表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第二章 紅い窓

朝、目を覚ますと、部屋の中がやけに赤い光に染まっていた。

 カーテンの隙間から、朝日とも違う、不自然な赤い光が差し込んでいる。


 嫌な胸騒ぎがして窓を開けた。

 外は一面霧で覆われている。

 赤い光の正体は分からないが、霧の向こうで何かが揺れている気がした。

「朔之介〜起きてよ〜」

 玄関の外から聞こえる蘭丸の言葉を無視して、窓の外を見続けた。

 霧の中で、人影のようなものがふっと消えたからだ。


 ドンドンドンドン

 蘭丸が玄関で情けない声を出しながらドアを叩いている。

 僕は玄関のドアをドンと叩き準備を始めた。

 準備を終えてドアを開けて、蘭丸と食堂に向かった。

「遅いよ、くそ朔之介。」

「朝からうるさいね、蘭丸昨日はあんなにビビってたのに、寝てる間漏らさなかった?」

 僕はみぞおちを殴られた。


 苦しみながらも歩いて食道に着いた。

 ちょうど勝也がテーブルに食事を並べているところだった。

 食堂には海介、碧華、瑛士、美桜がいた。

「うまそー」

 僕たちは、席に座り食事を食べた。

 少ししたらほぼ全員が食堂に集まって食事をしていた。

「おは〜よう〜」

 と挨拶をし、紬が食堂にやってきた。

「遅くない?もう私食べ終わったよ。」

「すみません〜」

 と言い、紬がご飯を食べ始めた。


 全員がご飯を食べ終わったところで海介が言った。

「まだ蓮君って子起きてこないのかね?」

「あいつ朝苦手なんで」

 瑛士が冷たく言った。

「なんか雰囲気おかしいな」

 蘭丸が耳元で呟いた。

 確かにミステリーサークルの雰囲気がおかしい

 部長は窓の外を見て何かを待っているようだった。

 昨日紅影のことで騒いでいたというのに、今日は誰も紅影の話をしていない。

 何か嫌な予感がする。


 蓮を待っていると、勝也が息を切らしながらやってきた。

「う……裏庭……に……蓮さんの……」

 全部喋り終わる前に僕は裏庭に走った。

 外に出ると、霧の中に赤い光が差し込んでいる。

 その中央に、ミステリーサークルの二色蓮の死体が倒れていた。

 喉元に深い切り傷。血は霧と混ざって黒く見えた。

 海介と蘭丸が大きな悲鳴を上げた。

 その大声に英雄が慌てながら来た。

「なんてことだ!警察を呼びます。近づかないで」

 その言葉を無視し航は死体に近づき、瞼を閉じてあげた。

 ミステリーサークルの誰も驚いてはいなかった。

「無駄だ。」

「どういうことだよ」

 蘭丸が聞くと、部長は低い声で答えた。

「警察に連絡できないよ、昨日夜の大雨のせいで、しかも帰れない土砂崩れがおきて道が塞がれている。」

 その声は落ち着きすぎて、逆に怖い。

 美希は窓の方をちらりとみて呟いた。

「見ていたのかもね」

 言われて振り返ると、館の窓ガラスがうっすら赤く染まっていた。

 まるで血が貼り付いているみたいに。

 そこに、人影のような影が映った──気がした。

 次の瞬間、霧が風に散り、窓はただのガラスに戻っていた。


 皆は食堂に戻って英雄の話を聞いていた。

「さっき航くんが言っていたように、昨日の雨で連絡が取れない安全になるまで、みんな一緒いよう」

 その言葉を無視して瑛士は、部屋を出ようとしていた。

「何やってるんだ!お前の仲間が殺されてるんだぞ!」

 瑛士はちっと舌打ちをし言った。

「トイレだよ」

「なら二人で」

 提案を無視して、瑛士は部屋を出た。


 今日朝見たあの赤い光はなんだったのか、もしかしたら紅影に……なんてことを思っていたら前で紬と航が何かを喋っている。

 航は頷きこう提案した。

