ネフィル様と城へ
2回目城に行った時からあれやこれやと準備をしているうちに3日たった。
いよいよ今日は宮廷魔法使いのネフィル様とアドレッドと城に訪れる。
「準備は出来ましたか?ネフィル様」
「ええ、今日はよろしくお願いしますね。
騎士団長様、副団長様」
ネフィル様は眩しいくらいの微笑を浮かべた。
そんな笑みを見れば断然やる気が湧いてくる。
「はい!お任せください!!」
「その身、必ずお守りします」
3人で馬車に乗り、城の近くの森まで行く。
森の中は徒歩なので馬車はそこまでとなる。
ネフィル様は普段あまり話をされない方なのか。
馬車の中では俺とアドレッドの二人で話すだけだった。
「着きました。ここですね、メイベの森」
森の大半の木々たちは消えてしまったので
もう森とは言えないのだが。
「城は少し歩いた所にあります」
ここからでも城は見える。
デカいから馬車の中からも見えていたが。
「おい、アドレッド。増えてないか?」
俺が止まったと同時にアドレッドも止まった。
前を歩いていたネフィル様が俺らの様子に気づいて立ち止まる。
「ああ、増えてるな…」
「どうされたのですか?」
不思議そうにこちらをみるネフィル様に答えた。
「俺らが3日前に訪れた時は
城の主の子供とその執事の魔族だけだったのですが」
「どういうわけか、二人増えてますね」
城の中にいる気配が増えている。
一人は強い気配がする。
もう一人は強い気配ではないが
魔力感知ではとてつもない力を感じる。
「おいおい、大丈夫なのか?」
「配下がどんどん増えているようだな」
アドレッドの配下という言い方にちょっと文句を言いたいが
でも増えているのだ。
「何とかなるでしょう。
早く行きましょう?
もう少しですよね?」
ネフィル様はそういうと歩き出した。
仕方ないから俺らも歩くことにした。
「噂に聞いた通りですね。
確かに陛下の城よりも大きい」
「はい、我々も最初見た時は驚いたものです」
城の大きな扉をノックする。
今から寝ようと思っていたのに…。
何なの?今度は3人?
増えてるじゃない。
「お嬢様、どうやらこの間来た人間二人と
エルフのようですね」
「フェリスって種族まで分かるのね」
「はい」
私がこの家の主なのに、なんでフェリスの方がよく分かるのよ…。
フェリスの実力ってやつなのかしら。
「でも何故エルフがここに?」
「お嬢様、人間についているエルフかもしれませんよ?」
「そうね。人間の方は追い返すとして
レイーヌとヒルクに訊いてみましょう。
同じエルフだもの、会いたいかもしれないわ」
フェリスにレイーヌの部屋まで運んで貰った。
コンコン
「レイーヌ、ヒルク。いる?」
「はい」
扉を開けて中に入る。
フェリスに降ろして貰って二人に話す。
「レイーヌ、ヒルク。
どうやら今この城にエルフが向かってるみたいなの。
人間も一緒に。
もし、あなた達がそのエルフに会ってみたいと言うなら
この城に入れるけど、どうする?」
二人に問いかけてみる。
最初に答えたのはヒルクだった。
「レイーヌ、あなたが決めるといい。
俺はあなたが会うというなら共に会う」
「私は…会ってみたいわ。
何故、人間といるのか分からないけれど
もしかしたら、同じ国にいたかもしれないもの」
確かに同じエルフなら、国も同じかもしれないものね。
「分かったわ。
フェリス、人間二人を追い返して。
エルフだけ客間に入れて。
私はエルフに会う気はないから
ここにいる」
「分かりました」
フェリスを見送ってレイーヌに訊いた。
「もし、やって来たエルフがあなたと同じ国の者だったらどうするの?」
「いえ、特にどうするとかはなく。
ただ、話をしてみたいと…」
「そう」
どうやら、私を切ってそのエルフと共に生きることを
考えてはいないようだ。
コンコン
「あなた方ですか。
いくらここに来てもお嬢様はお会いにはなりませんよ?」
来たのは騎士のカイン様とアドレッド様。
後ろにはエルフの女性。
「今日はネフィル様を連れて来た。
話がしたいそうだ」
ネフィル様と呼ばれたエルフの女性は
騎士のお二人の前に出ると、軽く頭を下げた。
「ネフィルと申します。
以後よろしくお願いいたします」
ネフィル様に僕も軽く頭を下げることで
挨拶を返すと淡々と言った。
「お嬢様は人間二人を追い払い
エルフの方を客間に案内するように言われました」
「!俺らはダメなのか?」
カイン様が驚いたように言う。
アドレッド様も声には出していないけど、
驚いている様子が窺える。
「分かりました。お二人はここに、
私だけが城に入ります」
エルフの女性、ネフィル様は了承しましたが、
後ろにいたお二人は納得していないようす。
「だが、俺たちが入れないとなると
俺たちのいる意味が!」
カイン様が止めていますが、すかさずそれを遮るように
ネフィル様が言った。
「ですが考えて見てください。
私たちの目的はこの城の主と交流を深める事でしょう?」
ネフィル様は振り返り騎士たちを見た。
「そうですが……」
「我々はあなたを守るためにいます。
ここで待っていて何かあれば、
我々はすぐに駆けつけることが出来ない」
ネフィル様と騎士のお二人との口論が続く。
「私がここであなた達を置いていくことで
こちらには攻撃する意志はないことを
伝えられるかもしれません。
それに折角のチャンスではないですか?
ここで私が行かなければ進展も何もありません。
陛下にはこれ以上罰を与えないよう言っておきますから
どうか、ここは私を行かせてはくれませんか?」
「そういう問題では…」
「ここはネフィル様に任せよう」
アドレッド様はネフィル様に従うようだ。
「えっ!いいのか?」
「今は、人間に危害を加えるつもりはないんだろ?」
アドレッド様が僕に訊いてくる。
「はい。どちらかと言えば関わりたくないようです。
ですが、もしお嬢様を傷つけることや
お嬢様の気分を損なわれるようなことをしましたら
問答無用で僕はあなた達を敵と見做しますので…」
そんな未来を予想したのか
カイン様がゴクリと息を飲んでいた。
「……分かった。俺もネフィル様を信じることにするよ」
カイン様も了承したことで
ネフィル様はホッとした顔になった。
「だが、俺らはここにいていいか?
さすがに帰るわけには…」
「分かりました。扉に鍵を掛ければ済む話ですから」
ネフィル様を中に促し
玄関の扉を閉めた。
「大丈夫かな~ネフィル様。
やっぱ何としてもネフィル様について行くべきだったんじゃないか?」
「それでは何の進展もないだろう?
まあ、俺たちは信じるしかない」
二人で扉の前で待つことになった。




