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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース2:アイドルになりたい(ゆかり編)
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第一話

「次、十六番の方」

「は、は、はい!」


 女の子を見つめる五人の審査員。


「では、お名前の方からどうぞ」

「じゅ、じゅ、じゅ、じゅうろろろろくばん、さ、さ、さ、さ……」

「ん? どうしたのかな?」

「さ、さ、さいいいいお、お、おんじ……ゆ、ゆ、ゆ、ゆかかかりです……」


 ケース2: アイドルになりたい


「あ~ぁ……今日もダメか……」


 アイドルオーディションの帰り道、今日もゆかりはため息をつき、肩を落としながらトボトボと歩いて家路に向かう。その途中、茶髪で巻き髪の女性がゆかりに声をかける。


「ゆかり~!」

「お姉ちゃん!」


 そう、彼女はゆかりの姉、西園寺エリカ。ゆかりより二つ年上の十六歳、高校一年生だ。今日も全身ブランド物で身を固めている。


「その様子……もしかしてま~たパパに内緒でオーディション受けに行ったんじゃないんでしょうねぇ?」

「うん……ははは……やっぱりバレちゃったか~」


 ゆかりは頭をかきながら苦笑いを浮かべた。


「お姉ちゃんこそ、また美容室に行ってたんでしょ!」

「いいじゃない! 女は身だしなみが大事なのよ! いつも綺麗でいなきゃね!」


 そう言いながら髪をかき上げるエリカ。


「ゆかりもアイドルになりたいのならこのくらいの頻度で美容室に行かなきゃ。服装だってダサダサだし! 顔は可愛いんだからもうちょっとおしゃれ位しなさいよね!」

「でも今のアイドルの人たちはみんな黒髪ストレートだよ?」


 そう、ゆかりは、姉とは対照的で黒髪のセミロング。服装もデニムスカートにパーカーと姉のキラキラした派手なものとは違い大人しめだ。見た目だけで言えば、AKBのメンバーの中にいそうなくらい可愛い顔立ちをしている。

 そして二人は他愛のない話をしながら家に着いた。

■■■

「おかえりなさいませ。エリカお嬢様、ゆかりお嬢様」

「「「「「おかえりなさいませ」」」」」


 西園寺家のお手伝いさんたちがゆかりとエリカに向かって挨拶をする。

 西園寺グループ。西園寺総一郎、すなわち、ゆかりとエリカの父親が運営する日本屈指の企業グループの一つだ。立派な門構えの屋敷は大きな庭に囲まれ池もあり、屋内には温水プール、老舗旅館顔負けの温泉、フィットネスジム、ダンスルームとゆかりはまさにお金持ちを象徴するような屋敷に住んでいる。


「おかえり! エリカ、ゆかり!」


 そう出迎えてくれたのは母、洋子。


「ただいまママ~!」

「ただい……」

「ねぇ、ママ、今日、美容室の帰りにティンファニーのお店に行ったら、素敵なネックレス見つけちゃって~」


 ゆかりの挨拶を遮り母親に欲しいものをねだるエリカ。


(あぁ、まただ。お姉ちゃんのおねだり攻撃……)


 ゆかりはそんなエリカを横目で見つめていた。


「あら、そう。ティンファニーのアクセサリーはどれも素敵ですものね~」

「でしょ? だからねぇ、買ってもいい?? 新作だよ? 確か二十五万くらいだと思ったんだけど、高くないでしょ?」

「まぁ、品物は見てないけど確かに新作で二十五万は安いかもね」

「キャハ! やっぱりママは見る目あるぅ~!」


(もう、ママったら……パパもそうだけどお姉ちゃんに甘すぎるよ……)


 二人の会話を聞きながらゆかりは下を向き軽く頬を膨らましていた。しかし――――


「じゃぁ、ママはまだ仕事があるから、夕食時に会いましょう!」

「え?? ママ?? さっきの話はどうなったの?? ネックレス買ってくれるよね?」


 エリカは驚いた様子で母親にネックレス購入の件を聞いてみた。


「買う? 何の話? そういうぜいたく品は自分で稼ぐようになってから買いなさいね。ウフッ。じゃぁ、またね、エリカにゆかり!」


 そういうと母親は、軽やかな足取りでこの場を後にした。


「な、な、何よ!! ベーだ! ママの分からず屋! いいもん! こうなったらパパにおねだりしちゃうんだから!!」


 エリカは母親に向かって舌を出し、文句を言い放った。

 ゆかりはいたずらめいた表情を浮かべながらエリカに聞いてみる。


「アルバイトでもしたら?」

「うるさいっ!!」

  ■■■

 ゆかりは自分の部屋に入り、音楽をかけた。大好きなアイドル『横山くるみ』の歌をゆかりは毎日歌っているのだ。


「心の瞳に映る本当の私~♪ 人は気づいてはいないけれどきっと、あの人はわかってくれるの~♪」


 ゆかりはそのアイドルの振り付けも完ぺきに覚えている。


 パチパチパチパチパチパチ


 ドアの向こうから拍手が聞こえてきた。


「誰?」

「失礼します」

「あ、今日子さん!」


 ゆかりの部屋に入ってきた女性、彼女はここ、西園寺家の家政婦総取締役を務める菅原今日子。ゆかりとエリカの面倒を小さい時から見ているので、まるで自分の子供のように可愛がっている。


「ゆかりお嬢様は、本当に歌がお上手なのですわね」

「いや、そ、そんな……」


 ゆかりは頬を赤らめる。


「謙遜することはございませんよ。ご自分に自信を持ってください。ゆかりお嬢様の容姿と、その澄んだ歌声でしたらアイドルになってもおかしくないくらいでございますよ。本気で目指してみてはいかがですか? ウフッ」


(いや、でも本気でアイドル目指して、オーディション今まで三回受けたけど全部だめだったし……今日もきっと不合格よね……)


「あのぉ……お嬢様?」

「ん? あっ! はい! ア、アイドルの件だったわよね?」

「えぇ、ゆかりお嬢様ならオーディションに合格すること間違いなしですわ!」


 にこりと微笑む今日子。一方で苦笑いを浮かべるゆかりであった。


(緊張しなければ……もっと自分に自信を持てれば……)


 つづく

お久しぶりです。はしたかミルヒです!ケース2:アイドルになりたい 第一話を読んでくださりどうもありがとうございます!

やっと書けました...(笑)イメージは頭の中ですでに出来上がっているのですが、いざ書くとなるとここの場面はどう表現していいのか悩んでしまってなかなか文章にできなかったりするんですよね((+_+))あぁ、もっと小説を読まなければ...

ってなことで第一話はどうでしたでしょうか? ゆかりは一言でいえばとても良い子です。いい子にはバッドエンドにはさせたくないですよね~!ってなことで次回は姉のエリカとのショッピングの話、そしてドリームショップに来店する話をアップします!

お楽しみに♪

ミルヒ

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