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魔法が使えないのでギルド職員をクビになりそうです〜わたしの師匠は魔王様にゃ!〜  作者: 椎名咲良
1章 落ちこぼれ少女が魔王の弟子になる話
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44◆落ちこぼれ少女と魔王の本気





「行けェ俺様の僕ェ! 【魔物召喚(サモン)(ウルフ)】!」


「「「ワォォォォォォォォン!!」」」


 ギルガスが指をパチンと鳴らすと、奴の目の前に魔法陣が現れ、そこから三匹の大きな赤い狼が飛び出して私達を威嚇する様に遠吠えを上げる。


「ヒャハハ! 行け、ブラッディウルフ共! 餌の時間だァ!」


「「「ワォォォォォォォォン!!」」」


 ギルガスの指示を受けて狼達は私達に向かって凄まじい速度で一斉に駆け出す。


 というか、ブラッディウルフって確か災厄指定(ネームド)モンスターだよね!? それを複数体一気に召喚って……! とにかく、防御しなきゃ!


「【反射】!」


「「「ギャオォォォォォン!」」」


 跳躍し、その鋭い爪で私達を引き裂こうとするブラッディウルフ達は私の【反射】で自らの攻撃による衝撃を倍返しされ、悲鳴と共に吹き飛び宙を舞う。


「ナイスにゃサラ! そんな犬ッコロ如き、私達の相手じゃないにゃ! 【次元断】!」


 ルーちゃんは私を褒めた後、宙を舞う三体のブラッディウルフを空間ごと引き裂き、ブラッディウルフの身体は両断され即絶命する。


 ……災厄指定(ネームド)モンスターをこんなあっさり、しかも三体も倒しちゃうなんて。やっぱりルーちゃんは凄い。


「……なンだと? ブラッディウルフ共がこんなあっさり……どうなってやがる?」


「悪魔、もう終わりか? この程度じゃ準備運動にもならないぞ?」


 目の前で起きた事を信じられない様子で呟くギルガスをルーちゃんは挑発する。


「クソ猫がァ! 俺様をナメてんのかテメェ! いいぜ、そんなに言うならお望み通りすぐにブッ殺してやるよォ! 【二重魔物召喚(ダブルサモン)泥人形(ゴーレム)飛竜(ワイバーン)】!」


「グゴォォォォォォォォォォ!!」


「ギャァァァァァァァァァァ!!」


 再度指を鳴らして現れた魔法陣から現れたのは、白銀に輝く金属の巨神と赤の鱗に包まれた巨大な空跳ぶ飛竜。


「行けェ! ミラージュゴーレム! レッドワイバーン! 奴らを血祭りに上げろォ!」


「グゴォォォォォォォォォォ!!」


「ギャァァァァァァァァァァ!!」


 ミラージュゴーレムとレッドワイバーンって、また災厄指定(ネームド)モンスター!? こいつ、一体どれだけ災厄指定(ネームド)モンスターを出してくる気なの……!?


 二体の災厄指定(ネームド)モンスターは咆哮し、攻撃態勢に入る。とりあえず防御をーー


「ーーつまらん。殺す等と大口叩いてその程度とは、あまりガッカリさせるな悪魔。ーー【虚無】」


 ルーちゃんが冷たく吐き捨てると同時、目の前の空間に大きな裂け目が開いて行く。そして、裂け目が開き切ると同時に裂け目は意志を持った様に二体を喰らい始めた。


「ンゴゴゴゴォォォォォォォ!!」


「ギャァァ! グギャァァァァ!」


「邪魔だ、鉄屑と蜥蜴。私の前に立った事を次元の狭間で後悔し続けるがいい」


 そう言うと同時に裂け目は二体を喰らい尽くし、そのまま消え去った。私はこれを見るのは二度目だけど、やっぱり見た目がエグい。二度と出れない次元の狭間に閉じ込める魔法って恐ろし過ぎる。


「ば、馬鹿な……なんだ今の魔法は……! 俺様の僕が一瞬で……」


「悪魔に語る事は何もない。さあ、私達を殺すつもりならさっさと次を出せ。ちなみに、倒されてから一分経っても何も召喚されなかったら貴様を殺す。【召喚士(サモナー)】の召喚を律儀に待ってやるのだから、感謝するといい」


 ルーちゃんはそう冷たく言い放つと、呆然とするギルガスの動きを待つ。呟く様に「後四十秒」とカウントしながら。


 ……これが魔王。まさに圧倒的。災厄指定(ネームド)モンスターを多数召喚するという国さえ滅ぼす力を持った悪魔を、まるで赤子の手を捻る様に圧倒する存在。本当に味方で良かったと心から思う。


