表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/80

第十八章 地の底にある、さかさまの城 1

「バイアス……、私は生きたい」


 アイーシャは、屹然とした顔でメアリーの両眼を見据えていた。

 メアリーはただただ、蔑むような瞳をしていた。

 アイーシャは、大剣の柄を強く握り締めていた。

 バイアスは放心したような顔で、メイド服姿のメアリーを見ていた。そして、彼はすぐに、目の前にいる者が、自らの主人が散々、憎悪し、因縁のある敵だと認識した者なのだと理解する。

 魔女の召使は笑う。


「ふふっ、アイーシャ、よく戻ってきたわね。また私の性玩具にでもされたいの?」

「黙れ」

 アイーシャは有無を言わさなかった。

 袈裟斬りに、メアリーを両断していた。

 隣では、セルジュが驚愕した顔をしていた。

 ごとり、と、メアリーの上半身が床に落ち、ぴくりぴくりと下半身が両膝を付いて、倒れる。アイーシャは無言だった。そして。

 両腕両脚を分解し、再構築して、八つ程の刃物の腕を作り出して、辺り一帯に無作為に刃物を振り回していく。


「何処に本物が隠れている? 私の人生を破壊した女は。絶対に絶対に殺してやる。そこから、私の新しい人生はスタートするんだっ!」

 セルジュは蒼褪めた顔をしながら、必死で階段を転がり落ちていった。

 彼は負傷している。肩を撃ち抜かれ、全身を火傷している。

 バイアスが、彼を始末する役目を担おうと思った。

 彼はアイーシャの手足になろうと誓っていた。彼女の敵は自分の敵だった。

 クリムゾン・サクリファイスの攻撃が、セルジュの下へと向かっていく。セルジュはそれを全身で受け止めた…………かのように見えた。

 バイアスは眼を擦る。


 そこには、血溜まりだけが存在し、彼は何処へと消えていた。

 セルジュは死ななければならない。バイアスが倒そうと思った。

 バイアスはセルジュを追う。

 アイーシャは、ひたすら、辺りに刃物を振り回していた。

 やがて、彼女が両断したメアリーの死骸は、空中分解していく。


「『クラウディ・ヘヴン』か? バイアス、お前なら、メアリーの憎悪に依存していない。精神に幻影を植え付けられていない。何処に隠れているのか、透明化しているのか分からないけど。バイアス、お前がメアリーを倒すんだっ!」

 アイーシャは叫ぶ。


 ……クソッ。私は奴隷じゃない。自慰行為の道具でもない。私は生きたい。憎悪を終わらせたい。私の人生を切り開きたい。

 彼女は心の中で、叫んでいた。

「寸刻みにしてやる。臓物を地面に撒いてやる。お前が二度と蘇らないように、塵も残さないっ! ああ、畜生っ!」

 アイーシャは、怒りで恐怖を克服しようとしていた。

 汚らしい自分を浄化したい。そんな思いでいっぱいだった。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