戦果の喝采
綾華との面談から二週間過ぎ、ようやく自宅謹慎が解除された和貴は学校へと向かっていた。久方ぶりの登校の為、遅刻しないように和貴は普段より少し早めに家から出発していた。
「ようやく謹慎から解放か。学業とか絶対に他校より遅れてるだろ…」
「そうならないように私達は自宅で勉強しておくべきだと思うんだけど?」
突然、声を掛けられた和貴は少し驚き後ろを振り返る。振り返ると通学路が同じ詩奈と幸成がそこにいた。和貴は二人に挨拶をすると、詩奈が不思議そうな顔で和貴のことを見つめた。
「どうした?俺の顔に何かついているのか」
「最近いい事あった?口元が少しだけだけど、笑ってたからさ」
そう言われて、和貴は自身の口元をなで確認する。詩奈の言う通り、理由はわからないが口角が上がっていた。恐らく、二週間前に綾華に会っていたことが一番の要因だと和貴は考えた。起きた出来ごとをそのまま伝えることはできないため、少しはぐらかして和貴は詩奈の質問に答える。
「さあな。記憶にない。でも、学校がようやく始まるって話だからつい気持ちがたるんでいたかもしれないな」
「その気持ちはわかるわ。でも、殺された先生とか、壊された備品はどうするのかしら?」
和貴も疑問に思っていると詩奈の後ろについて来ている幸成がその疑問を答えた。
「その点に関しては心配いらねぇよ。厳宗様が言ってたが、備品は全て新品買い換えて、崩壊した校舎も修復済みだ。加えて、新しい防犯機能も導入されたって話だから今まで以上に警備は厳しくなってるそうだぜ」
「そうなの?じゃあ、この二週間って学校を改築する期間だったてこと?なら、青空教室でも私は構わなかったのに」
詩奈の一言に幸成も何故青空教室をやらなかったのかと考え込む。すると今度は和貴がその疑問い答えた。
「詩奈と幸成は現場にいなかったから知らないと思うけど、あの時の事件は本当にひどかった。三年Cクラスのほとんどが殺され、新入生の一人が重傷を負った。おまけに新入生の目の前で先生が殺されるなんていうショッキングな物を見せつけられたんだ。心の傷を癒すためにも時間は必要だったんじゃないかって俺は思うよ」
事件に関わった者の言葉の重みに詩奈と幸成は口を閉ざす。すると、詩奈は考え込んでから和貴に話しかけた。
「ごめんなさい。何も知らないで授業やれって言って」
「俺に謝っても仕方ないだろ。だが、本当に心の底から謝るなら、この話は決して学校でするなよ」
空気が重くなったところで丁度バス停に到着した三人は沈黙のままバスを待っていた。黙っている時間が長くなり、何とかして話題を逸らそうと和貴は辺りを見渡すと、本来そこにいない筈の人物がいたことに和貴だけでなく、詩奈と幸成も驚く。
「何であんたがここにいるのよ?理雄」
「何でって、今朝退院したから?」
本来そこにいる筈ない人物、竹蔵理雄は何もなかったかのように明るい気分で和貴達と遭遇した。和貴は重症だったのではと思い、理雄に大丈夫かと心配する。
「怪我のことか?食って寝たら五日で治った。にしても、病食っておいしくないって話は本当だったな!!」
「…お前、本当に人間か?あの怪我だと早くても一か月は安静にしないと治らないぞ普通」
だが、当の本人は何もなかったかのように大笑いしていた。和貴はやれやれとしながらも、友人が完治したことに心の中で安堵していた。
それからは普段通りだった。バスが来るまで他愛のない会話をし、バスが来たらそのバスに乗り、最寄りのバス停まで話し続ける。事件が起こる前の日常そのものだった。学校に到着するまでは。
「…なぁ、幸成。これが最新の防犯システムなのか?」
「知らねーよ。俺だって目にするのは初めてさ。お前だって、こんな防犯システムだって想像できていなかったんじゃないのか?」
和貴が学校に到着して最初に見たのはクルベルトによって抉り壊されていた学校の壁だった。壁は事件が無かったかのように修復されていた。窓ガラスは全て新品の物に入れ替えたらしく、曇り一つ無い綺麗な窓ガラスへと変わっていた。
だが、それらを見たのは一瞬だった。何故なら、和貴達の視線を注目させる物体が校庭におかれていたからである。
