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レイーヌとヒルクとお話

ここで待っていてください。

そう言われて通されたその部屋には

大きなテーブルとソファーがテーブルを挟んで

向かい合って置かれた、客間でした。


ここに来るまでにも思ったことでしたが

あまりにもこの城には何もありません。

ずっと王宮を見ていたからでしょうか。


廊下や階段に絵画や彫刻などなく。

この部屋にも花瓶の一つすらありません。

それもあってなのでしょうか、この城全体が暗く感じます。


とりあえず入って左側にあるソファーに腰掛ける。

とてもふわふわとしたソファーで座り心地は悪くありません。


コンコン


この部屋を眺めていたらノックの音が聞こえました。

いよいよ城の主である子供とご対面ですね。


「失礼します」


聞こえてきたのは男の方の声。

そして次に女の方の大人っぽい声です。

最後にまた男の方の声。


最初に入ってきたのは玄関で会った男性。

その次に入ってきた女性は私と同じエルフです。

最後に入ってきた男性はハーフエルフ。


最初に入った男性が扉の横に立つと

後ろの二人を促した。


そして二人は私の目の前に座った。

そして扉にいた男性はそのまま部屋を出て行きました。


「こんにちは、初めまして」


最初に話しかけてきたのは女性の方でした。

もしかしたら、このお二人と話していい印象を持たれないと

城の主に会わせて貰えないのでは…?

でしたら、ここは気を入れましょう!


「こんにちは、ドレン王国で宮廷魔法使いをしております。

ネフィルと申します。よろしくお願いします」


「ええ、こちらこそ。

私はレイーヌ。こっちはヒルク」


ヒルクと紹介された男性は少し頭を下げるだけでした。

私も同じように返しました。


「失礼します」


先ほど出て行った男性が

おぼんにカップと何かを持って来ました。

そして、カップをそれぞれの前に置くと、

何かをコップの上で傾け、コップの中に液体を入れている。


「あの、これは……?」


私が疑問を口にすると、液体を入れていた男性が

ニコリと微笑み、毒などは入っていませんよ、と一言言った。


先ほどレイーヌと名乗った女性がその液体を飲み、美味しいと一言言うと

液体を入れた男性が、ありがとうございますと礼を言った。


美味しいのでしょうか?

私は試しに一口飲んでみました。

緊張していたのせいか、あまり味を感じませんでした。


「美味しいです…」


飲み物を入れて頂いたのは確かなので美味しいと返しておく。

すると、また男性が、ありがとうございます、と答えた。


「ところで、ネフィル様はどちらの国の出身でしょうか…?」


「出身、ですか?」


飲み物を少しずつ飲んでいると、レイーヌさんが訊いてきました。

まさか出身を聞かれるとは思っていませんでした。

これは普通の会話をして相手がどんな性格か

見極めようとしてるのでしょうか?

面接みたいですね。


「あっ、その。実は私たちと同じ国の出身なら

お話しできれば、と思って……」


「いいえ、驚いただけですから。

私の出身の国は今はもう無くなっているのです。

数年前に…。

私はその時からもう宮廷にいましたから…」


私が出身国の事を話すと、レイーヌさんの表情が暗くなった。


「そうでしたか。

では私たちとは違いますね…。

実は数日前、私たちの国が人間に滅ぼされ。

私たちは生き残りなのです」


「そうでしたか…。

それはお気の毒に。

さぞ辛い思いをしたのでしょうね」


エルフの国が人間に襲われるという事は少ないことではない。

エルフを奴隷商に売るため、金品を奪うため。

エルフはいつだって奪われる側なのです。


人間の国はどこもエルフなどは気にもしない。


「もし、あなたが私たちと同じ国でしたら

生き残りが3人になっていましたが…。

でも、同じエルフですもの。

あなたの話を聞いてみたいわ」


「私の話ですか…」


それからお互いの国の事をお話しました。

レイーヌさんが国の姫だと聞かされた時は驚きました。

でも国が滅んだからもう自分は姫ではないとも言っていました。


お二人の過去の話も聞かせて頂きました。

そしてお互い、呼び捨てで呼び合う仲にまでなりました。


「レイーヌさん、ヒルクさん。

もうそろそろ時間です」


私やレイーヌ、ヒルクをこの部屋まで連れて来た男性

フェリスさんはレイーヌとヒルクに言いました。


「あら、もうそんな時間?」


フェリスさんが言うように、確かに結構時間が経った気がします。


「それでは失礼しますね。

フェリス、ネフィルをちゃんと玄関までお送りしてね?」


「はい、分かっています」


えっ、私は城の主と話せないのですか…?

今までの会話は私にとっても相手にとっても

有意義な時間だったはずです。

城の主に会わせてくれないのでしょうか?


「あの!城の主に会わせてくれないでしょうか?

元々私は城の主に会い、国王陛下との親睦を深める

懸け橋として来ました!

ここで城の主に会わずに帰るようでは

宮廷魔法使いとして私は何も出来なかったことになります!

お願いします、会わせて頂けませんか?」


私がそういうとフェリスさんは困ったような顔をして言いました。


「すみませんが…。

お嬢様は人間をお嫌いでございますから。

お嬢様が人間の王と交流するとは思えませんが…」


「お嬢様は、人間についているネフィルとも

話したくないようなのよ…」


エルフでも人間と一緒にいれば嫌いということなのでしょうか?

それは私が人間に染まってしまったから?


「それでも、話だけでもさせて頂けないでしょうか?

数分でも構いません」


「分かりましたわ。

私の方からお嬢様に話してみましょう」


レイーヌが私に助け舟を出してくれました。


「本当ですか!」


「ええ、でもそれでお嬢様がお話になるかは分かりませんが…。

あなたとお話しできてよかったわ。

出来ればまたお話ししたいぐらい…。

じゃあ、お嬢様に言ってくるわね」


「お願いします」


レイーヌとヒルク、それにフェリスさんも退室し、

この部屋でまた一人になりました。


「城の主は子供と言っていましたが、

何歳くらいなんでしょう?」


気になっていたことだったが、見たら分かるだろうと訊いていませんでした。

フェリスさんが従っているくらいですから、

もしかしたら、独特な雰囲気の子供なのかもしれません…。

それとも、逆に清楚な感じの子供でフェリスさんの好みだったのかも!


いいですね~。人間の女の子と魔族の男の種族の壁を越えた恋……。

最後はやっぱり駆け落ちするのでしょうか……?



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