↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

第三章 闇の扉

昼過ぎでても霧は晴れなかった。

「おかしい、霧がこんなに続くなんて。」

 館の窓という窓はぼんやり赤く濁っていて、まるで館そのものが血に染まっているようだった。

 館全体に嫌な雰囲気が出ていた。

「こんなところもう出たい、てか出ようよ!」

 蘭丸が言う。

 たが、英雄は前に来て首を横に振った。

「無理だよさっき言った通り山道は完全に塞がれているよ。

 片付くまでは、ここで動かない方が安全だよ。」

 安全?本当にそうなのか。

 

「ねぇ昼飯だって」

 話したのは碧華だった。

 碧華と初めて喋りかけてくれたから、いろんなことを聞いてみることにした。

「いつも何読んでるんですか?」

 碧華は僕の顔の目の前に本をやりゆらゆらさせた、本には十角館の殺人とか書かれていた。

 僕の好きな作品だ!

 気を取り直し質問をした。

「蓮さんにあんな事した人誰なんでしょうね。」

「人じゃないかもね。」

 碧華はボソッと言い足早に食堂に言った。

 碧華の言葉に寒気が走った。

「朔之介手繋がない?」

「うるさい」


 食堂には上半身裸の海助と食事を並べている英雄と勝也がいた。

「よぉ〜参った〜」

 海介は完全に酔っ払っているようだった。

「あはは」

 勝也は海介の対応に困っているようだった

 

「君がーいるからー守りづつけたい明日がある」

 歌を歌いながら、美希が食堂にやってきて僕の隣に座っていった。

「君探偵なんでしょ」

 その言葉に僕は驚き言った。

「違いますよ!誰から聞いたんですか?」

 美希は首を傾げ僕から離れた。

 僕は蘭丸の方を向いた

「違う違う僕じゃないよー」

 美希は急になんであんな事聞いてきたのだろうか?誰から聞いたのか?まぁ今は関係ないだろう。


 食堂ほぼ全員の人が来ていた、来ていないのは航と瑛士だけだった。

 僕はそんな事気にせず食堂から出て部屋戻ろうとしていたら廊下の奥の方で何か喋っているのが聞こえた。

「大丈夫なのかよ、あの事バレないか?」

「安心しろ、完璧だよ」

 その声は、瑛士と航のようだ、二人が移動してそこしか聞き取れなかった。

 あの事とはなんだろう、この事件に関係してるのだろうか。


「何やってんだ?部屋戻んじゃねーの?」

 僕は蘭丸の声に心臓が跳ねた。

「何ビビってんの?やっぱり怖いのか?」

 僕はちっと舌打ちをし蘭丸を睨みつけながら答えた。

「考え事をしてたんだよ!お前と一緒にしないでくれよな!」

蘭丸を睨みつけていると、食堂から大きな怒鳴り声が聞こえた。

「ふざけるなよ!!こんな状況でよく酒のんでこんなに暴れられるな!!」

 それは英雄の声だった怒鳴りつけているのは内容からして海介だろう。

 数秒後、肩を落とした海介が部屋に戻っていった。

「こんな時に仲間割れかよ。」

 蘭丸が呆れながら言う。

「これは海助さんが悪いね。」


 僕は部屋でゆっくり休んでいた。

「もう夜か」

 その時廊下から物音が聞こえた。

 僕は急いで外に出て音のした場所を探した

 皆はとある部屋の前で集まっていた、勝也はドアを開けようとしていたが鍵が閉まっていてあかないようだった。


 英雄が持ってきたマスターキーで扉を開けると――

 中には、ミステリーサークルの花形紬の死体が転がっていた。

 首を切られたように血が飛び散ってる。

 窓は内側から鍵が掛かっており、ドアも完全に閉まっていた。

 誰も出入りできないはずの密室だ。

「どうやって、こんな事が……」

 英雄が青ざめる。

 そのとき、部屋の奥の壁にかかっている鏡がうっすら赤く光った。

 そこに、一瞬だけ影が映った。

 昨日よりもはっきりした赤い影。

 今にもこちらへ歩み寄ってくるような──。

 

