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初めての街 服屋 2

「お前か?うちにケチつけてきたって客は」


「あら?私はただ店員の男に

この店は店員の躾けもしていないのかしら?

と聞いただけよ?」


店長らしき男は眉間に皺を寄せた。


「言いたい放題だな。

その物言い、うちの店員が何かやらかしたとでも言うのか?」


「ええ、そうよ。

私の従者たちを奴隷だと言ったのよ。

エルフだからって、

奴隷と言うのはやめるように言ってくれないかしら?

それと、この子たちに謝罪を求めるわ。


こっちは客だし、第一に不愉快よ。

第二にこの子たちの心を傷つけないでちょうだい。

私の大切な従者だから」


相手が男だろうと、巨体(自分から見て)だろうと関係ない。

ちゃんと謝って貰わないと。

こっちは人権の侵害を受けたのだから。

この世界に人権という物が存在しているのかは別として。


「それは本当か?」


疑わしいように見てくる店長。

だけど、奥からさっきの店員を呼び出した。


「おい、この客がお前が従者を侮辱したと言ったのだが?」


「はあ!?店長!俺はただそいつらに奴隷は大人しくしてろって言っただけだ!」


この店員、店長にも高圧的な態度をとるのね。

なんでクビになってないのかしら?


「言ったんだな?今すぐ謝れ、誠心誠意、

罪の意識を持って謝るんだ。いいな?」


「はあ!?なんで俺が!!」


店長の言葉に納得していない店員が、反抗的な態度をとっている。

店員はレイーヌやヒルクを睨んだ。


「悪かった」


目つきは鋭く、表情から怒りがひしひしと伝わる。

店長は誠心誠意謝れと言っていたが、聞いていなかったのかしら?


「はぁ…。もういいわ。この店員は本当に謝る気がないようね。

もうこの店は利用しないことにしましょう。

さあ、他の服屋に行きましょう。


あーあ、残念だわ。私たちはあまり服を持っていないから。

収入があったし、折角服を沢山買えると思ったのに。

それに、この店には種類が豊富にあるようだったし。

作りもいい。店員がこんなじゃなかったら、

最低10着は買っていたのに…。


でももう過ぎたことね」


わざとらしくため息を吐いて、店長と店員に背を向ける。

フェリスに持っていた服を置いて貰う。


「おい!今すぐ謝れ!折角の客だぞ!?」


「すみませんでした」


私の言葉に目の色を変えた店長が店員の頭を押さえつける。

頭を押さえつけられて、渋々謝っている店員を横目で見る。

これで許す私じゃないわ。


「もう決めたことよ。もういいって言ったでしょ?

この店にはがっかりだわ。


行くわよ。フェリス、レイーヌ、ヒルク」


フェリスに再び抱えられ、店を出る。

レイーヌとヒルクも後をついて出てくる。

その後ろで、このバカが!と怒鳴りつける店長の声が聞こえた。

店員が店員なら、店長も店長ね。


「あなた達、もう少し高めの服屋へ行きましょう」


「えっ、でもお金が…」


レイーヌが心配してくる。

恐らく私のお金だから、安い服屋に行ったのだろう。


「別にいいわ。今あるお金を使い切っても、

まだ交換できる物があるんだから…」


「ありがとうございます!お嬢様」


良かった。レイーヌはいつもの明るい調子に戻ったようだ。

ヒルクもレイーヌの様子に安堵しているみたい。


次に来た服屋はさっきの店よりも値段は高い。

でも、さっきの店よりもオシャレな服が多い。


「あなた達、外出用に出来るだけオシャレな服を選びなさい。

オシャレな服を着ていれば、奴隷何て言う輩はいないでしょう?」


街を主人と共に歩く奴隷の姿は、ちらほらと見えていた。

どの奴隷も首輪をつけ、地味で薄着な格好で歩いていた。


「お嬢様……」


「さあ、選んで来なさい。フェリスはまた選んであげるから」


「「はい!」」


レイーヌとヒルクはまたも二人で、服を見て周る。

フェリスは私を降ろして、嬉しそうな笑みを浮かべている。


「そうね…これ何てどうかしら?」


「はい!」


服の一着を手に取って、フェリスの前で合わせる。

淡い水色の服。

フェリスは気に入ったのか、嬉しそうに返事をした。


「いいえ、やっぱりこっちかしら?」


「はい!」


すぐ近くにある、別の服も手に取り、

フェリスの前で合わせる。

今度はベージュの服。

フェリスは気に入ったのか、嬉しそうに返事をした。


「う~ん、ああ、これの方がフェリスには似合うんじゃない?」


「はい!」


少し遠くにある黒に近い紫のような色の服を手に取る。

また、フェリスの前で合わせる。

フェリスは気に入ったのか、嬉しそうに返事をした。


「フェリス…適当に返事してる?」


「いいえ。僕は、お嬢様の選んで頂いた服ならば、

どのような服でも喜んで着る、唯それだけです。


このように一生懸命に選んでいるお嬢様が、

あまりにも可愛らしくて…。

微笑ましく見ておりましたから。

少し単調になってしまいました」


すみません、と悪気もなく言うフェリスに呆れる。

選んでいる姿を見て可愛いなんて、どういう神経してるのかしら?


「もういいわ。その三着は買いましょう。

他にも選ぶわよ。もうフェリスの意見は聞かないことにするわ」


一着一着決めて行き、この店ではトラブルが起きることもなく、

私たちはやっと服を買うことが出来た。

服の入った袋を、嬉しそうな顔をしたレイーヌが、持ちながら歩いていた。



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