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お嬢様とお話

コンコン


扉がゆっくりと開かれます。

いよいよですね。

どうだったのでしょうか?レイーヌは上手くいったのでしょうか?

どんな子なのでしょう…?

疑問がつきません。


「失礼します」


聞こえてきたのはフェリスさんの声。

やはり、無理だったのでしょうか……?


入ってきたフェリスさんの腕には子供の姿。

上手くいったのですね!

ありがとうレイーヌ!


「お嬢様、ソファーでよろしいですか?」


「ええ」


そう言ってフェリスさんは子供…お嬢様を

ソファーに横たわらせました。


「初めまして、ドレン王国で宮廷魔法使いを務めております、

ネフィルと申します。

この度はお話の機会をくださり、ありがとうございます」


私は深く頭を下げました。

城の主の印象は可愛い…でした。

つやのある長い黒髪を流し、パッチリとした目。

人形のように真っ白な肌。

どれもまるで人間ではない生き物のように思わせます。

なんて素敵な方なんでしょう。

私はしばらく城の主に目を奪われていました。


「本当はあなたとなんて話したくないの。

でも、レイーヌが言うから渋々ここに来たんだから。

礼を言うならレイーヌに言いなさい」


「はい」


黒く綺麗な瞳が私を見ています。

何て吸い込まれそうな瞳なのでしょう…。


「それと、制限時間付きだから」


「はい、何分程でしょう?」


「私が寝るまで…」


「えっ…!」


寝る…?

城の主は昼寝をするようですね。

でも、それではどれくらい質問できるか分かりません。


「文句ある?」


「いいえ…。

無理を言ったのはこちらですから、

構いません」


話を出来るだけでも幸運なのですから。

それ以上を求めるのは酷というもの。


「それと、質問には基本的にフェリスが答えるから。

そのつもりで…」


「はい」


フェリスさんが答えようとも

こちらの質問に答えてくれるなら構いません。

できれば城の主である、お嬢様(?)とお話したかったのですが…。


「えっと、あなたの事は何とお呼びすれば…?」


「何でもいいわ」


何でもいい…。

そう言われてもそもそも名前を知りませんから、

呼びようがありません…。


そういえば、フェリスさんとレイーヌは

"お嬢様"と呼んでいたはずです…。

私もお嬢様って呼んでいいでしょうか?


「では、私もお嬢様とお呼びしますね?」


確かにお嬢様という呼び方はこの方に合っていると思います。


「お嬢様はどうしてこのお城に?」


「この城はお嬢様の所有物ですから」


本当にフェリスさんが答えるようですね。


「この城は一瞬で現れたと聞きましたが

魔法を使ったのですか?」


「いいえ、魔法は使っておりません」


この答えでは結局城はどうやって一瞬で現れたのか分かりません…。

お嬢様は魔力が一般人よりも低いと言うのは聞きましたから、

魔法ではないのでしょうね。


「ドレン王国は食べ物の有名生産国で

食べ物の中でもお菓子が有名なんです。

お嬢様は、お菓子はお好きですか?」


「はい、お嬢様は甘い物がお好きです」


フェリスさんは嬉しそうに答えた。

お嬢様は甘い物が好きなのですね。

でしたら、ドレン王国に少しでも

興味を持たれたかもしれません。


「お嬢様とフェリスさんはどういった経緯で

お知り合いになったのでしょう?」


「言えないわ」


ずっと口を閉ざし、聞いていたお嬢様が話に入ってきました。


「何故でしょうか?」


「言ってもあなたが信じないでしょうから」


信じない、そんなことは聞かなければ分からないと思うのですが…。

それに、私はお嬢様を信じてみたいと思いました。


「信じます。どんな突拍子な事でも

お嬢様が真実だというのなら、私は信じます」


「ふ~ん、よくぬけぬけとそんな事が言えるわね。

今、初めて会った人を信じるなんて、

宮廷魔法使い様はバカなのね」


お嬢様の挑発するような言葉を

私は何でもないように受け流しました。


「はい。でも私はお嬢様を信じたいと思っているのですよ?」


「そう、眠いわ。

最後の質問にしましょう」


さ、最後…。何を訊くべきでしょう?

やっぱりもう少しフェリスさんとの事を訊くべき?

レイーヌやヒルクとの関係?

人間が嫌いな理由?


「ないの?」


「あの!また、このお城に来てもいいですか?」


結局私の口から出た質問はこれでした。

また来れば質問の機会が持てるかもしれませんから…。

そうすれば、もっとお嬢様と仲良くなれるかもしれません。


「何で?」


「レイーヌやヒルクとまたお話をしたいと思って…」


「ふ~ん」


お嬢様は疑うような目で私を見ていました。

本当にそれが本心なのか、見極めているのかもしれません…。


「まあ、レイーヌは喜ぶでしょうね。

部屋に戻った時も嬉しそうに話していたから。

あなたの事を」


レイーヌが私の事を嬉しそうに…。

そうですか。レイーヌがそう思ってくれるのはとても嬉しいです!


「お願いします。私は仕事柄王宮から出ることがあまりありません。

王宮にはエルフは私一人ですから、

時々空いた時間にこの城に来て話をしたいと思いまして…」


嘘は言っていません。

仕事が忙しいというわけでもないですが、

王宮にエルフは私一人ですし。


「レイーヌやヒルクに訊いてみなさいよ。

もう私はあなたに会う気はないから」


お嬢様はフェリスさんに目線を向けると

フェリスさんは部屋を出て行かれました。


もしかしたら、レイーヌとヒルクを

呼んで来てくれるのかもしれません。


「あの、お嬢様」


「………」


フェリスさんが出て行ってすぐに

お嬢様は寝られてしまったようで、

綺麗な瞳は瞼で閉じられてしまいました。


まつげが長い、羨ましいです。


「失礼します」


フェリスさん、レイーヌ、ヒルクの三人が

この部屋に入ってきました。


「おや、お嬢様はお眠りになられてしまったようですね。

では、代わりに私が伝えますと。


ネフィル様はお二人にまた会いに来たいと申しております。

来客を許可するかはレイーヌさんとヒルクさんに決めさせると…」


「そうでしたか。

上手くいったのですね!ネフィル!」


レイーヌが私の手を取り喜んでくれました。


「はい、これもレイーヌやヒルクのお蔭。

本当にありがとうございました」


頭を下げてお礼を言うと、

何でもないという風に言われました。


「いいえ、そんなこと気にしないで。

それに私たちはもう友人ではありませんか」


「そうですね」


友人…私にはいなかった人。

王宮でも一人で誰かとこんな風に話すことは

あまりありませんでしたから、

友人という言葉は私にとってほぼ無縁に等しい言葉でした。


「私はネフィルともっといろんな話をしたいわ」


「俺もレイーヌが楽しそうにしているのは嬉しいし、

話を聞けるのも楽しい」


そういって頂けるととても嬉しいです!


「では、ネフィル様の来客を許可すると」


「ええ」


「はい」


私は嬉しさのあまりレイーヌの手を握り

頭まで下げました。


「ありがとう!レイーヌ、ヒルク!

今度来るときは何かドレン王国の有名なお菓子でも

持って来ますね!」


「ネフィル、頭なんて下げなくていいのよ?

だって、私たちお友達じゃない!

お菓子、とても楽しみにしているわ!

ね?ヒルク」


「はい」


その後、お嬢様を寝室までお連れするフェリスさんと別れ、

レイーヌとヒルクに玄関まで送ってもらい、

玄関で別れた後、城から出た私を

心配そうに見る騎士のお二人と城へ帰って行きました。



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