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チンピラに絡まれる

私が悩んでいると、レイーヌが助け舟を出してくれた。


「お嬢様、こちらの"ピルピルのフルーティ"はどうでしょう?

私、一度食べたことがあるのですが、

柔らかくてとっても美味しいんですよ?」


レイーヌが折角おすすめしてくれたので、

それにすることにした。


それにしても、ピルピルって何なのかしら?

ピルピルという果物があるのかしら?


「お待たせしました。

ピルピルのフルーティです。」


目の前に置かれたそれは、白いゼリーのような食べ物だった。

周りを見て見ると、レイーヌは私と同じ物を頼み、

フェリスはピンクの飲み物を頼んでいて、

ヒルクは見た目プリンのデザート(?)を頼んでいた。


「まあ!とっても美味しそうだわ」


レイーヌがピルピルのフルーティを一口食べた。

片手を頬に当て、とても美味しそうに食べている。


レイーヌが美味しいと食べているなら、美味しいんでしょう。

私も一口掬って口に運ぶ。


「美味しい…」


食感はゼリーそのもので、味は爽やかな感じだ。

異世界のデザートも捨てたものじゃないわね。


ヒルクが食べているプリンのような物を見る。

あっちも美味しいのかしら?


「お嬢様?」


ヒルクが私の視線に気づいて不思議そうに見ている。


「それって美味しいの?」


「はい、プリプリとしていて美味しいですよ?」


プリプリ。確かに美味しそう…。


「一口頂戴」


「はい、どうぞ」


ヒルクがスプーンに一口乗せて私の方に差し出してくる。

私はそれを食べようとスプーンに近づく。


「お嬢様!僕が食べさせます!」


「は?」


ヒルクと私の丁度真ん中に座っていたフェリスが、

ヒルクの腕を掴んでいた。


腕を掴まれたヒルクは下を向いて唇を噛んでいた。

フェリスは容赦なくヒルクの腕を潰すように掴んでいた。

もちろん多少の手加減はしていたが…。


「ヒルクさん、お嬢様には僕が、あ~んするので

お手を煩わせなくても大丈夫ですよ?」


「あ、ああ…」


フェリスはヒルクの方を見ていたので、

お嬢様には分からなかったが、

その時のフェリスの笑みは、悪魔の様だった。


フェリスはヒルクから、スプーンを受け|(奪い)取り、

ニコニコと愛想良い笑みを浮かべながら、

スプーンをお嬢様に向けるのだった。


「お嬢様、あ~んしてください!」


「もういいわ。このピルピルのフルーティで、

お腹が一杯になってしまったから」


フェリスとヒルクが隣でごそごそしている間に、

お嬢様は、ピルピルのフルーティを食べ終えていた。

元々少食のお嬢様が、ピルピルのフルーティで

満腹になるのは、必然だった。


「そ、そんな……」


フェリスはガックリと肩を落とし、

ヒルクを恨むように見た。


ヒルクは慌てて視線を逸らす。


「フェリス、ヒルクもさっさと食べて。

まだ、周る所はあるんだから」


「はい、お嬢様」


支払はフェリスに任せ、一足先に店から出る。

入れ替わるように店に入ろうとする、二人組の男達。

私はその人たちを避けるように出た、はずだった…。


「いてぇ!こいつぶつかりやがった!」


「あ゛あ゛!お嬢ちゃん、ぶつかったなら、謝罪料がいるなぁ~」


ガラの悪い連中ね。

異世界にもチンピラがいるなんて…。


「ぶつかって来たのはそっちでしょ?

何故私が、謝罪料なんて払わなきゃいけないのかしら?」


「そうよ!お嬢様は避けようとしてました!

私、ちゃんと見ました!」


レイーヌも後ろから言ってくれる。

まだ、フェリスとヒルクは店の中にいる。

だから、出てくるまでの辛抱。


「なにぃ!?この女、いいとこのお嬢様だからって

いい気になるなよ?」


「痛い事されたくなきゃ、金を渡しな」


私はチンピラ共に向かって鼻で笑った。


「そんな風に寄って集って子供相手にしか、

金を巻き上げようとしないなんて、

あなた達、自分が弱いですって言っていることに気付かないの?


あら、なんて可哀そうなのかしら?」


「お、お嬢様!」


レイーヌが慌てているけど、

こんな奴らに良いように言われるのも癪に障るのよね。


「こんの!」


「ぶっ殺してやる!」


こんなことで頭に血を登らせてすぐに暴力に頼る。

こういうバカが、私は嫌いなのよ。


男は拳を振り上げて、私に向かって降ろそうとして来る。

周りの人たちは皆、息を飲んでこの状況を見守っている。


「今、なんて言った?」


男の拳が私に当たる前に止まる。

そして、私と男の間に割り込むように入ってきた男。

ヒルクだった。


「ヒルク!」


レイーヌが嬉しそうに声をあげる。

ホッと一息つく。

助けるのはフェリスかと思ったけど、まあ、ヒルクも強いだろうからいいか。


「俺の主に手を出すな」


男が振りほどき、一端ヒルクから離れる。

ヒルクが鞘に手を掛ける。


「チッ、おいずらかるぞ」


「おお」


ヒルクの剣を見て恐れたのか、男たちは走り去った。

それを目で追う。


「お嬢様、追いかけますか?」


「いいえ、ほっておきましょう。

それより、フェリスは?」


「ああ、そこに……」


指さす方には、固く握り拳を作るフェリスの姿があった。

一体、何があったの?


「実は、お嬢様が暴力を振るわれそうになり、

それを見たフェリスが、殺さんばかりに男に近づこうとしていたので、

止めたんです。


殺したら、お嬢様はお前の事を嫌いになるぞ。と言って…」


そう、それで代わりにヒルクが出てきたのね。

まったく、加減をすればいい話なのに……。



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