その物体は銀色の甲冑で固められており、右手には巨大な槍が、左手には巨大な盾が装備されていた。全長は三メートルほどあり、首を横にむけるたびに機械音が鳴り響き、時折水蒸気みたいなものが噴出する。その姿を見てこの場にいる皆が確信する。
「和貴、こいつは俗にいうロボットだよな!だよな!!」
「ロボットだな。しかも、物騒そうな武器付きでな」
理雄だけは子供の様にはしゃいでいるが、和貴達三人は興味が無く校内へと向かい、下駄箱まで辿り着く。靴を履き替えた和貴は廊下の状態を確認した。廊下は焼け焦げた跡や銃痕はどこにもなく、新建のように綺麗に磨かれていた。能力は鍛錬によって上達すると言われているが、無能力者の和貴にとってはこれがどれくらい大変で地道な努力なのか理解できなかった。
「戦いの痕跡がまるでないな。どんな能力を使えばここまで丁寧に修復できるんだ?」
じっくりと見ている時間はまだあったが、他の場所もどうなっているのか確認したいため和貴はその場を離れ、自身の教室へ向かおうとした。その時、校庭に置いて行った理雄が和貴と合流する。
「和貴!俺を置いて行かないでくれよ!!」
「ああ、すまない。あそこまで没頭してたから邪魔するわけにはいかないと思って話しかけなかったんだ。悪かった」
「そうだったのか!!…ん?なんかうまくまるめ込まれてるような気がするぞ?まぁ、いいや。にしても、綺麗直っているな!!」
「そうだな。今日の授業が終わったら一緒に見回るとしよう」
理雄と合流した和貴達は自身の教室に向かうべく歩を進める。階段を上がり、自身の教室へ向かう際に色んな人とすれ違う。巨漢の理雄を見る者は珍しくない。だが、ごく普通そうに見える和貴にも視線が集まっているというのはおかしく思えた。
(どういうことだ?理雄の巨体が珍しく思って見てくる人は良くいるが、俺も注目されている。一体何故…?)
考えても情報が足りないと判断した和貴はとりあえず教室に行くことが第一優先だと一考し、理雄を連れて階段を登る。五階に上がり、二週間ぶりに見るEXクラスの教室だけは何も被害が出なかったため、あの時とは変わらない状態のままで残っていた。
和貴達は教室に入ると、いつものメンバーがいることに安堵する。そして、和貴に突っかかりつつも懐かしく思う言い合いが始まった。
「やあ和貴。久しぶりの学校で寝坊でもしちまったか?」
「おはよう有樹。寝坊はしてねぇよ。ただ、修復された廊下とかを眺めていただけさ」
そう言いつつも、和貴は教室中を見渡す。重傷を負った本郷と元帥以外は全員揃っており、久しぶりに学校に登校できたと確信をもつ。
和貴は自分の席に荷物を置くと、突然雪花が和貴に声をかけ、和貴の机の上に座った。
「おはよー!元気に過ごしてた?」
「雪花のテンションは相変わらずだな。それで、ただ話しかけに来たわけじゃないだろ。今度は何の厄介ネタを持ってきたんだ?」
「厄介ネタかどうかは和貴君に判断を任せるよ。今朝、今朝うちの新聞部が配っていた学生新聞何だけどね。ここの記事を見てよ!」
雪花が指したところを和貴は目を通すと、椅子にもたれ目を覆い隠した。大きな溜息を吐いた後、もう一度その記事を読み始めた。
「…『我が学校を救った英雄達!!そのリーダーである霊峰和貴に大きな感謝を!!』だと?一体誰がこんな情報を流したんだ?しかも、顔写真付きとは…通りで注目されるわけだ」
「でも、おかげで私達の注目もなくなったわけだ。作戦を立案して、私達を勝利に導いた和貴君は私達以上に有名人になってもおかしくはないと思うけど?」
「笑いを堪えて涙目になっている時点で、その気持ちが一切伝わらないな。…ったく、余計なお世話だ」
すると、教室に入ってきた人物が現れた。年齢は二十代後半と思われるが、うっすらと目元に隈が残っており、身体は異常なまでにやせ細っていた。身長は百七十六センチの和貴と同じぐらいだが、猫背の為か見た目よりも少し小さく見えた。
その人物は教卓に移動すると、手を叩いて注目を集める。
「はい、今日から担任になる草部椿だ。知っている奴はいるかもしれないが、前任の担任は二週間前に殺された。だから、代わりに俺が来た。何か質問はあるか?」
