力の概要を聞いたが、その希少性故に広めるなと釘を刺している。今までは能力の副次効果である『鎧強筋』でごまかしていたが、これからは本当の能力が広まってしまうだろう。
「おう!でも仕方ないな。いずればれることだし!それより、今どんな状況なんだ?戦いは終わったんだろ?」
「悪いがまだ終わっていない。それと、俺ももうすぐ行かなきゃいけないからな。完治しているなら理雄も一緒に行くか?」
元気よく理雄は返事をすると服を脱ぎ、軍服に着替え始めた。慌ただしくも普段通りの理雄を見て和貴は少しだけ心が安らかになった。理雄が着替え終え、病室から退出するとき、和貴は霧和に言伝を頼む。
「霧和。有樹に伝えておいてくれ。『お前は勤めを果たした。ゆっくり休んでろ』って」
「了解です。起きたら伝えておきます」
言伝を頼んだ和貴は理雄と共に病室を後にする。幹部の人が気を利かせてくれたとはいえ、そろそろ約束の十分になりそうだった和貴は駆け足で会議室に戻っていた。その際、共に走っている理雄に現状を全て伝えると理雄は複雑そうな表情で和貴に質問する。
「つまり、敵は去ったけど、また敵が現れたってことか?」
「そんなところだ。単騎とはいえ全長三十メートルの怪物だ。能力者が束になっても倒せるか…」
会議室に到着すると、和貴は扉の前でノックする。扉が開かれることを確認した和貴は理雄と共に会議室に入った。瞬間、復活した理雄の姿を見て和貴と草部を除く全員が驚いた。
「理雄!?身体の調子は大丈夫なの!?」
「問題ないぜ雪花。何なら、問題になっている海魔族の王を倒しに行こうか!」
「それはそれでありがたいけど、あなた単騎じゃあ無理でしょ」
理雄が戻っただけで先ほどまでに疲弊していたEXクラスの活力が復活する。その様子を見て軍人の顔色も徐々にだが変わったことを和貴は理解した。しかし、その雰囲気をぶち壊す破壊者は現実に戻すように大声で発言した。
「馴れ合いなんてするな!今はこの状況を何とかすることが最善だろ。再開の挨拶はそれからにしておけ!」
破壊者、草部椿は険悪なムードで理雄が帰還したことを喜ばず、現状の打破について考えろと声を荒げる。その一言で会議室にいる皆が現実に引き戻され、現状を現状を打破する作戦を考え始めた。その空気を見て和貴は打破する手段が見つかっていないことを悟った。先ほどの綾華との話を伝えるべきか否かを悩むが和貴はあえて口に出さなかった。
――もしあの会話のことを話したらややこしいことになる。それに、こんな公の場所で俺が王様の弟なんてばれたら面倒なことになるに違いない。それに、優秀な姉さんのことだ。既に手を打っているはずだ――
その考えを予期するかのように会議室に設置している電話が鳴り響いた。一番電話に近かった人物、倉沢はその電話を手に取り、会話を始める。
「もしもし…はい私です。………はい、はい……本当ですか!ありがとうございます!」
失礼します。と電話を切った倉沢は皆に振り替える。その表情は先ほどのような死体のような表情ではなく、嬉々とした活路を見出した表情であった。その表情を見て皆が倉沢の反応に期待する。それを見越したかのように倉沢は先ほどの電話の内容を話し始めた。
「皆さん!いい報告と悪い報告、どっちから聞きたいですか?」
「悪い報告からでお願いします」
和貴を逃がしてくれた幹部はそう呟くとその言葉を聞いた倉沢は悪い報告を話し始めた。
「悪い報告、それは援軍が来るまで半日かかるということです。つまり、これから始まる海魔族の王の進軍に半日耐えなければならないのです」
その報告を聞き、軍人の表情は一気に絶望した表情へと変わっていった。百人にも満たない戦力で海魔族の進軍に耐える。それがどれほどの難題かを理解せずにはいられなかったからだ。
「で、いい報告はその援軍は天災の英雄である雷神卿が来るという点です!」
その一言を聞き、先ほど落胆した軍人たちは一気に気力を取り戻す。和貴達もその人物の名前を聞き、心の奥から希望を思い出させた。その中でも最も影響が大きかったのは復帰した理雄であった。