「部屋に戻った方が安全だ、ここに殺人犯がいるかもしれない」

 航が喋り終わるとミステリーサークルの皆が一斉に立ち部屋に戻って行った。

 そして碧華、海介、元宮親子の順に食堂を去り部屋に戻った、食堂には僕たちしかいなくなった。

「そして誰もいなくなったってね」

 俺は蘭丸の言葉にみぞおちを殴りかけた。

「とりあえず俺らも部屋に戻ろう」

「やだやだ!一人怖い!」

 その言葉を無視して部屋に向かった。

 後ろでギャーギャー言ってる蘭丸を無視して推理を始めた。


 凶器はナイフのようなものだろう、それで喉を切りつけた。

 殺された時間は数時間前だろう、航が瞼を閉じた時       

瞼は上がらず閉じたままになっていた、それで死後硬直が始まっていない事が分かる。

「ちょっと聞いてる?」

「うるさい蘭丸黙れ!」

「部屋通り過ぎてる」

 僕は部屋の中に入り推理の続きをしようとしたが、蘭丸が部屋の中に入ってきてそれどころじゃなくなった。

「部屋に戻れや猿!」

「違うから!蘭丸様は人間だ!」

 枕や布団を投げつけあった。

「俺は推理したいんだよ!」

「そういえばミステリーサークルのやつ仲間殺されたのに全然驚いてなかったな。」

 確かにミステリーサークルの雰囲気は異常だった、仲間が殺されたのに何も悲しまないなんておかしい。

 その中で一番怪しいのは、花形紬

 食堂に来たのが一番遅かった、それだとミステリーサークルの様子がおかしいのもわかる気がする、犯人がわかっていたからあんな感じだったのかも。

「ねぇ聞いてる?」

「確かに一人じゃ怖いな」

「やっとわかってくれたんだね朔之介くん〜」

 僕は蘭丸の腕をガッチリつかみ言った。

「うんだから二人でを見に行こう、死体を」

 嫌だと言っている蘭丸を連れて、事件現場に到着した。

「誰か来ないか見張っててね人間の蘭丸様。」

 周りの足跡はたくさんあって元々ついていたものか、分からなくなっていた。

 死体には争った痕跡は一切なかった。

「よし事情聴取しに行こう!」

「行ってらっしゃい」

 今にも死にそうな蘭丸の腕をガッチリつかみ事情聴取に向かったが、出てくれたのは海介だけだった。

「俺ちゃんは6時に起きて筋トレして、酒飲んで、食堂に向かった!」

 海介は酒を飲んでいたのか顔を真っ赤にしクラクラしながら答えた。

 

 僕はがっかりしながら部屋に戻った。

「なんも収穫なかった、最悪」

 落ち込んでる僕の隣に座って言った。

「部外者の可能性だってあるだろ、なんでここの人を疑うんだよ。」

「昨日大雨が降ったんだぞ」

「耐え抜いたかもしれない、近くに小屋があるのかもしれない」

「じゃあ確認しないとな」

 僕はどうしても気になるので三人の部屋に再度行くことにいた。

 一人目は勝也の部屋、勝也は上半身裸で濡れていた風呂に入っていたようだった。

「さっき来たのも君かい?」

「そうです、この館の近くに小屋などはありますか?」

 勝也はすぐに答えた。

「ないよ、一番近くの家に行くには1時間は掛かるね」

 次に英雄の部屋に行ってドアを叩いたが、ドアを叩き返され「どっかいけ!」と言われた。

 あと一人紬の部屋、やっぱり僕は内部の人間の犯行だと思っている。

 何回も叩いているが出ない、蘭丸のもういいだろと言う言葉を無視して叩き続けていたら、美桜がやってきた。

「何してんの?やめろよ」

 美桜の鋭い目をして、僕に近づいてきた。

 蘭丸は僕の手を取り、部屋に走った。

「何してんだよ、頭悪いんじゃないの?」

「嫌な予感するんだよ。」

 僕はベッドに寝転んだ。

 嫌な予感がする、さっきからずっとまた何かが起こる気がする。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