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帰宅

家の目の前で馬車が止まる。

フェリスに抱えられて、先に出る。


「まあ、今回は礼を言うわ。

レイーヌの為に動いてくれてありがとう。

今後一切そんなことはしなくていいわ。


そうだわ。王に、これで貸しを作ったとは思わないでね、

と言っておいてくれる?

そう言われるの面倒だから」


フェリスに寝室まで運んで貰う。

フェリスとお嬢様が去って行った城の前。

馬車から出てきたネフィル、レイーヌ、ヒルクの三人は

話していた。


「本当にありがとう。ネフィル!

お嬢様はああ言ってるけど、本当は嬉しいと思ってるのよ?

だから、お嬢様の事を悪く思わないでほしいの」


レイーヌが改めてお礼を言うと

ネフィルは首を振って答えた。


「ええ、分かっているわ。レイーヌ。

本当はこのまま一緒に城へ来ていただきたかったのだけど、

私がお礼として求めたのはお話する機会だけ…」


「焦る必要はないわ。

きっとあなたの国の王様と、お嬢様が仲良く出来る日が来る。

私はネフィルを応援しているわ」


レイーヌはネフィルの手を取り、頷き合う。


馬車から男が出てきた。

今まで大人しくしていた竜王だ。


「ほう!ミーリスを見つけた時にはよく見ておらんかったが、

ミーリスの住む城は、我が城よりも大きいな!」


竜王は城を見上げ、一人感嘆の声を漏らしていた。


そういえば、ついてきたことに気にしていなかったが、

この男はお嬢様を攫った男だった。

簡単に城へ入れていいものか…。

ヒルクは考えていた。


「おい、竜王」


「うむ。なんだ?貴様は誰だ?」


「俺はヒルク。主にレイーヌに仕えているが、

お嬢様にも仕えている。


竜王は、お嬢様に危害は加えないのか?」


こんな質問をしても正直に答えるとは思っていないが、

相手の顔を見れば大抵の嘘なら分かるつもりだ。

これでも、長年エルフの姫に仕えてきたからな。


「何を言う!我はミーリスの兄ぞ?

何故我がミーリスを傷つけなければならん!

ミーリスを傷つける者は我が排除してくれよう!」


ああ、この人はバカだ。

一瞬で理解したヒルクだった。


「そ、そうか。なら、城に入るか?」


「ああ!ミーリスの暮らす城!

さぞや可愛らしい物で溢れているのだろうな!」


実際はそんなことはない。

この人は暴れたりはしないだろうか。


「レイーヌ、入ろう」


ネフィルと話していたレイーヌに声を掛け、城に入る。

竜王は城に一歩は言った所で止まっていた。


「な、何だ…ここは?」


竜王は驚愕していた。

妹が住むにはあまりにも何もなさすぎるからだ。


「こ、ここが…ミーリスの、住む城?

こんな殺風景で何もない。

まるで廃墟のような城が?

荒れてはいないようだが、明らかに人が住むような場所ではないではないか!」


竜王は怒りに震えていた。

今までミーリスを見つけるまで、

ここで住まわせていたのだと思うと、

心苦しくなった。


「ミーリス!ミーリスどこだ!?」


「竜王、今はお嬢様はお休みになられているはずです。

今はお静かに…」


隣からヒルクが竜王にいった。


「どこだ?ミーリスはどこにいる?」


竜王は歩き出した。

城の中を我が物顔で歩き出した竜王を

誰も止めることが出来なかった。


「止めろ!竜王。お嬢様の睡眠を邪魔するな」


ヒルクが目の前に立ちはだかっても、

竜王はヒルクを睨み付け、

ヒルクの立ちはだかる方向とは逆を行くだけだ。


「お嬢様は疲れているのよ?

休ませてあげるべきだと思わないの?」


レイーヌでも同様、竜王はただミーリスを探し、

城内を歩き回った。

片っ端から部屋の扉を開けて行き、

どんどん寝室へ向かう。


「ミーリス!」


「うるさい」


とうとう寝室へたどり着いたときには

バタンバタンと扉を開ける音で起きてしまっていた。


「ミーリス我が城へ帰ろう!

こんな所にミーリスを住まわせてはおけん!」


ズカズカと私の前まで来ると、竜王は悔しそうな顔をしていた。

帰ろうって言われても、自分一人で帰ればいいじゃない。


「私の帰る場所はここよ。

あなたが何を言おうと…」


「だが…」


「帰るなら一人で帰りなさい。

子供じゃないんだから、帰り道ぐらい分かるでしょう?


それにね。ここにはフェリスやレイーヌやヒルクがいるの。

あなたよりも大切な人たちよ。

私の城に私の大切な人たちがいるのと同じように、

あなたの城にもなたの大切な人たちがいるでしょう?


あなたは自分の城へ帰りなさい。

その人たちの為にも…」


それと、私の静かな睡眠の為にも…。


「ミーリスはここに居たいのか?」


「ええ」


私が頷いて答えると渋々という風に部屋から立ち去った。

竜王は一体何がしたかったのかしら。


私の睡眠を邪魔しておいて。


「フェリス!」


「はい」


私が大声でフェリスを呼ぶと、すぐにワ-プでフェリスが現れた。


「誰も私の睡眠を邪魔できないようにしてくれる?」


「はい、分かりました」


フェリスは一礼をすると、部屋から出て行った。

これで安心して、寝ることが出来る。


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