フェリスが質問
「お待たせしました。
お嬢様の好みが分からなかったので。
ミルクティーにしました。
宜しかったでしょうか?」
ミルクティーか。
別に嫌いじゃないから、いいや。
「ええ、嫌いじゃないわ。
ミルクティー」
フェリスに差し出されたミルクティーを一口飲んだ。
「へぇ~、フェリスって紅茶を入れるのは上手いのね」
「ありがとうございます!!」
ねぇ、フェリスって女子なの?
嬉しそうに笑って、おぼんで口元を隠すって。
「そうそう、フェリスは私に聞きたいことないの?」
「えっと、お嬢様についての質問ですか?」
「それ以外に何があるの?」
おぼんを口元から離したフェリスは考え始めた。
「では、好きな物はなんですか?」
ふ~ん、てっきり私のスキルの事かこの城の事を聞かれると思ってた。
「ちなみに何で聞こうと思ったの?」
「はい、お嬢様の好みが分からなければ、
お嬢様の好みの食事を出すことが出来ませんから。
個人的に僕も知りたいですし……」
とフェリスは照れ笑いを浮かべた。
まあ、嫌いな物ばかり出されても困るわね。
「そうね、甘い物が好き。
洋食より和食の方が好き。
だけどたまには洋食も食べたくなるし」
よくお菓子は食べてたなー。
洋菓子よりも和菓子を食べてた。
「分かりました!
和食だけではなく洋食もお作りしますね!」
おぼんを脇に抱え、せっせとメモ帳に書くフェリス。
「週に2回ぐらい洋食の日を作って」
「はい!」
「他に質問は?」
「では、嫌いな物はなんですか?」
今度は嫌いな物かー。
いつになったら聞かれるんだろう。
「辛い物」
辛いの本当に無理なんだよね。
辛いお菓子を辛い物だと知らずに食べた時は吐きそうだった。
「分かりました」
「じゃ、最後の質問は?」
「えっ最後ですか!?」
フェリスは書いていた手を止め、私を見た。
「そ、最後。
もう答えるの面倒になったから最後」
「……分かりました」
凄く残念そうな顔してる。
どんだけ聞きたかったんだろう?
「……」
凄く悩んでる。
うんうん、唸ってますよ。
そんなに悩むこと?
「ねぇ、スキルの事とか聞かないの?
城の事とか」
「えっと聞きたいですけど。
スキルはその人にとって個人情報のようなものですし……。
城は別に聞かなくてもいいかな、と」
「そう、言うつもりだったから、言うけど。
フェリスに掛けたスキルは『主の加護』」
フェリスにスキルの説明をした。
「と言うわけ。
数値が100を超えれば、私は認めるつもりだったの。
つまり100は合格ライン。
そして見事、フェリスは124だった」
100は大抵の事は何でも話せる・裏切る気はないぐらいに信頼していると言うこと。
よくもまあ、124なんて数字出せたものね。
「そして、『主の加護』でフェリスのステータスは全て上がってるはずだけど…。
何か変わったことある?」
そういえば、とフェリスは話し始めた。
「今日は朝から、色々変でした。
物を持つ時に、何故か異様に軽く感じたり。
歩くスピードが速くなっていたり。
この違和感の正体はお嬢様のスキルだったのですね!」
「そういうことね」
やっぱり、ステータス上がってるんだ。
スキルを疑ってたわけじゃないけど、神は信用してないからね。
「さて、これで質問は終わりね。
昨日入ってないから、私はお風呂に入りたい」
「分かりました。
朝お風呂に入られるかと思い準備しております」
うわー、凄い。
フェリスって意外と使えるのね。
「やっぱり、執事みたいね」
「はい!僕はお嬢様の執事です!」
そうだ、お風呂に入るのはいいとして、服がないんだった…。
「服がないのだけど…。
洗濯すぐ終わる?」
「はい!魔族でしたら、魔法ですぐに乾かすことが出来ます!」
フェリスが張り切ってる。
自分に出来ることがあって嬉しいみたいな表情だ。
「そう。じゃあ、お風呂場まで案内してくれる?
私、この城のどこに何があるか把握出来てないから」
「はい!」
フェリスが扉を開けてくれる。
フェリスに促されるように廊下に出ると、
私が廊下の真ん中を歩き、
フェリスが私の斜め後ろをついて歩く。
ほんとにこの城って大きいのよね。
廊下の長さと広さ。
疲れるじゃない…。
「フェリス」
「はい、何でしょう?」
私は止まって斜め後ろにいるフェリスを見た。
フェリスも止まって私を見る。
その表情はどこかうきうきとしている。
私はこんなにも疲れていると言うのに、
何故フェリスはこんなにも元気なの?
これが魔力の違い?
「疲れた」
「では、僕がお嬢様を運びましょうか?」
運ぶって簡単に言うわね、フェリス。
フェリスの細い腕で運ぶことなんて出来るの?
「まあ、運んでくれるならありがたいよ。
魔力は体力のような物と言っていたけど、
大丈夫なの?昨日みたいに苦しくならないの?」
「はい、すみません。
僕の説明の仕方が悪かったですね。
考え方が体力と同じと言うだけで、
魔力と体力は同じものではありません」
そう、魔力と体力は別物なのね。
だったら、今は体力が切れただけで、魔力は切れてないってことか。
「そう。フェリス、運べるなら運んで」
「分かりました。では、失礼します」
フェリスは私の両膝の裏に片腕。
私の肩よりも少し下あたりに片腕を持って来て、
横抱きにした。
そう、所謂お姫様抱っこと言うやつだ。
「あのさ、フェリス」
「何でしょう?」
フェリスは私を抱えて歩き出した。
とても私を抱えているとは思えないぐらい
涼しげな顔をしながら。
私はフェリスの両肩あたりに捕まった。
「なんで横抱き?」
「嫌ですか?」
「別に、嫌じゃない」
てっきりおんぶかと思った。
運ぶと言ったらおんぶくらいしか出てこなかった。
横抱きなんて腕がしんどいだろうし。
「良かった。
僕、お嬢様にしたいと思っていたんです」
「これ?怠くない?」
「はい!魔族は魔力で身体強化が出来ますし、
お嬢様ぐらいなら魔力を使わなくてもへっちゃらです!
それに、お嬢様のためなら頑張れますから」
「そう」
ほんとうに変な人、人のために頑張りたいと思うなんて。
それに凄くニコニコとしてる。