「後二十秒。どうした悪魔、死ぬ覚悟でも決めてるのか?」


「ク、クソォォォォォォォ!! 【魔物召喚(サモン)(ウルフ)】!」


 ルーちゃんに煽られ、慌てた様子で再度ギルガスはブラッディウルフを召喚しようとする。だがーー


「それは見飽きた。【分解】」


 一蹴し、現れた魔法陣を即座に【分解】で無力化する。これで確信した。ルーちゃんは本来、こいつを倒すのなんて一瞬で出来るんだ。文字通り格が違い過ぎるから。


 召喚だって、本来ならこうして【分解】で即座に無力化してさせない事も出来る。ルーちゃんにとってこれは最初から戦いなんかじゃないんだ。


「クソッ! クソッ! 何故だ、何故召喚されねェ! 何故貴様達は死なねェ! 俺様は悪魔最強の【召喚士(サモナー)】ギルガス様だぞ! テメェら弱っちぃ人間やクソッタレ魔族とは違げェンだよォォォ!!」


「何故死なないか? そんなの、お前が弱いからに決まっている。【召喚士(サモナー)】……他人を操り、モンスターを操り、自分は手を汚さず傍観する。実に小汚いお前にぴったりの職業だ。そもそも、貴様は二つ勘違いをしている」


 激昂し、咆哮するギルガスにルーちゃんは冷たく言い放つと、続けて口を開く。


「一つ目。人間は弱く等ない。確かに、力は魔族や悪魔には及ばないかもしれない。だが、それ故に人間は力を合わせて困難に立ち向かう心の強さがある。そして二つ目だがーー私はただの魔族ではない」


「アァ……?」


 怪訝な表情で聞き返すギルガスに、ルーちゃんは宣言する。普段私達におちゃらけて名乗る時とは違う、契約した私だけが知る王の風格を感じさせるそのオーラ。魔法の王たる最強の存在、その名はーー


「私の名は第十五代目魔王、ルシファー・セブンクルス=ヴィスペリア! そして、最愛の愛弟子にして契約者たるサラ・ヴィンセントの師匠!」


「な……ッ!? 魔王……だと!? クソ猫貴様が!?」


 その名乗りに驚愕の声を上げ、ギルガスは後退る。


「故に私は契約者として、師匠として、友として彼女の願いを叶える! 街を守りたいという彼女の願いの為、貴様には死んで貰うぞ、悪魔!」


「ク、クソッタレがァァァァ!!」


 ギルガスはヤケクソの様に咆哮すると、姿を消す。これは偽物の騎士団長が使ってた【空間転移】! でも、それは【索敵】で追えてる!


「死ねェェェ人間!! 【死病】!」


「【反射】!」


「ガァァァァァァァァァ!!」


 追い詰められ、奇しくも偽物の騎士団長と同じ攻撃手段を取ったギルガスの魔法を同じ様に【反射】で防ぐ。


 ……散々馬鹿にしていた偽物の騎士団長と同じ攻撃手段を最後に選ぶなんてね。似た者同士、って事かな。私とルーちゃんとは真逆の似た者同士だけど。


 跳ね返された魔法を至近距離で浴びて膝をつき、苦しみながら咳き込むギルガスにルーちゃんは嘲笑する。


「私には勝てないからサラを狙ったみたいだが、残念だったな? 私の弟子は貴様とは違ってとても優秀なんだ。そして、貴様は私の契約者を傷付けようとしたな? 更に時間切れだ。その報い、死をもって償え!」


「ゴホッ……ああ、いいぞ……! 殺せ、殺すがいい魔王! ヒャーハハハ!!」


「【次元断】!」


 両手を広げ、死を受け入れたギルガスの頭部が宙を舞い、身体は地に伏せる。これで、終わった……のかな?


「っ!? じ、地震!?」


「サラジャンプするにゃ! 【空中歩行】!」


「う、うん!」


 そう思った直後、立っているのも難しいくらいに地面が強く揺れ始めるがルーちゃんの【空中歩行】と共にジャンプすると、足が空中に着地した。


「ありがとう、ルーちゃん。ギルガスは倒したはずなのに一体何がーー」


「っ!? サラ! 海にゃ!」


 ルーちゃんに促され、港の方を見ると海が突然光りだしているのが見えた。あれまさか魔法陣の光!? まさか!


「グギャァァァァァァァァス!!」


 次の瞬間、海から巨大な存在が姿を現す。その身体は蒼く、体躯は蛇の様に長く巨大。その姿は御伽噺で語られる海を統べる頂点にして、災厄指定(ネームド)を超えた終焉の存在ーー


「リヴァイアサン……!?」


 危険度Sランクモンスター【リヴァイアサン】。御伽噺に現れる伝説の存在が今、私達の前に姿を現した。

ラストバトルには第二形態が付き物ですよね!

という事でまだもう少しだけ続きます!


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それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!

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