「あの人か!半年前、クルベルトを一撃で倒した天災の英雄!」
「学生たちは彼を知っているのですか?まあ、その話は後にして、現在雷神卿は和貴君が遭遇したという黒い龍神族を追っていましたが、それを言い分として援軍に来るそうです。ただ、この基地から遠い場所にいらっしゃるので、到着するのが半日ということです」
さて、と倉沢は呼吸を整え、新たな議題に突入する。
「私達がこれから考えることはただ一つ。あの海魔族の王をどうやって半日凌ぐか!です。私も考えますがあなたたちも何か考えはありますか?」
仕切り直しになった作戦会議に再び沈黙の空気が包むが、その中で一人手を挙げた人物がいた。
「凍原?何かいい作戦はあるのか?」
「作戦というわけじゃないが、俺なら海魔族の王を倒せはしないが、足止め程度はできるかもしれない」
その一言で一瞬だけ空気が白けたが、直後幹部の軍人達が笑い始めた。ゲラゲラと笑う空気の中、一人だけ凍原に迫った幹部が言い放った。
「おい学生さんよ。相手は三十メートルの化け物だぜ?大砲とか火力が高い武器なら少しは足止めできると思うけどな、天災の英雄でもない学生一人で足止めできるとでも思っているのか?」
幹部達の意見は最もだった。並の能力なら海魔族の王にとって障害にもならないだろう。それどころか巨大な質量によって踏み潰されることはように想像できる。
この会議室にいるほとんどの人間が不可能と決めつけている中、ただ一人倉沢だけは真剣に凍原の目を見つめていた。
「…凍原君。君は本気で言ってるのですか?」
「本気です」
「…いいでしょう。凍原君の足止めも作戦に加えましょう。ただし私達にも軍人としての責務がある。君に頼るのは最後の手段です。それでいいですね?」
凍原は黙って頷くと再び作戦の話し合いが始まった。しかし、無情にも時間だけが過ぎ去り海魔族の王が迫り始め、作戦会議は解散となったが、会議室に残っている草部はここにいるEXクラスのメンバーを招集し、煙草を吸いながら確認をとった。
「これが恐らく最後の戦いだ。一応聞いておくが、戦う意思があるものは挙手しろ」
草部の質問に和貴達は迷わず手を挙げた。その様子を見て草部は頭を掻きながら大きく溜息を吐いた。
「正気か?凍原は作戦に参加することは確定しているが、他のみんなはそうじゃない。この戦いはさっきの前哨戦と違って死者が多数でる。それでもお前らは参加するつもりか?」
「当たり前だ!親友が戦場にいるっていうのに何もしないでいるのは御免だからな!」
草部の質問に即答したのは龍神族との闘いで死に、そして蘇った理雄だった。どこまでも友人を大切にする真っすぐとした返答に草部は「そうか」とあっさり返事をして他のメンバーの顔を見る。
「理雄はああ言ってるが。お前らはどうなんだ?」
「無論、ここから逃げることが最善じゃろう。正直、儂自身も手一杯だし早く逃げたい。しかし、それは敵前逃亡。勝利の一手とする撤退ならまだしも、負けを認め無様に逃げるのは癪に障る。故に儂はこのプライドを守るために戦う」
「私は戦うのが好きだからここにいるし、軍人を目指している。戦うなら勝てないぐらいが丁度いいわ。むしろ、逃げるなんて勿体ない。だから私は戦います」
「俺はさっさと逃げたいけどさ…。みんな戦うって眼してるじゃん?なら偵察は誰がするの?って話になるじゃん。流石に偵察の情報がなくて親友が死にましたってなったら明日の飯がまずくて敵わねえ。だから俺は俺なりの戦い方でみんなを助けるさ」
「ボクは先輩達みたいに立派な考えはないです。あるのは一つ。傷つかないでほしい。だからボクは直接戦うことはできないけど、みんなに勝ってほしい。そう願ってボクは後衛でできることに専念します」
「俺援護はできる。だか「だから僕達もできることを最後まで務める!!そう言いたいんだよね炎星!ついでに僕も同じ意見だよ!!!」…最後まで言わせてくれ」
