表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/80

第二十一章 まるで、それは世界最期の日のようで…… 2

「おいっ、どうする? ケルベロス」

 インソムニアは飄々とした仕草で、状況を把握しようとしている男に訊ねる。


「いや、石へと変えるガスは天井から降り注いできているんだろう?」

 ケルベロスはあくまで冷静だった。


「能力者がもう一人いるみたいだが、俺達はルブルとメアリーを倒しに来た。なら、そいつは無視すればいい。違うか?」

 ケルベロスの判断は早かった。

 地面を刃で切り刻み続けていた。


「逃げる」

 彼は地中へと、モグラのように潜り込もうとしていた。

 インソムニアの方は、まるで挑発に乗るかのように、天井へ向かってキルリアン・ストリームを放ち続けていた。


 更に。

 鉄格子を大剣で切り裂いて、アイーシャが再び、大広間の中へと入ってくる。


「おい、お前ら逃げるぞっ!」

「あら? アイーシャ」

 メアリーが高笑いを浮かべていた。


「逃げる? 逃げるですって? また、この私から?」

 アイーシャはメアリーの方を睨み付けると。

 バイアスに指示を出して、杭を撃ち込ませる。

 メアリーは、幻影の盾で、それらを悉く防いでいく。


「おい、バイアス……。お前、一方向にしか攻撃出来ないのか? 攻撃の軌道を曲げられないのか?」

「……で、出来ませんよ、そんな事」

 無口な少年が、困ったような顔をする。


「なら、仕方が無い」

 アイーシャは、まだ石へと変えられていない機械兵の一つを分解する。そして。

 ブーメランを作った。


「行くぜ、メアリーッ!」

 彼女は、ブーメランを投げて、メアリーを攻撃する。

 メアリーは、新たに盾を生み出して、投げられたブーメランを防ぐ。だが。

 アイーシャはすでに、三つ程、新たにブーメランを作り出して、投擲していた。

 メアリーへと、明らかに防御し辛い位置から鉄の刃が降り注いでいく。


「『ソウル・ドリンカー』」

 何かが、三つのブーメランを叩き落したみたいだった。


 そして。

 天井の大部分が崩れ落ちて、何者かが降り注いでくる。

 それは、胸や腰から下を石の衣服で纏った少年だった。

 髪の毛は灰色をしていて、足元まで伸びていた。そして、髪の毛の大部分も、石と化していた。


「お前は何だ?」

 インソムニアが、天井から降ってきた、そいつに向かって訊ねる。


「僕はクルーエル。魔女ルブルの弟…………」

 別の場所から、口が現れて、喋り出していた。


「姉さんは僕をバラバラにして、物言わぬ人形の中へと閉じ込めていた。僕がお痛ばかりするから。僕は僕を抑えられないから…………」

 やばい……。

 インソムニアは、スキゾ・フレニアを召喚して自らの身を守る。

 三つ首のドラゴン・ゾンビは、石の彫像へと変えられて地面へと転がっていく。

 そして、粉々に砕け散っていった。


「クルーエル、石へと変えるのもいいけれども、四名とも、私が始末する」

 メアリーは楽しそうな顔をしていた。

 彼女の背中から現れたものは、今やはっきりと、アイーシャやケルベロスの眼にも映っていた。

 そいつは、獅子や虎、狼や熊、それらの肉食獣を混ぜたような顔をしていた。

 そして、背中から鳥のような翼が生えている。

 そして、右手には巨大な剣を手にしていた。


「行け、ソウル・ドリンカーッ! 私の悪意の結晶体っ! 全ての敵を薙ぎ払えっ!」

 メアリーは叫ぶ。

 すると。

 数メートル程の体躯をした、肉食獣の頭をした人型の怪物が、長い長い剣を振り回し始める。

 すると、部屋全体が薙ぎ払われ、切り裂かれていく。

 ケルベロスもアイーシャも、すぐに動いていた。


 ……部屋から脱出しないと、拙い。



 数分後。

 アイーシャは、城の外にある黄土色の湖の辺りにいた。

 逃げるしか無かった。

 あれは、もう自分じゃ倒せる相手じゃない。

 しかし、逆に考えるならば、メアリーはかなり追い詰められている。あの化け物と石化ガスを散布するクルーエルをどうにか出来れば、かなり此方側が有利に出来る筈だ。


 ……いや、逃げ回ってばかりでは駄目だ。一度、態勢を整えられるのも、あちらも同じだ。今、倒さなければならない。

 すぐに、アイーシャは引き返す。

 ケルベロスとインソムニアは無事だろうか。

 間違えて、バイアスも置いてきてしまった。


 これでは、自分が見苦しい、立ち向かわなければならない。何としてでも、メアリーを倒さなければ……。


 ……んっ?

 アイーシャは、しばし呆然としていた。

 城全体が、まるでルービック・キューブを組み替えるように、捻じ曲がっていく。



 メビウス・リングは、地底城へと訪れた。フルカネリの言葉に従って。


 ウロボロスが、かなり力を取り戻してきている。

 コッペリアに肉体を作って貰う手間など、必要無いくらいに力が溢れ出してきている。


 ……さて、どうしたものかな。

 彼女は、桟橋の辺りに来ていた。

 そこには、一体のゾンビが空を浮遊していた。

 そいつは、空を飛ぶ海亀の背中に乗った槍騎兵だった。


「我が名はカルナッソ。ルブル様のゾンビ四天王が一人、空を滑る者なり。他の四天王は不甲斐無く倒されてしまったが、我はそうはいかぬぞ」

 メビウスは地底城の状況を確かめようとしていた。


 ……おそらくは、此方側、あちら側の陣営共、それなりの被害が出ているだろうな。フルカネリは中心部にいるだろうな。そして、そこにルブルもいるだろうな。ならば、私はそこまで赴くとするか。


 カルナッソが、何か色々、喋っていたが。

 メビウスは完全に無視して、ウロボロスによる歪曲によって宙を飛び、地底城まで向かっていく。

 カルナッソが、槍を投げ付けてきたが、彼女の下に届かず、それらは空中で捻じ曲がり、何処へと消え去っていく。


 メビウスは地底城まで来ると。

 フルカネリとルブルを燻り出す為に、城全体をウロボロスの空間の歪曲で捻じ曲げ続けた。



 アイーシャは、バイアスとケルベロスの身を案じていた。

「どうする……? 何者かが城を壊そうとしている…………」

 空を見る。

 すると、真っ黒なドレスの金色の髪をした女が、浮かんでいた。

 おそらくは、この空間の歪曲の元凶だ。


 ……あれは確か……、ドーンの……。メビウス・リング……?

 アイーシャは頭が痛くなってくる。


 ……あいつ、これ程、強かったのか?

 城全体が、崩れていく。

 アイーシャは迷わなかった。

 ケルベロスとバイアスを探しに、城の中へと向かった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