すると、ルケミックが子供の様にはしゃぎながら元気よく手を挙げた。草部はアルケミックを指すと勢いよく席を立ち、質問を始めた。
「センセーはあの新聞の記事を読んでどう思いましたか!!編集は主に僕ですけど!!」
「あとで職員室だな。次」
和貴は心の中でお前が主犯か!と突っ込むと同時にしかるべき処置をしてくれた先生に感謝する。手を挙げる人物がいないことを確認すると、草部は教卓に立ったまま話を続けた。
「最初に言っておくが、俺はお前らを決して生徒として扱わない。何故なら、お前らは歴代EXクラスの中でも強者の部類に入るからだ」
その感想は素直に嬉しかった和貴達だったが、草部は「だが」と話を続ける。
「それ故に、お前らは死にやすい。俺は今回の事件を聞いて、このEXクラスを潰すつもりだった」
「おい、それはいくら何でも横暴すぎるぞ。俺達は少なくとも、あいつらに勝った。ただの学生が戦闘族相手に善勝したんだぞ!?俺達はそれぐらいの力がある」
頭に血が上ったのか、有樹は草部の言葉に反論する。しかし、草部は溜息を吐いた後、やや怒り気味の声を上げながら声を荒げた。
「じゃあ聞くが、お前は学校全てを守ることが出来たのか?戦闘族は倒せたのか?それとも、味方を負傷せずに守ることが出来たのか?…俺から見ればどれも出来てない。学校を守るどころかCクラスには死者、お前らだって、二人未だに病院にいる。戦闘族に至ってもそうだ。お前らは勝ってない。ただ偶然と幸運に救われただけだ。もう一度同じ規模の出来事があったら、間違いなく全滅だ」
草部の話を聞いて和貴達は顔を俯いていた。草部の言う通り、今回は偶然と幸運に助けられたのだ。もし、クルベルトが慢心していなければ、和貴達は既にこの世にいないかもしれない。
暗い空気が包み込みそうになった時、草部は口を開いた。
「だが逆に言えば、それぐらいの地力はあるってことだ。今回の件でお前らは少なからず目標ができただろ。なら、しばらくはその目標に向かって走るといい。さて、重い話はここまでにして、始業式に行くぞ。急いで準備しろ。それから、和貴。お前は今回の事件の功労者代表として前に出るから忘れんなよ」
最後は草部なりのフォローだったのか、明るい話をしてくれたが、それ以上に現実を突きつけられた和貴達は暗い気分のままだった。だが、それ以上に和貴達の心の中では今回の事件で足りなかったところを見つけることが出来ていた。
(確かに、俺たちがやってしまったミスは取り返しがつかないミスだったかもしれない。だけど、それをいつまでも抱え込むわけにはいかない。…二度と同じ過ちを繰り返さない様に、次に進まなければならない!)
和貴以外のクラスメイトも同じ考えに至ったのか、目つきが先ほどと変わっていた。和貴達は席を立ち、始業式が始まる体育館へと向かった。
体育館に到着すると、既に他のクラスも集まっていたようで、一番最後に遅れてきたようだった。皆が座っている中、十人が遅れ、そして今回の事件の解決へと導いた和貴達は人一倍注目されていた。
EXクラスが到着し、整列を終えると、司会が指示を出し、プログラムを順調に進めた。校長先生の話が終わった時、ようやくその時が訪れた。
『では、次のプログラムですが、今回、学校を蒼鳥から守り、戦闘族を退けた我が校の英雄達ともいえるEXクラスからスピーチが有ります。代表者、霊峰和貴。前へ」
和貴は返事をすると、壇上へと上がっていった。体育館中はざわめき、和貴がどんなことを言うのか楽しみに待っている者がいれば、子供のような眼差しで見つめる者もいた。壇上に設置されているマイクを手に取る前に一礼をし、声が通り位置まで近づいた。
今朝のホームルームで草部に言われ、和貴はスピーチの内容など考えていなかった。正確には考える必要すらなかった。何故なら、既に話すことは決まっていたからだ。