 気づいたときには、鏡はただの鏡に戻っていた。


 英雄の指示で皆は食堂に集まった。

 瑛士は静かに言った。

「……もう始まってるんだ。止められない」

 その言葉に、ゾクリとした。

 まるでこの悲劇を知っていたかのような口ぶり。

 

 蘭丸が立ち上がる。

「もうやだ!我慢できない!俺は帰る!」

 蘭丸は玄関に向かって走った、俺は蘭丸を止めるために走った。

 蘭丸が玄関を開けた瞬間、外から吹き込んだ冷たい風が蝋燭の火を消した。

 窓の外で赤い影がゆらめき、

 まるで「逃げるな」と言っているようだった。


「ふざけないでくれよ」

 蘭丸は、頭を抱えてうずくまっている。

 僕は皆に物音があった時のアリバイを聞くことにいた。

 

「あの海助さん物音があった時貴方何してました。」

 海介は、頭を押さえながら答えた。

「酔いを覚ましていたよ」

 いつもの元気はなくなっていた。

「一人だったんですね」

 静かに頷いた。

 次に美希に話しかけた。

「あのー美希さん?物音があった時何してました」

 美希は笑顔で答えた。

「美桜ちゃんと一緒にいたよ」

 そうですかと言い美桜のもとに向いさっきと同じ質問をした。

「ん?あー?そうだよ」

 なんか曖昧だな?

 美桜と話していたら何故か箸が一本飛んできた。

 それは美桜の目に当たった。

「そのメガネ伊達だったんですね。」

「そうだよ、このメガネは形見なんだ、でも私目悪くないからレンズを抜いたんだよ。」

 すぐに勝也が来てすみませんと何度も頭を下げていた。

 次に瑛士にさっきと同じ質問する。

「一人」

 冷たい一言に僕は後退り次の人に向かった。

「航さん質問いいですか?」

 同じ質問をした

「なんでそんな事聞くんだい?」

「え?」

 その言葉に思わず息を呑んだ。

「僕からしたら君が一番怪しいよ。美桜から聞いたよ、紬の部屋のドア何回も叩いてたんだってね。」

 そう言うと航は僕の近くから去ってった。

 

 僕は切り替えて、勝也に同じ質問をした。

「僕は父さんと一緒にいたよ。」

「そうですか」

 僕は英雄に聞きに行こうとしたら勝也に止められた。

「父さんに聞くのはやめときな。」

「でも……」

「マスターキーのことかい?あれはずっと父さんが持っていたよ」

「わかりました。」

 僕は席に戻り皆の証言を整理した

 アリバイがあるのは美希と美桜、英雄と勝也

 でも片方の証言が聞けてなかったり曖昧だったりする。

 他の人はアリバイがない。

 そう言えば蘭丸はシャワーを浴びに自分の部屋に戻っててアリバイないんだった

「らんらん蘭丸ー君物音がした時のアリバイは?」

「ないよ、シャワー浴びてた。」

「そっか」

 僕は推理を再開した。

 第一の殺人の時一番怪しかった人が殺されたから、振り出しに戻ってしまった。

 密室トリックもわからない隠し通路的なのはなかったし、紐などを使って締める方法も無理そうだった。 まるで壁を通り抜けたみたいだ。

 ふと碧華の言葉がよぎる――「人じゃないかもね」

 ……いやそんな事

「眠いから帰っていいか?」

 瑛士が言う

「いや駄目だ」

「こんなとこいたほうが危ない」

「そう言って戻ってきみの――」

 英雄の言葉を最後まで聞かずミステリーサークルの人と海介が部屋を出た。

「なんて危機感がない奴らだ、来い勝也」

 英雄と勝也はキッチンの方に向かった。

 蘭丸は僕の肩を叩き小声で言った。

「僕たちは、どうする」

「ここにいよう」

 今一番怪しいのは勝也と英雄の二人いつでもマスターキーを取れる、英雄に事情聴取ができなかったから勝也の証言がほんとうかわからない

 二番目は美希、美桜の一緒にいたと言っているが、美桜の回答は曖昧だった。


 窓の外では風が強くなっていた。

 胸の奥で、嫌な予感が渦巻く。

 ――まだ、今夜は終わらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。