誇り、闘争心、良心、祈祷、責任。それぞれの思いを草部に伝え、草部は興味なさそうに聞き流した。最後に草部の視線を向けた二人、和貴と凍原を見つめ二人の回答を待つ。二人は口を閉ざしていたが、最初に口を開いたのは凍原だった。
「俺はみんなみたいに立派な精神は持っていない。俺にとってこの戦いは俺の復讐の一歩だ。だからこそ俺はこの戦いに必ず勝つ」
恩讐を漂わせる凍原の発言は周囲を凍り付かせた。海魔族に対する怒りは知っていたつもりだが、ここまで静かに憤怒している凍原を見るのは初めてだったからだ。
最後に和貴はゆっくりと自身の考えと思いを口にし始めた。
「半年前、俺なら逃げていたかもしれない。作戦を考え、皆に指示をする。それだけで俺は満足していた。今の状況も命を賭して戦うよりも次の戦いに勝つための布石を打ったほうが効率がいいって判断しただろうな」
半年前の傷ついた仲間や撃ち殺された生徒の顔を思い出し、和貴は一度瞼を閉じ、そして見開く。
「…けど、今は違う。俺は前に出て知らなければならない。戦う友の姿を。圧倒的な敵の強さを。そして、皆を守る強さを。一度戦うことを捨てた俺は死ぬ気で前線に出て学ばなければならない。だから俺は前に行く。それに…」
この真剣な空気にそぐわない和やかな表情で和貴は皆に言った。
「これは修学旅行だ。学ぶためにここに来ているんだ。なら俺はみんなを守る術を学ぶさ」
その一言で殺伐とした空気が一瞬にして和やかになった。今や戦場となってしまったが、本来ならば修学旅行で楽しむべきである。その空気を見て草部は少し興味を持ったのか和貴に話しかけた。
「和貴。…お前現状を知ってその言葉を言うのか?」
「確かに言うべきじゃなかったかもしれないです。霧和は視力を失い、有樹は病室で寝込んでいる。普通なら言うべきじゃないでしょう。だけど、こんな殺伐とした空気はみんなの士気に良くも悪くも影響が出る。なら、一番みんなの士気が高まる当たり前のことを言えばいい」
和貴は皆に視線を向ける。すると先ほどまで死ぬかもしれないという覚悟から一変し、生き残るという覚悟に切り替わっていた。その様子を見て草部は少しだけ関心していた。
「なるほど。じゃあ、解散。各自生き残れよ」
あっさりとした解散に和貴達は学校の草部の態度を思い出した。その空気を感じ草部は密かに嬉しそうな表情を表していた。その姿を見送った和貴達は各自準備を行おうとするために部屋に戻った。
自室についた和貴は部屋に置いてある黒い槍を取り出す為に部屋に戻った直後、背後から声をかけられた。
「あの…和貴先輩。少し時間はありますか?」
その人物は叶であった。一体何の用だろうかと考えた直後、叶は和貴を引っ張り和貴の部屋の中に入り、布団の上で押し倒す。突然の行動に和貴は一瞬何を考えているのか!?と焦り始めるが、すぐにその意図を理解した。
「全く。叶も初心な奴だな。声をかけたなら堂々を襲えばいいものを…」
「お前は何を言っているんだ?…それで要件はなんだアテナ。それからいい加減、俺を押し倒すのはやめてくれ」
赤色の瞳から金色の瞳に変わっている叶、もといアテナを見て和貴は呆れながらも現状の体制に関して意見する。するとアテナは不満そうな表情で和貴に話し始めた。
「なんだ?男性はこういうことが好物だと聞いていたんだが…。何?違う?まったく、叶の生きている時代と私の時代とは違うんだな」
「さっさと降りてくれ!戦いの準備もしないといけないんだ!叶のことを思っているなら、お前も叶に協力したほうがいいんじゃないか?」
「それもそうだな。しかし、別にからかうために私はここに来たわけじゃないぞ?」
ようやくアテナは拘束した和貴を解放し、布団に座り込んだ。和貴は呆れながらもアテナを見つめる。するとアテナは和貴の呆れ顔を見て、面白そうな表情で話し始める。
「なんだ?和貴はもう少し押されたほうが良かったのか?私は構わないが、叶えが…」
「そんなことじゃねえよ。さっさと本題を話せ」
「そうだな。じゃあ単刀直入に言うぞ。明日、貴様ら死ぬぞ?」