『皆さん、おはようございます。今朝の学生新聞でも有名になっていますが、私は学校を救った英雄などと言われていいますが、私は英雄なんかじゃありません。ただの愚者です。自分達の力を過信して解決しようと行動を起こした愚か者どもです。その結果、俺達は多くの失敗をしてしまいました。だけど、それで確信しました。俺達はまだ未熟。それ故にまだ伸びしろがある。まだ可能性がある。だからこそ、俺達はこの学校で足りないものを手に入れる為に、俺達は努力し、同じ間違いをしないようにします」
和貴は一礼すると、体育館から拍手が鳴り響いた。多くの者は英雄がこんな弱気なのかと落胆するかもしれない。だがこれでいいと和貴は思っていた。今回の事件で和貴は自身の身の程を知った。だからこそ、繰り返さないように今は知識を高め、実力をつけると決心した。
始業式が終わり、教室に戻った和貴達は授業が始まる前に草部から重大な連絡があるということで席に座っていた。しばらくして、草部が教室に入ると頭をかきながら話し始めた。
「単刀直入で言うが、新しい仲間がこの教室に入った。しかも一年生だ。というわけで入ってこい」
草部に言われ、入ってきた人物にクラスメイトの皆が驚く。セミロングの白髪に赤い眼。美人というよりも、年相応の可愛らしい容姿。全体のバランスも悪くなく、スタイルもいい。初見で彼女を見た者は誰であっても魅了されるだろう。
「初めまして!ボクは柳瀬叶。今年入学した一年生です。まだわからないことが沢山あるので一杯教えて下さい!よろしくお願いします」
よく知り合った人物を見て和貴は視線を逸らして、溜息を吐く。
(全く。面倒な奴が入ってきたな)
しかし、心の声とは対照的に和貴の口元は笑っており、心のそこから歓迎していた。
「っつたく、面倒なことしやがってよぉ」
和貴が学校で受賞式兼始業式を行っている中、山田盆仁は一人屋上で今日のイベントをさぼっていた。たった一人の空間だったが、一匹狼を好む彼にとってそれはストレスを感じない至福の空間であった。
しかし、そんな彼が現在嘆きながら行っていること、政府への報告書の記載に盆仁は手こずっていた。
「全く、自分の尻ぐらい自分で拭けつうの。全くこんなことしてるから王様に嫌われるんだよ」
そのレポートには『今事件において抹殺された政治家』のリストとその政治家の血縁者のリストが書かれていた。盆仁はそのリストに一つ一つ丁寧にバツ印を記載する。
「こいつは殺したな。あと、こいつもだな…。それからこいつもだ。…やってられないな。政府の情報が漏れない為とはいえ、関係者を根切れって、えぐいことを命令するもんだな本当に」
盆仁は愚痴を言いつつも、リストにバツ印を記載する。全てのレポートにバツ印を記載した後、盆仁は指笛を青い空に向けて鳴らした。すると、大きな鷲が空から現れ、盆仁はそのリストを鷲に託す。
「行け。そしてさっさとあのくそどもを安心させて来い」
盆仁は鷲が飛び去ったところを見届けると携帯電話でどこかに繋げる。すると、盆仁にとって聞きなれた声が携帯電話から聞こえてきた。
「おい、やったぜ。さっさと報酬をよこしやがれ」
『待て、レポートがまだ来ていない。届き次第、報酬を支払わせてもらう』
「それでいいぜ。じゃあな。また仕事があったら連絡くれよ」
『ああ頼むよ。裏世界の殺し屋さん。いや、エージェントゼロといったほうがいいか?』
盆仁は携帯電話を切るとその場に叩き落し携帯電話を破壊した。盆仁は最後に誰も姿を見られていないことを確認すると何事もなかったかのように学内へと戻っていった。
某大陸。薄暗い部屋の中、ろうそくを机の中心に置き、四つの席があった。その内、三つの席は誰かが座っており、残り一つは空席となっていた。座っている者の姿は薄暗い部屋だった為、よく姿は見えない。あるのはうっすらと映る影だけだ。そのうちの一つの影が声を荒げて机を強く叩きつけた。
「クルベルトの奴め。せっかくの名誉挽回の為に派遣したのに何も達成せずに死ぬなんて、全くなんて使えない奴だろう」
そう言ったのは影の中でもさらに特大な影であり、六つの腕がろうそくの光によって照らされていた。その人物に便乗する形で、獣耳が生えた影が煙草をふかしながら今回の騒動の愚痴をこぼしていた。
