二人の騎士の訪問
コンコン
ノックの音に歩いていた足を止める。
「来ましたか。二人ですね。
早々に帰って頂けると嬉しいのですが…」
ゆっくりと城の玄関を開ける。
そこには騎士の恰好をした男二人がいた。
どちらも若い人間の男です。
騎士の服は白を基調とした服で
水色のラインが入っている。
「この城に何か御用でしょうか?」
扉の前にいた騎士二人は腰に携えている剣に手を掛けた。
何だか警戒されていますね。
まあ、騎士たちは人間、僕は魔族ですからね。
しょうがないですよね。
「お前がこの城の主か?」
二人いる騎士のうち一人が話しかけてくる。
「僕は違います。
今お嬢様はお休みになられています。
お嬢様に御用でしたら、この場はお引き取りください」
タイミングが悪かったですね。
人間がお嫌いなお嬢様は会いたがらないでしょう。
「お前は?」
もう一人の騎士が訊いてきた。
「これは申し遅れました。
僕はお嬢様に仕える執事、フェリスと申します」
僕が自己紹介をすると、騎士たちも名を名乗った。
「俺はドレン王国騎士団団長カインだ」
「同じくドレン王国騎士団副団長アドレッド」
ドレン王国というと、この城に一番近い国ですね。
そんな所から遥々来たのですね。
お疲れ様です。
「この城に奴隷の女の子がいるだろう?」
「奴隷?」
この城にはお嬢様と私しかいませんが。
この騎士は何を言っているのでしょう?
「知らないふりをしてもこっちは分かっている!」
カインと名乗った騎士が睨みながら問いかけてくる。
知らないのはあなた方では、ないでしょうか?
「奴隷の女などいませんが…」
「いや、前城に来た時に見たぞ!」
一層睨んで私を見るカイン様。
以前にこの城に来たことがあるのですか。
ですが、僕が昨日来た時にはお嬢様しかいませんでしたし…。
「カイン様にアドレッド様。
すみませんが、僕には覚えがありませんし、
現在、この城にいるのはお嬢様と僕だけです」
そう答えるとカイン様は僕の首に剣をあてた。
この騎士、剣を向ける相手が僕だからよかったものの、
お嬢様に剣を向けることがあれば、
僕は容赦しません。
僕は怒りを顔に出さないようにポーカーフェイスをした。
「貴様!女の子の居場所を吐け!
じゃないと、斬るぞ!」
「おい、カイン!」
カイン様は怒りをこちらに向けてくる。
アドレッド様は止めているようですが、
耳に入っていないようです。
「うるさい」
今まで寝室でお休みだったはずのお嬢様が、
自らここに来てしまわれた。
ああ、お嬢様を起こしてしまいました。
お嬢様の声が不機嫌なのが分かります。
「お嬢様、騒がしくしてしまい
申し訳ありませんでした」
私は深く頭を下げ、謝罪した。
お嬢様は手に枕を持っています。
ああ、お嬢様をここまで歩かせてしまいました。
「別に…。何?またあなたたち?
二度と来ないでと言ったはずよ」
「お前…。この城の主だったのか?」
騎士が驚いてお嬢様を見ています。
何を今更、お嬢様はこの城が立った
その時からこの城の主だと言うのに。
「そうよ。私以外に誰がいるの?
フェリスは私の執事だし」
騎士たちは驚いている。
どうやらこの騎士たちは知らずに訪れていたようですね。
まったく…勘違いでお嬢様の睡眠を妨害するなど…。
「アドレッド、俺の苦労って何だったんだ?」
「知らん」
お嬢様は騎士のやり取りを鬱陶しそうに聞いている。
ここはお嬢様の睡眠のために
早々に追い返したほうが良いのでしょうか?
でも、お嬢様は何もおっしゃってはいない…。
「迷惑よ。帰って」
「そっか。奴隷じゃないのか…。
はあー、良かった」
騎士が一人心底ホッとしたように言う。
お嬢様は鬱陶しそうにしていますから、
追い返したほうが良いのでしょうか?
「分かったら帰って」
「俺はてっきりお前が、奴隷なんじゃないかって。
それで城の主に扱き使われて
ボロボロになってるんじゃないかと…。
そうだ!その魔族の男は大丈夫なのか!?
執事とか言ってるが、暴力とか振るわれてんじゃないのか!?」
カイン様の口から不愉快な言葉が聞こえてきました。
「何ですか?それ。
誰がそんなことおっしゃったんです?」
僕がお嬢様を扱き使うなんてありえません!!
暴力なんてもっての外です!!
「別に。フェリスは私が扱き使ってるから」
お嬢様の言葉が僕を言葉の暴力から
庇ってくれているようで嬉しいです!
「そうなのか?それなら、いいんだが…。
いやー、ほんと俺の勘違いで良かった!」
カイン様は能天気ですね。
その勘違いのせいでお嬢様の睡眠を
妨害したことが分かっていないのでしょうか?
騎士たちはお互い話し合っていた。
それを迷惑そうに見ていたお嬢様が間に入って行った。
「いつまでそこにいるの?帰って」
お嬢様と騎士のやり取り(お嬢様は帰ってとしかいいませんでしたが)があり
私が騎士の方々を追い払うように言われ、
騎士方を街までお送りしました。
その間、お嬢様の睡眠を妨害した
この騎士たちをどうするか思案していた。