「全くその通りにゃ。我々がせっかく手引きしてやったというのに、簡単に倒されやがって…おかげで侵入ルートを一つうしなったではにゃいか。この責任、どうとってくれるかにゃ?」
苛立ちが最高潮に達しそうになった時、もう一つの影が小さな影に話し始めた。
「それは少し違うぞ真似猫の王よ。クルベルトが使えなかったのではない。学生相手にやられるということはそれほど強敵であったということだ。そんなこともわからないなんて浅ましいにもほどがある」
そう言った者は額に角を生やした人間であった。その者は龍神族の中でもトップに立つ男である。龍神族の特徴は基本的には人間と同じだ。違う点を挙げるとするならば額に大きな白い角を持っていることと巨大な翼を隠し持っていることだろう。
だが、この龍神族は基準が違っていた。他の龍神族の角と違ってこの男だけは角が黒く禍々しい。翼も数多く戦いでボロボロなはずなのに未だに飛ぶことが出来るほどの丈夫さを持っている。この男こそ龍神族の長であり、最強の龍神族である。
猫の獣人は舌打ちをして、会議を続けた。
「とはいえ、クルベルトが失った穴はかなり大きい。代用出来る者は誰かいるか?」
誰も手を挙げない。当然と言えば当然である。戦闘族に対する印象は丈夫な肉壁と同じである。だが、誰もクルベルトの代わりをしようとする者はいなかった。
「クルベルトの奴は馬鹿だが、戦闘においては優秀な奴だった。今回の罰さえなければあの忌々しい英雄に匹敵するぐらいにはな。そんな人材に対して代用がいると思っているのか?」
すると、突然薄暗い部屋の奥から足音が聞こえた。その影は残りの空席に堂々と座り込み、足を乗っける。その態度にいかりを覚えた猫型の影は声を怒鳴りあげる。
「貴様!詫び一つないでこの会議に参加するつもりかにぁ!無礼にもほどがあるにぁ!」
「はい三下のセリフ頂きましたwwwwww。ゴミ程度が俺に指図すんなよwwwww」
ガタっと席が転げ落ち、猫型の影は遅れてきた人物の襟元を掴み、己の爪で引き裂こうとする。しかし、その前に周辺の影が猫型の首を切ろうとしていた。
「手を放せってんだよ三下wwww。お前ごときが俺に勝てると思ってんのかよwww。それとも、刺し違えてもなんて考えているのかwwwww」
触発しそうな空気に龍神族が仲裁の為に話しに割り込んだ。
「怒りを鎮めろ、真似猫の長よ。この場は会議をする場所で会って争う場所ではない。それと、貴様もだ。わざわざ遅刻したからにはそれ相応の理由がある筈だな」
「お!!竜ちゃんわかってるぅ~wwww。俺がただで遅れるわけないでしょwwwつーわけでいい加減離してくんねぇーかーなーぁーwwww」
猫型の影は乱暴に掴んだ手を離すと、座っていた席に戻る。座ったことを確認すると、遅れてきた人物は報告を始めた。
「まず、知ってると思うけど、人間の手を借りて政府を落とす作戦は失敗した。そして、本題だけど、目的の者は日本で見つかったよwww」
その報告に六本の腕の影が反応し、質問する。
「本当か?その確証は?」
「まだwwwそこまで調べようとしたら、時間がかかっちゃうwwwだけど、伝承の一部に伝えられている金色の瞳はあったからそうかなって思ったwwww」
三つの影は黙りこみ、龍神族の影は「そうか」と言い続けた。
「なら、我々がすることはただ一つだな。その者の奪取。だが、その為には力が足りない。であれば、今は力を溜めるべきだな。問題はあるか?」
異論はなく、二つの影は頷いた。すると、一瞬にしてこの場から誰もいなくなった。まるで元々存在しなかったかのように。だが、解散した彼らはこれから起こる決戦の為に次の準備に移るのであった。
とりあえず第一章終了かな?・・・本当に長かった。ここまでが本当に長かった。さて次の舞台はどうなるのやら・・・・。
「じゃあ、明日修学旅行だから準備しろ。荷物は・・・まぁ、君らで考えて。」
「何でお前はずっと俺のそばにいるんだ。」
「・・・おい、雑草。貴様、いつからこの基地にいた」
「こちら新潟支部!!救援を求め・・・う、うわあぁぁぁ!!」
「我が太刀は常に一人。さりとて孤独に非ず。死神よ刮目せよ。『死の太刀・無名』」
次回 修学旅行編




